見出し画像

まずは書け。

一切の戦略が立たずとも、まずは叩け。

 一見良さげな引用にも聞こえるが、引用元は板垣恵介の漫画『バキ』からである。物語に登場する伝説的ボクサーのマホメド・アライがその息子、マホメド・アライ・ジュニアに伝授した言葉であり、その言葉を信じてジュニアは満身創痍のなか、ひたすらにサンドバッグを叩くというシーンである。

 もちろん、だからと言って、「戦略」が立つに越したことは無い。私自身文章術はいちおう勉強しているし、無「戦略」の伸びしろに限界があることも知っている。
 しかしその一方で、あまりに「戦略」、文章で言うところの形式や通念・ルールに囚われすぎるのも文章がつまらなくなることも経験として知っている。反対に、文章自体に「まずは書け。」とでも言うような不器用なひたむきさがあると、そういった「戦略」も文章にとってプラスになるように振り向いてくれる。

 何年か前、ある男性向け雑誌で「Instagramの文章は5行ぐらいにまとめるとスマート」と書いてあったことがある。当時すでに、私がInstagramの文章に「感想文」と称し、800字とか書いていたころの話だ。そうしないとオジサン認定されるだの、若い子にモテないだのと書いてあったが、実際にやってみると要約まるだしのつまらない文章になるか、要約しがいの無い薄い薄っぺらい文章になるか。いずれにせよ、自分の書きたいのがそれではないことは明らかだった(土屋太鳳のブログやInstagramが「長い」と話題になっていた時期の話でもあって、長文であることに「オジサン」要素があるのかという点も疑問だった)。

 以前学んだ文章のルールとか、いちおう今でも意識しているけど、書き手にとってモチベーションを失わせるルールなら、必ずしもそれに従う必要は無いと思う。それよりも「隗より始めよ」で、とりあえず書いてみる、とりあえず行ってみる、とりあえず見てみる…それぐらいのスタンスのほうがうまく行く気がしている。

 若い子がどうだとか…ねぇ?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?