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映画感想

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マッドマックス怒りのデスロード、ガーディアンズオブギャラクシーなどヒャッホー系もダンサーインザダークのような闇堕ち系、インターステラー、チャッピーのようなsfも大好きです。
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『犬王』映画感想。

『犬王』映画感想。

素晴らしいショーを観ているような気持ちになれる、嵐のように巻き込んでくれる素敵なパンクロック映画だった。
一つ一つのの構図がダイナミックで、なんてことない展開のシーンでも常にハラハラドキドキさせてくれる。

松本大洋の線が細いが躍動感のあるキャラ造形と、こってりとした世界観との相性が抜群に良い。
胃もたれしない新感覚のおしゃれハンバーガーを食したような感動がある。

マッドマックス怒りのデスロード

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『ドライブマイカー』映画感想。

言葉の魅力の強い作品だと思った。
『ワーニャ伯父さん』のセリフも良いし、キーとなる亡くなった妻の脚本も良い。

映像としては赤みがかったオレンジをした主人公の愛車の色がとても良い。
薄曇りや暗闇を跳ね返す生命力のある色だった。

主人公の家福とドライバーのみさきの2人がドライブを通して心の交流を深めていく。
大切な人の多面性とどう向き合っていくべきか、2人が辿り着く結論とは。

役者陣の落ち着いた

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『戦場のメリークリスマス』映画感想。

『戦場のメリークリスマス』映画感想。

たけしの“メリークリスマス、ミスターローレンス”が未だに語り継がれる理由がよく分かった。
死の淵にありながらも生の喜びに溢れる凄まじい表情と言えばいいのか、説明は難しいが、たけしの迫力のある表情と繰り返される“メリークリスマスミスターローレンス“、そして名曲『戦場のメリークリスマス』により、心がぐちゃぐちゃに壊される。
現代アートの展示として、そのシーンのみを流していても成立するくらい素晴らしいシ

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『おやすみオポチュニティ』映画感想。

『おやすみオポチュニティ』映画感想。

アバのSOSで泣かされるとは思わなかった。
90日間の火星探索の命を帯び、火星に降り立つ双子の姉妹ローバー・オポチュニティとスピリット。
到着した矢先に機械トラブルに見舞われるスピリット。
彼女を起こすために目覚ましソングを流すのだが、そのセレクトがアバのSOSだった。
“あたしの声が聞こえないの?S.O.S.“という歌詞と異星でたった1人困り果てるスピリットの状況がマッチしていて、スピリットが愛

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『13人の命』映画感想。

『13人の命』映画感想。

4年前にタイで実際に起きた、洞窟遭難事故の救出劇。

ボランティアできた国際的ダイバーチームの斬新な救出策に度肝を抜かす。

事実は小説より奇なり。

失敗したら取り返しのつかない、究極の選択を実行したダイバーたちの勇気と決断力に感動した。

『この子は邪悪』映画感想。

『この子は邪悪』映画感想。

伏線が後半30分で華麗に回収される感じが心地よい。
ほつれたネックレスが一気に解けていくような心地よさがある。

退行催眠からの魂の入れ換えなど、凡人には理解に苦しむところもあったけれど、少しも飽きることなく、ずっと楽しく観ることができた。

面白かったです。

『天気の子』映画感想。

『天気の子』映画感想。

健気な生贄少女と少年のラブストーリー。

ディストピアものだと事前情報で聞いていたけど、全くディストピア要素を感じられなかった。

ただ、今より雨の多い日本というだけ。

そもそも今の日本がディストピアだということか?
そう考えると納得がいく。

ラストが『君の名は』と似過ぎていて、ちょっと食傷気味になった。これが作家性というものなのか。

『シン・ウルトラマン』を観た直後なので、どうしてもセクシ

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『シン・ウルトラマン』映画感想。

『シン・ウルトラマン』映画感想。

会話シーンの珍妙さが印象的。
笑って良いのか悪いのかわからない高度なコント劇を観ているような気分になる。
コミュ症が妄想する会社員たちの日常会話だと考えると合点が行く仕上がり。
そう思うとますます笑いが込み上げくる。
メフィラス星人(山本耕史)がウルトラマン(斎藤工)の隣でブランコをぶんぶん立ち漕ぎしてるシーンはさすがに我慢できず吹き出してしまった。

話題になっていた長澤まさみのお色気シーンは全

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『岬の兄妹』映画感想。

『岬の兄妹』映画感想。

引くくらい生々しい描写が多いので、見る人を選ぶ映画だと思う。
けれど、込められたメッセージの見せ方は秀逸なので、免疫のある人には是非見てもらいたい一作。

足の悪い兄ヨシオと知的障害のある妹マリコの兄妹は港町の片隅で貧しいながらも取り立てた問題もなく静かに暮らしていた。
以前から失踪癖のあるマリコだったが、ある日、ヨシオは偶然手に取ったマリコの下着の痕跡から、マリコが失踪時に性行為を行っていること

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『真実を知るもの』 映画感想。

『真実を知るもの』 映画感想。

8年前に子供を誘拐された父の執念極まれり。
警察をも巻き込んだどんでん返しがすごい。

この映画はフィクションだけれど、同じくNetflixのドキュメンタリー『ザ・ファーマシスト: オピオイド危機の真相に迫る』の父親と子を亡くしてからの動線がよく似ている。
2人とも子供の死に執着し、孤軍奮闘する姿が頼もしくもありながら、狂気に満ちていて、普段意識しない人間という生き物の持つ厚みを感じさせてくれる。

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『少女バーディ 大人への階段』映画感想。

『少女バーディ 大人への階段』映画感想。

散財癖のある父のせいで、財産をなくした家を盛り直すべくお見合いをさせられるお転婆娘バーディ。
“性交“という言葉の意味もキスの味も知らない彼女が少しずつ大人になっていく様子がコミカルに描かれている。
まず、衣装が素晴らしい。
色とりどりでどれもこれも素敵なので、そっちもこっちも見ていると眩暈でくらくらしてくる。
しかも、皆それぞれのキャラクターや容姿に合ったお召し物を着ていて、それにも感銘を受ける

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『ブロンド』映画感想。

『ブロンド』映画感想。

マリリン・モンローの人生を描いたフィクション。

マリリンを演じるアナ・デ・アルマスの囁くような甘い声、少女のような表情、時折見せる寂しそうな目線が男心を翻弄していく。

儚げな雰囲気のマリリンが悉く傷つけられていく様子が辛過ぎて見ていられない。
特にマリリンが懐妊から流産、中絶を何度も経験するシーンがひどい。
妊娠する度、体内にいる胎児の愛らしい映像を見せつけられる。
身体の中で赤ちゃんの命が絶

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『彼女とTGV』映画感想。

『彼女とTGV』映画感想。

エリスには自宅で何十年も続けている習慣があった。
家の真横を高速で走る急行電車TGVに旗を振ることだ。
ある日、見知らぬ人物から手紙を受け取るエリス。
そこには毎日旗を振り続けてくれる彼女に対する感謝の言葉が綴られていた。
文通でのやりとりを続けるうちに、会ったこともない男へ、恋心を募らせてゆく。

レトロでおしゃれな雰囲気&風変わりな女性が主人公ということで、
見始めは“歳をとった『アメリ』かな

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『カセットテープダイアリーズ』映画感想。

『カセットテープダイアリーズ』映画感想。

聡明で家族思いな主人公の葛藤とブルース・スプリングスティーンの曲とのマリアージュ。

あの年齢で自分以外の幸せの中に自身の幸せがあることに気づく主人公の出来の良さに衝撃を受ける。

ちょっとハッピー過ぎて、気温が低くなってきてクサクサし始めた私の心にはフィットしなかった。

でも観るタイミングが合えば、とても良い映画だと思う。