マッスル童話
・マッスルももたろう
昔々、おじいさんとおばあさんがマッチョだったので鬼退治に行き宝をブン取って大金持ちになりましたとさ。
めでたしめでたし。
・うらしマッスルたろう
昔々とある海岸で、マッスルなカメが子供たちをイジめていました。
するとそこへ、海岸で筋トレをしていたうらしまたろうが通りかかりこう言いました。
「カメさんキレてますねぇ~普段どんなトレーニングをされてるんですかぁ~プロテインとかって飲むんですかぁ~?」
すると、カメさんはこう答えました。
「特別な筋トレはやらないね。こうやって子供たちと戯れたり海を泳ぐことがオイラにとっての筋トレだね。プロテインは飲まずに卵を食うね。自分で産んだ卵を倫理観と戦いながら食うね。泣きながら食うね。その結果この見事なボディーだね」
「素晴らしいですね!是非ともお友達になってください!!!」
「OK!じゃあとりあえず泳ぎに行こう!!!」
「ついでに竜宮ジムにも一緒に行きましょーよ!!!」
「OK!ブラザー!!背中に乗ってくれよぉ!!!」
「イェア!!!」
子供たちはもうそれはそれはうらしまたろうにもうそれはそれはそれはもう感謝しましたとさ。
めでたしめでたし。
・さんびきのマッスルこぶた
昔々、おばあさんとさんびきのマッスルこぶたが同じ屋根の下で生活をしていました。
しかし、もうそんな生活も限界です。
「そろそろプロテイン代が厳しいよぉ……卵や豚肉を買うお金もないんだ……で…出ていってくれい……」
そうおばあさんに言われてしまったこぶたたちは、泣きながら家を飛び出しました。
しかし、どんな理由があるにせよ、タンパク質摂取を怠る訳にはいきません。
「よし、何かを捕まえに森へと行ってみよう!」
長男マッスルこぶたが弟マッスルこぶたたちを奮起させます。
テクテク、テクテク。
森に入ると一匹のオオカミがスヤスヤと眠っていました。
「上質な動物性タンパク質ダァー!!!」
そう言うとさんびきは一斉にオオカミへと襲いかかり見事に寝首を搔くことに成功しました。
体を鍛えておいてよかったね。
めでたしめでたし。
・マッスルあかずきんちゃん
昔々、あかずきんちゃんはマッスルだったので事前に悪いオオカミと対峙し退治しおばあさんが食べられることはありませんでしたとさ。
めでたしめでたし。
・マッスルオオカミしょうねん
昔々、嘘つきでマッスルな羊飼いのしょうねんがいました。
「オオカミが羊を襲いに来たぞぉ~オオカミが羊を襲いに来たぞぉ~」
彼は毎日のようにそう言っては村人たちを騙していました。
しかし、ある日のこと、なんと本当にオオカミが村を襲いにやって来てしまったのです!
「オオカミが羊を襲いに来たぞー!オオカミが羊を襲いに来たぞー!!!」
誰も信じてくれずピーンチ!!!
とはなりません。
だって、彼は、マッスルだもの。
オオカミなーんぞ一捻りー!!!
その肉喰らってさらに筋肉増強!!!
その圧倒的な力と巧みな話術で彼はその後その村の村長になりましたとさ。
めでたしめでたし。
・きんたろうマッスル
昔々とある山奥に、きんたろうという力の強い男の子がいました。
その力は尋常ではなく、野生のクマにも余裕で勝ってしまうくらいの力でした。
そんなスーパーパワーを秘めた人間を世間が放っておく訳もなく、各業界からひっきりなしにスカウトが訪れるようになりました。
「ぜひ相撲界に来てくれないかい?」
「いやいやラグビーなんてどうだい?」
「ボディービルダーになってキャーキャー言われたくないかい?」
そんなスカウトたちにきんたろうはこう言いました。
「オイラ、ピアノが弾きたいんだ」
そうしてきんたろうはピアニストの道へと進みました。
しかし、ただの山奥育ちマッスルのきんたろうにピアノの才能などあるはずもなく、いつしかきんたろうはくすぶり落ちこぼれマッスルに成り果ててしまいました。
「こんなのイヤだぁ!!!」
ある日ついに業を煮やしたきんたろうはそう叫ぶとピアノを素手でぶっ壊し暴れまくりました。
その様子をたまたま町の人がカメラに収めSNSにアップしたところバズりまくりきんたろうは破壊系YouTuberとして一世を風靡しましたとさ。
めでたしめでたし。
・マッスルにんぎょひめ
十五歳になったマッスルなにんぎょひめが夢にまで見た人間界に行くとマッスルな王子様に恋をしてしまいましたので海底魔女魚を締め上げ自分を人間の女に変身させました。
しかし、海底で人間になってしまったからもう大変!!!
急いで海面に上がりますがいつの間にか気を失ってしまいました……。
気付くとマッスル女はゴツゴツの太い二の腕に抱かれていました。
「だ、大丈夫ですか?」
「あ、王子様……」
二人はマッスル帝国を築き上げましたとさ。
めでたしめでたし。
・マッスルの恩返し
ある冬の日のこと、おじいさんは雪の中で罠にかかっている一人のマッスルを見つけました。
「おやおや可哀想に」
そう言っておじいさんはその罠を外してやりました。
「ほら、お行き」
足を負傷していたマッスルは逆立ちでその場から走り去って行きました。
家に帰るとおじいさんは、帰路での出来事をおばあさんに話しました。
「さっき、マッスルを助けたんだよ」
するとおばあさんは、「それは良いことをしましたねぇ~さすがおじいさんですよぉ~私が惚れただけのことはあるわぁ~契り交わしてよかったわぁ~」と、おじいさんを褒めちぎりました。
と同時に戸を叩く音が聞こえましたトントントンと。
「おや、こんな時間に誰だろう?」
おじいさんが恐る恐る戸を開けてみると、そこには先ほどのマッスルが突っ立っていました。
「先ほどはありがとうございましたぁ!プロテインどうぞぉ!!!」
おじいさんとおばあさんは少しだけ筋肉が増えましたとさ。
めでたしめでたし。
・マッスルいっすんぼうし
昔々、どこぞのじじばばが、背丈は一寸しかないがひどくマッスルな男の子を授かったそうな。
すくすくと立派なに育ったマッスルいっすんぼうしはある日こう言いました。
「武士になる!!!」
そうしてお椀川下りというエキサイティングな方法で都へ出て武士に弟子入りしたマッスルいっすんぼうしはその家の娘と良い感じになりましたまんまと。
そしてある日満を辞してデートに誘って神社へ行くと、そんな日に限って鬼に出くわしちゃいました。
「その娘はオレのもんだこのチビ助めぇ~」
「お嬢さんに指一本でも触れてみろ!オイラのこのマッスルボディが火を吹くぜい!!!」
「何を生意気なぁー!!!」
そう言って鬼はマッスルいっすんぼうしを丸呑みにしようとしましたがその口めがけてマッスルいっすん猛ダッシュ!!!
ボコん!!!
いっすんはその有り余る筋肉の力で鬼の鼻を屁し折ってしまいました。
「どうだ!参ったか!!反省して神社にお参りしたらさっさと帰れぇ!!!」
「ぅうぅぅぅぅぅぅぅぅうぅ………」
鬼は一目散にお参りをしてそそくさとアジトへと帰って行きました。
「あなたは小さいけどとても勇敢で強いのね……きゅん」
「ハハハハハ、まぁ、それほどでも、、、ありますかねぇ~hahahahahahaaaaaaaa!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「おほほほほ」
「おやぁ、鬼が何か忘れていったみたいですねぇ……これはなんでしょうか?」
「こ、これはぁ!!!一振りでなんでも願いが叶うという伝説の打ち出の小槌じゃないですかぁ!!!マッスルいっすん、願いを唱えたまえぇぇぇぇぇ!!!」
「おおおおおおおおオーイラはおっきくなりてぇんだぁ!!!」
「えぇいっ!!!」
ぎゅんぎゅんぎゅんぎゅんぎゅんぎゅんぎゅんぎゅんぎゅいーん!!!
マッスルいっすんぼうしはみるみるうちにデカくなりましたがしかぁし!幼い頃から筋トレをし過ぎたせいかその身長はお嬢さんと同じくらいの160cm程度にしか伸びませんでした。
「あらやだ、なんだか、幻滅」
「そ、そんなぁ~」
マッスルいっすんぼうしは珍しマッスル少年から普通筋肉質青年になってしまいましたが普通がなんだかんだ一番良かったりしますよねぇ。
めでたしめでたし。
・マッスルかぐやひめ
ある日、おじいさんが光っている竹を切ると、中からマッスルな女の赤ちゃんが出てきました。
おじいさんとおばあさんはその女の子にかぐやひめと名付け大切に育てました。
その日から何故かおじいさんは竹を切るたびにその中からプロテインを見つけたのでかぐやひめはどんどんどんどんマッスルになっていきました。
するとそのうちそんなかぐやひめのマッスルさを耳にして至るところから求婚を申し込みにたくさんの人々がやってきましたがかぐやひめは筋トレにしか興味を示しませんでした。
申し訳なくなったおじいさんは、世にも珍しい幻の不可思議プロテインを持ってきた者にかぐやひめをやることにしました。
そして、何人かが不思議なプロテインを持ってきましたが、かぐやひめはすぐにそれらを偽物と見破り誰のことも寄せ付けませんでした。
そんな強気なマッスルかぐやひめですが、月を見る時だけは悲しそうな顔をしていました。
おじいさんはその理由を聞く勇気がなかったので、近所のチャラ男にそれとなく聞いてみるよう頼みました。
「かぐぽよってもしかしてさぁ~月から来ちゃったりなんかしちゃったりなんかしてー?」
「そうそうまさにそれ卍チョベリバチョベリグな感じ~」
おじいさんとおばあさんは大ショック!!!
「かぐやひめがギャルになっちまっただぁ!!!」
その日からおじいさんとおばあさんは徹底的にかぐやひめを管理し始めました。
そんな生活に嫌気が差したかぐやひめは月にいる天使たちに鬼電し迎えに来させました。
「地球の家族むずいわぁ~もう帰る!!!」
そんなこともあろうかと引き留め役のマッスル集団を雇っていたおじいさんとおばあさんですが何を隠そうかぐやひめは月のマッスル……格が違います!!!
見るからに強靭で屈強な男たちもかぐやひめの一撃にはたちまちノックダウン!!!
「ふぅ、最後にいいトレーニングができたわ……さらばよ!!!」
反抗期って、大変だよねぇ~。
・はなさかマッスル
昔々あるところに、やさしめなマッスルじいさんが住んでいました。
ある日、おじいさんが飼っていたマッスル犬”テイン”と山に出かけると、突然そのテインが吠え出しました。
「ここ掘れマッスル。ほれ掘れマッスル」
「ど、どうしたんだ!?気でも狂ったか!?よしよし掘ってみよう」
マッスルじいさんは筋トレがてら素手で穴をほじくり回しました。
「こりゃ~たまげた!!!金貨が出てきた!!!ありがとなぁ~テイン。おまえは本当に筋肉質な犬だなぁ~」
そのことを聞いてジェラったイジワルな隣のマッスルおじいは、テインをこっそり山に連れて行くとその腕っ節にモノを言わせ無理やりテインに吠えさせました。
「くぅ~ん……ここ…ほれ…掘れ…ここ…」
「ここだな!?金貨を見つけて大金持ちになるぞぉ~い!!!」
そうしてイジワルマッスルおじいがテインの哭いていた場所を掘ると、割れた瓦や茶碗がたくさん出てきました。
イジワルマッスルおじいは憤慨しテインを嬲(ナブ)り殺してしまいました。
それを知ったやさしめマッスルじいさんは、テインがあまりに可哀想なので庭にガッツ石松ばりの墓を作ってやりました。
すると、不思議なことが起こりました。
なんと先代のポチのお墓から大きな木が生えてきて見る見る内に大きくなったのです!
やさしめマッスルじいさんは、その木を切ってウスを作りました。
そしてそのウスで「押忍!押忍!」とおもちをつくと、なんとおもちが小判に変わったのです!
それを聞いたイジワルマッスルおじいはこっそりとそのウスを盗み出しおもちを作りました。
しかし、何も起こらないので、イジワルマッスルおじいは怒ってそのウスを燃やしてしまいました。
やさしめマッスルじいさんは残念がり、その灰を家に持ち帰りました。
そして、枯れたサクラの木に登って、ウスの灰を撒きながらこう言いました。
「枯れ木に花を咲かせましょう……枯れ木に花を咲かせましょう!!!」
すると、それまで枯れていた木にサクラの花が一斉に咲き誇りました。
それをたまたま通りすがりお殿が目撃し、やさしめマッスルじいさんにたくさんの褒美をやりました。
これを聞いたイジワルマッスルおじいは残った灰をこっそりと持ち帰りスタコラサッサと木に登りお殿様が通りかかったの
を見計らいこう言いました。
「我こそがぁー!!!桜の木を咲かせる名人ですー!!!これから見事に咲かせて魅せましょーう!!!」
ぱっぱっ……さっさっ……パラパラパラ…………しかし、枯れ木には何も起こらず、運が悪いことにその灰がお殿様の目に全部入ってしまいました。
そしてそこから体内に入り殿様の肺は灰で満たされてしまいました。
お殿様は大変怒ってイジワルマッスルおじいを牢獄に入れてしまいました。
しかし、イジワルマッスルおじいはそのマッスル加減を最大限に活かし牢獄の鉄柵をグニャリと曲げて悠々と脱獄に成功してしまいました。
なんてことも考えられたので役人たちはイジワルマッスルおじいを独房に入れグルグルに縛り上げ飯も与えずに痩せこけさせ完璧な囚人として支配しましたとさ。
悪いことはするもんじゃないですねぇ~。
・したきりマッスル
昔々イカれた婆さんに舌をちょんぎられた一羽のすずめが復讐を果たす為に体を鍛え始めましたが鍛えているうちに復讐などどーでも良くなってしまうくらい筋トレにハマってしまい本末転倒、いや、結果的に結果オーライな感じになりまして今ではその経験を生かした講演会などを開いて生計を立てているようです。
舌っ足らずな喋り方が可愛いともっぱらの評判です。
たんたん♪
・かちかちやマッスル
昔々あるお山に性根の腐ったいたずら好きな悪だぬきが住んでいました。
たぬきは来る日も来る日も畑を荒らしては楽しんでいました。
しかし、それに業を煮やした一組のおじいおばあコンビが身体を鍛え上げついにはその悪だぬきをぶち殺しましたぁ!!!
せいばいせいばい。
ちなみに筋肉量アップにはうさぎの肉が効果的だったようです。
しかしながらその後二人はドロドロの熟年離婚を迎えたようですよ。
調子に乗ったおじいが浮気しまくったようです。
「どこかちかちにしとんねん!!!」
とおばあが突っ込んだとか突っ込んでないとか。
・マッスルゆきおんな
ある日、雪山籠りマッスルトレーニング合宿を一人で行っていたマッスルが自分を追い込み過ぎて気を失ってしまいました。
禁欲もしていたので綺麗な色白のゆきちゃんと言うマッスル可愛い女の子の夢を見ました。
白いの出ました。
目覚めると一面真っ白な病室でした。
まっさらな白い看護服を着たマッスルな女性が真っ白なお粥を持ってきてくれました。
とても綺麗な女性でした。
名前を聞いてみました。
「ゆきちゃんです」
めでたしめでたし。
・さんねんねマッスル
ある日ある一人のマッスルが良質な筋肉を手にするには良質な眠りが必要という情報を得てとりあえず寝てみました。
気付くと三年経っていました。
細マッチョになっていました。
ゴリゴリだった頃よりモテ出しました。
そういうことです。
・こぶとり(小太り)マッスル
ある一人のマッスルが筋トレに飽きてしまい小太りになってしまいましたとさ。
よくないよくない。
・わらしべちょうじゃマッスル
ある一人のマッスルが究極のプロテインを手にするため安物のプロテインを手に街へと繰り出しました。
とにかくマッスルな人に声をかけその人が持っているプロテインと交換してもらいました。
そして九人目、男はようやく究極の高級プロテインへと辿り着きました。
喜びのサイドチェスト。
ゴクッと一口。
「あれ?」
あまり好きな味じゃありませんでした。
次の日、男は結局馴染みある安いプロテインを買いましたとさ。
よくあるはなしね。
・マッスルかさじぞう
ある日の夕刻、笠の路上販売に惨敗したおじいさんが慰めてもらおうと愛するおばあさんの待つ家へと急いでいると、道端でマッスルたちが各々ボディービルのポーズを取っていました。
季節は真冬。
雪も散らついていますが、マッスルたちは上半身裸でした。
不便に思ったおじいさんは、町で売れ残った笠を頭に被せてやりました。
するとどうでしょう、心なしかマッスルたちの表情が穏やかになったような気がしました。
そしてその後その笠マッスル集団は人気者となりおじいさんもそれなりの恩恵を受けましたとさ。
ほっこりほっこり。
・マッスルころりん
ある日ある一人のマッスルが何を血迷ったか「新手のトレーニングだぁー!!!」と言いながら小高い丘をコロコロコロコロと転がりまくりましたとさ。
見事優勝しました。
てんてん♪
・さるかにマッスルがっせん
昔々あるところにとても仲の悪いさるとかにがいましたが、二人には共通の趣味がありました。
もちろん筋トレです。
二人は競いに競い他を寄せ付けぬほどの魅惑のボディーを手にしました。
全く遜色のないその仕上がりに業を煮やしたさるがこう言いました。
「こうなったらボディービルで決着を付けようじゃねぇか!!!」
同率二位でした。
二人は大親友になりましたとさ。
るいともるいとも。
ちなみに一位は新手のトレーニングでその肉体を限界まで鍛え上げたというゴリゴリの二十代男性でした。
・うばすてやマッスル
昔々ある集落では年老いた老人を山に捨てるという風習がありました。
「そうはなりたくはない!」とある一人のおばあさんが立ち上がり鍛えまくり若者に何も言わせませんでした。
トレーナーとしても優秀だったおばあさんは、ご近所さん達も鍛え上げ村のマッスル人口をどんどんどんどん増やしていきました。
しかし、鍛えすぎたのかなんなのか皆あまり長生きはしませんでしたとさ。
ほどよくほどよく。
・マッスルいっきゅうさん
昔々いっきゅうさんというとても頭の回転が良くトンチの効く一人の小坊主がおりました。
いっきゅうさんはその明晰な頭脳を用い様々な難題に挑み解決し天才の名を欲しいままにしていましたが、ある日突然体を鍛えることにハマり、難しいことを考えるのをやめてしまいました。
食生活や生活リズム、思考回路自体も変わってしまったので全く頭が働かず、ただのマッスル坊主になってしまいましたとさ。
ほどよくほどよく。
・ジャックとマッスルのき
家が貧乏すぎて苦しんでいたジャックの母は、ついに家畜のウシを売りに出すことにしました。
「ジャック、ついにこの子を手放さなくてはならないところまで来たよ……お願い、街でこの子を大金に変えてきて……」
そう言われたジャックは、心を痛ませながら街へと向かいました。
するとついて早々、一人のマッスルから声を掛けられました。
「そのウシ、喰っていいかい?」
ジャックは少しビックリしましたが、「お金をくれるなら」と承諾しました。
すると男は、「ゴメンよ、今お金はないんだ……しかし、代わりにこの秘伝のソイを授けようポーイ!!!」
「なぁんだコイツぅ~!!!とジャックは思ったものの、男の迫力に負けウシとソイを交換してしまいました。
なんとも言えぬ気持ちで家に帰ると、母は大激怒を通り越して気絶。
「ジャッ、ジャジャジャジャジャァーーーーーーーーーーーーーック……」
そんなこんなでソイを試しに半分かじってみますと、ジャックはみるみるうちにマッスルになったので、「こぉーれは本物だぁぁぁぁぁ!!!」ともう半分を地面に植えてみました。
すると次の日の朝、そこから数多多くのマッスルたちが天高く咲き誇りました。
もちろんその場所はインスタ映えスポットとなりジャックの家は貧乏脱出しましたとさ。
めでたしめでたし。
・あらじんとまほうのマッスル
昔々ある一人のマッスル”荒 仁”が、とある一つの奇妙なランプを見つけました。
筋トレも兼ね思っ切りこすってみると、なんとそこからマッスルな魔神がにゅるっと出てきました。
「私はマッスル魔神。お前をマッスルにしてやろうっておーいもうマッスルやないかーいはい消えまーす」
あらじんはいつでもマッスルになれると思い筋トレをやめました。
そしてボディビル大会前日、あらじんは満を持してあの魔法のランプをこすりました。
するとまるでデジャヴのようにあの魔神がにゅるっと現れあのセリフを言いました。
「私はマッスル魔神。お前をマッスルにしてやろう。さぁ、私と一緒に三十日のスペシャルトレーニングを頑張ろうじゃないか!!!」
あらじんは絶句しました。
「……三十日、掛かるんですか?」
「あぁ、そうだ。マッスルは一日にしてならず……じゃぞぉ!!!」
「大会は明日なんです!!!どうしてくれるんですかぁ!!!」
「知らんよ。それはお前の傲(オゴ)りじゃよ。どうするんだ?やるのか?やらないのか?」
「い、一応やります!!!一日しかありませんが一応やらせてください!!!」
「了解じゃ!!!それではワシに、付いてこぉーい!!!」
「はぉい!!!」
見事優勝しました。
・きたかぜとたいようとマッスル
ある日のある田舎道、北風と太陽が通りかかった人間の服をどちらが早く脱がせられるかという遊びを思い付きやり始めましたが一人目に通り掛かったのが上半身裸のマッスルだったので成立しなくて萎えちゃって即終了しましたとさ。
それからしばらくその地域は異常気象に見舞われたそうな。
・きんのマッスルぎんのマッスル
ある日、池のそばで筋トレをしていたマッスルが、勢い余ってダンベルを池に落としてしまいました。
すると、池の中からマッスルな神様が現れ、「お前が落としたのはこの金のダンベルかい?それともこの銀のダンベルかい?」と聞いてきました。
マッスル男は正直に答えたかったのですが、普段使っているダンベルと銀のダンベルが余りにも瓜二つだったのでとてつもなく悩みました。
しかしまぁ悩んでいても仕方がないので一か八か「その銀のダンベルだと思いまぁす!!!」と声を荒げてみました。
すると、マッスル神様はその声に驚きダンベルを爪先に落としてしまいました。
「いった!おっま!!ふっざ!!!けんなあぁぁぁぁぁ!!!!!」
そう言って金のダンベルと銀のダンベルをコチラに投げつけ池の中に消えて行きました。
得しました。
・アリとキリギリスとマッスル
ある秋のこと、冬支度の為、アリはせっせと働いていました。
そんな働き者のアリを横目に、キリギリスは遊び耽っていました。
いよいよ冬も近付き、さすがにそろそろヤバイかなと感じ始めたその時、キリギリスは一人のマッスルと出くわしました。
「キミ、暇なのかい?それじゃあ、俺と一緒に、筋トレしないかい?」
それからキリギリスはそのマッスルのペットとなり筋トレに励みその獲得した筋肉と筋トレによって育まれた精神力と餌と空調の行き届いた部屋によりなんとかギリギリですが見事に冬を乗り越えることに成功しましたぁ。
そして明る春、キリギリスは見事その魅惑のボディーでペットショップ出身のキリギリスとの交尾に成功し子孫繁栄に成功しましたとさ。
アリもびっくり。
・おうさマッスルのみみはロバのみみ
昔々あるところに、どんな時でもピッチピチのタンクトップを欠かさないおうさまが住んでいました。
「ねぇねぇおじいさん、なんでおうさまはいつでもタンクトップを着ているの?」
「それはね、あのロバのような耳から注目をそらす為なんだよ」
「なんだぁ~」
おうさまは冬でもタンクトップだった為、毎年のように身体を壊していましたとさ。
じぶんをあいして。
・はだかのおうさマッスル
「おうさま、今ハヤりのお洋服は鋼の肉体ですよ」
そうしてただの中年おうさまは皆から憧れられるはだかのおうさマッスルとなったのであった。
一年中ブーメランパンツマント王冠です。
・マッチうりのマッスル
ある冬の日のことでした。
一人のマッスルが街角で上半身裸でボディービルのポーズをしながらマッチを売っていました。
大盛況でした。
次の日風邪は引きましたが、そんなことどうでもよくなるほどの儲けでした。
ふところあったかほっかほか。
・みにくいマッスルのこ
昔々とてもマッスルだけどとても顔面の醜い成人男性がいました。
彼は常日頃から自分の容姿に悩み塞ぎ込みがちでしたがそのマイナスエネルギーを糧にトレーニングに精を出してきました。
すると、そんな努力が実を結び(?)彼は運命の出逢いを果たすのです。
そう、彼女は醜いマッスルの女。
彼はシビれました。
何故だか彼女のことは昔から知っているような、同志のような、そんな、なんとも言えぬ感情に苛まれました。
彼はすぐさま告白しました。
しかし、ソッコー振られました。
彼女の方はなんとも思っていなかったようです。
彼女は割と男には苦労していなかったみたいです。
むしろそのマッスルボディーを武器に数々の男を手玉に取ってきたみたいです。
彼は整形しました。
表面上は良い人生を歩み始めましたとさ。
めでたしなのかな?
・マッスルおやゆびひめ
昔々ある森に、親指ほどの大きさでも目を見張るほどのマッスルなひめがおったそうな。
彼女はその腕っ節の強さで虫や小動物たちを掌握し悠々自適な生活を送っていました。
しかし、そんな生活にも飽きてしまったマッスルおやゆびひめは、森の外へ出て旅がしたくなったので、言うことを聞きそうなツバメをとっ捕まえ、南の方へ飛び立つよう命じました。
しかし、来る日も来る日も休みなく飛べ飛べと言われ嫌気が差したそのツバメは、ついに怒りの頂点に達しおやゆびひめを地面へと放り出してしまいました。
「あぁ~れぇ~」
スポッ。
そうしておやゆびひめはおじさんの親指になりましたとさ。
ずっぽしずっぽし。
・マッスルシンデレラ
昔々あるところにいたシンデレラはマッスルだったので意地悪な姉などに意地悪されずむしろ従え普通以上の生活を送り心身ともに自信をつけ自力で王子様を手中に納めましたとさ。
めでたしめでたし。
・マッスルしらゆきひめ
昔々マッスルだった白雪姫は毒林檎にも負けずその毒を跳ね返し七人の小人たちをマッスルに仕立て上げ見事復讐を果たしましたとさ。
そしてその首を掲げ王子様のもとへ行き求婚し見事キッスも果たしましたとさ。
しりにしきましたとさしりにしきましたとさ。
・くつやのマッスルこびと
昔々あるところに、若い頃からずっと糞真面目に靴だけを作ってきたおじいさんがおばあさんと住んでいましたが、還暦を迎えたある日、おじいさんは靴作りに追われる日々に嫌気が差しおばあさんにこう言いました。
「わし、マッスルになる」
熟年離婚しました。
しかし、おじいさんはそんなことにもへこたれず、いや、むしろそれを原動力として筋トレに励みました。
すると、そんなおじいさんの真摯な姿勢に胸打たれたのか、ある日からマッスルなこびとたちが現れるようになり、おじいさんのプロテインの準備や筋トレ器具のメンテナンスなどをし始めました。
おじいさんはそれはそれは喜び、より一層筋トレに力を入れ始めました。
しかし、いつからか自分に尽くしてくれるこびとたちにおばあさんの姿を見始めました。
「おばあさん……」
気付くとおじいさんは走り出していました。
おばあさんが一人寂しく住む借家へと無我夢中で走り出していました。
「おばあさん!!!」
二人は無事に仲直りしマッスル熟年夫婦として晩年まで活躍しましたとさ。
めでたしめでたし。
・ブレーメンのマッスルおんがくたい
バンドブームの頃、ロバ顔のマッスルとイヌ顔のマッスルとネコ顔のマッスルとオンドリ顔のマッスルが”ブレーメン”というバンドを組んでいました。
見た目的にかなりのインパクトがあったので一瞬だけ売れましたがやはりそこは実力社会、勢いだけでは乗り切れず、更には無駄に早い流行の波にも押し流され、四人はあっという間に路頭に迷いました。
「もう、疲れたよ」
四人は衰弱した心を癒す為、旅に出ることにしました。
数日後、四人はとある田舎の山奥でポツリと田舎家を見つけました。
「こんなところに、住みてぇなぁ……」
と、ロバ顔マッスルがポツリと呟くと、家の中から仙人のようなおじいさんが出てきてこう言いました。
「御四人さんやい、農作業や日用品の買い出しをしてくれるんならここに住んでもええよん」
それから四人はそこで幸せな田舎マッスルミュージックライフを送りましたとさ。
ノーマッスルノーミュージックライフだねぇ~。
・ながぐつをはいたマッスル
どこへ行くにも長靴という一人のマッスルがいました。
それだけです。
・ヘンゼルとグレーテルとマッスルの家
昔々、ヘンゼルとグレーテルという兄妹が親に捨てられ森に迷わせられました。
二人は途方に暮れて彷徨っていると、一つの小さな家を見つけました。
恐る恐る近づいて行くと、それはなんとマッスル型のお菓子でできた家でした。
「お兄ちゃん、私、ものすごくお腹が空いてるんだけど、これはなんだか食べる気がしないわ」
「あぁ、僕もだよ」
すると中からマッスルな老婆が出てきてこう言いました。
「おやおやお二人さん、道に迷ったのかい?よかったらウチに上がっていっておくれよい。大量のプロテインと大量のプロテインバーがあるんだ」
二人はとてつもなく怪しみましたが背に腹は変えられません。
「お邪魔しまぁ~す」
数日後、家の壁にマッスル老婆型お菓子が増えていましたとさ。
ムシャムシャポリポリ。
・マッスルねむりひめ
とてつもなく自分を追い込むような筋トレをした後、気絶するかのように眠りこけるとある女性マッスルがいました。
熱中することがあるって、素晴らしいですよね。
・おにはうちマッスルおにはそとマッスル
あの日、ふざけておにはうちおにはうちと言っていたひょうきん百姓さんのお家に本当におにがやって来てしまいました。
しかし、なんだか大したことがなさそうだったので戦いを挑みました。
しかし、そこはやはりおに。
腐ってもおに。
引くくらいに強かったそうな。
「これからは傲ることなく一生懸命精進せい!」
「はぉい!」
凛と背を向けおにはそとに出て行きました。
それからマッスル百姓さんは筋トレに筋トレを重ね村一番のマッスルになりましたとさ。
まめまきまめまき。
・マッスルの恩返し ~オチガウver.~
ある冬の日のこと、おじいさんは雪の中で罠にかかっている一人のマッスルを見つけました。
「おやおや可哀想に」
そう言っておじいさんはその罠を外してやりました。
「ほら、お行き」
足を負傷していたマッスルは逆立ちでその場から走り去って行きました。
家に帰るとおじいさんは、帰路での出来事をおばあさんに話しました。
「さっき、マッスルを助けたんだよ」
するとおばあさんは、「それは良いことをしましたねぇ~さすがおじいさんですよぉ~私が惚れただけのことはあるわぁ~契り交わしてよかったわぁ~」と、おじいさんを褒めちぎりました。
と同時に戸を叩く音が聞こえましたとんとんとんと。
「おや、こんな時間に誰だろう?」
おじいさんが恐る恐る戸を開けると、そこにはツルが突っ立っていました。
「夜分遅くにすみません。私は道に迷ってしまったツルです。今晩だけで構いませんので泊めていただけないでしょうか?」
おじいさんは、「もちろん大丈夫じゃよ。ほら、上んなさい」と言い、見知らぬツルを家へと招き入れました。
「あの部屋を使いなさいな」
そう言っておじいさんは家出したっきりもう何年も帰って来ていない息子の部屋を指差しました。
「ありがとうございます。それでは、おやすみなさい」
「はい、おやすみぃ~」
「あっ、寝る前に一つだけ……絶対にこの部屋は覗かないと約束してください。よろしくお願い致します」
「はいよぉ~」
パタン。
ツルが部屋の戸を閉めた瞬間、おばあさんがおじいさんを問い詰めました。
「見知らぬツルを勝手に招き入れるなんて……一言相談してくれてもいいでしょうに……全くもう……」
「悪かったよぉ~でも困っているようだったし……それに、悪いツルじゃなさそうだったしのぉ~許しておくれぇ~」
「はぁ……しょうがないですねぇ……」
「しかしまぁあのツルは自意識過剰なところがあるようで、絶対に部屋を覗かないでくれと言うんだよ……ワシがそんな変態じいさんに見えるかい?」
「まぁ、見えなくもないですねぇ~」
「おいおいおい~」
「おほほほほほ、まぁでも確かに助けてもらっといてその発言は気に障りますねぇ~覗いてやりましょうか」
「お主も悪よのぉ~」
「いざ」
そう言って二人はツルがいる息子の部屋を覗きに行きました。
「そぉ~とですよ、おじいさん。そぉ~っとそぉ~っと……」
「押さないでくれよ、ばあさん。絶対押さないでくれよ、ばあさん」
ドンっ。
“押すな”は”押せ”だという家訓の家で育ったおばあさんは何の迷いもなくおじいさんを押しました。
「うわぁ!!!」
ふすまごと部屋に倒れ込んだおじいさん。
「な、なんですかぁ?!」
びっくりするマッスル。
ん?マッスル?
「お、おおおおおおおおお主はさっきのマッスル!!!」
「はい、いかにも。先ほどは本当にありがとうございました。実は私、貴方様にお礼をする為、先ほど捕らえたこのツルの羽と血と肉と内臓を使い特製筋肉増強材を作っていたところなのです」
「そうだったのかぁ~。ん?ということは、ツルは初めから死んでいたのかい?」
「はい。死んだツルを私の前面に貼り付けていただけでござりまする。すぐにバレるのではないかと心配致しましたが案外イケたので正直自分でもビックリしておりました」
「いやぁ~ワシは最近目が悪くてのぉ~歳には勝てんよぉ~」
「そんな貴方様の体の衰えにもピッタリのこの筋肉増強剤!!!たった今ちょうどNOWで出来上がったところですので早速お試しあれぇ!!!」
「ほぉ~それじゃあいただくとするかのぉ~」
グビッ、グビグビグビッ……。
「ど、どうですか?」
「うん!まずい!!もういっぱい!!!」
「帰ってください!!!」
おばあさんが絶叫し馬鹿な男二人をビンタしましたとさ。
めでたしめでたし。
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