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インタビュー調査は「他人からその人自身の経験を聞くこと」だけじゃないの?というあなたに #デザイン.

名古屋と京都を拠点に活動する、フリーランスデザインリサーチャーの浅野翔〈あさのかける〉です。新規事業創出やブランディング、組織デザインなどを行なっています。

なお、今回はインタビューの分析手法や構造的な分類はいたしません。興味がある方は、「質的調査入門ー"人間の科学"のための方法論 (春秋社)」などの社会学や民俗学の専門書をお勧めします。

目に見えないモノから

「経験」や「価値観」など、目に見えない文脈を聞き出すインタビュー調査のひとつ。ナラティブ・ヒストリーは個人の深い経験や関係を聞き出すことができる可能性がある。インタビュアーとインタビュイーの信頼関係が形成されたとき、めちゃくちゃ面白い話が聞けることがあるのでたまらない。

e.g.) この仕事をするなかで「最も楽しかった思い出」を教えて下さい。その経験が他よりも「楽しかった」と感じる理由はなぜでしょうか。

目に見えるモノを通じて

その人の持ち物や部屋、スマートフォンのトップ画面などを通じて、インタビュー調査を行います。道具や環境に関する質問項目から、潜在する文脈を探るときに使うものです。一般的なものが思いもよらないカタチで使われてることもあり、宝物を探してるかのよう。フィールドワークをしている最中に行うことも多いです。

e.g.) カバンの中にあるものを教えてください。その中で最も「私らしさ」を表現しているものを3つ選び、その「私らしさ」と合わせて教えてください。

モノをつくりながら

絵を描いたり、ブロックを組み立てたり、すごろくのようなゲームを進めながらやるインタビューは、参加者が具体的な事象を説明するために抽象的なオブジェクトをつくりあげます。ブロックとともに話を構築していくため、聞いている方も状況を理解しやすいのが良いところ。

e.g.) ブロックを組み立てながら、あなたの趣味を教えてください。そのときにあなたは誰とどんな環境にいて、どんな気持ちになっているのか意識しながら表現して下さい。

環境を設定してロールプレイ的に

これまでのインタビューは現在から過去の文脈を理解するために有効なインタビュー手法でしたが、最後に紹介するのは未来から現在について尋ねる手法です。インタビュイーが置かれている環境を設定し、そのなかでどのように振る舞うのがを尋ねつつ、その背景をインタビューするというもの。どこまでインプットを与えるのかがミソです。

e.g.) あなたは2030年にいます。ここでは人工知能や自動操縦が発達し、誰もがカーシェアリングサービスを利用しています。しかし、あなたは「ある理由」で利用していません。その理由とはなんでしょうか。またその理由を挙げた理由を教えてください。

インサイトからアイデアに形を与えることを目指して

インタビュー調査の設計が変わると得られるデータが変わるだけでなく、その本質からのアプローチ自体が変わることも多々あります。深く潜ったことで得られたインサイトからアイデアとしてシナリオを描いたり、スケッチが出たり、プロトタイピングをしたり。またここで得られた試作からインタビュー調査を重ねることもできますね。デザインしながらリサーチすること、つくりながら考えること。切り離しすぎにインタビュー調査の設計をトライしてみて下さい。

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