見出し画像

なぜ地方自治体は「喰われる」のか


今日は、岡山市でお仕事でした。

昨年より、岡山市のDX推進戦略マネージャーを拝命しており、特に、市民窓口の業務改善と、新庁舎への移転に合わせた抜本的な「書かない窓口」や、電子申請による「行かない窓口」の実現に向けての様々なアドバイスや、窓口実務担当の方々とのワーキンググループのファシリテーターなどを務めております。

片桐って魚屋じゃないのとか水産業活性化の団体代表してなかったかとか農業とか商品開発じゃないのとかふるさと納税コンサルじゃないのとか林業やバイオマス発電にも絡んでなかったっけとかホテルの企画コンサルしてなかったとか、すっぽんの養殖場行って商品開発してなかったっけかとか富山や福岡の道の駅リニューアルかかわってなかったっけとか京都の製茶業支援してなかったっけかとか福岡や兵庫県でまちづくりに関わる仕事してなかったっけかとか、いろいろなこと言われますが、全部やってます。あ、あと大学の講義春秋各1コマと講演業。

で、自分の性に合っているなと思うのが、実はDX推進、というより業務改善に関わる仕事だと思っています。

なぜかというと、1つ目の理由は、自分がズボラなので。楽したい。無駄なことを一切省きたい。意味の分からん仕事したくない。一文字たりとも多く書き物したくない、手がつかれるし。

そのために、現状の業務を整理したり、何をどうすればいいか(楽ができるようになるか)ということを考えるのは性に合っています。
かといって、60近い現状の業務フローを全て細かくチェックし、矛盾点見抜いたり抜け漏れチェックしたり必要が無いようなアウトプットが出てないか、根本的に書式がおかしいから間違い、手戻りが頻発しているんじゃねえかを見抜くのは大変な作業ですが(でも嫌いじゃない)。

2つ目の理由は、とにかくお客様(市民)が満足いくようにするにはどうすればいいかを考えるのは好きなので(業務改善して待ち時間が減って、お客様喜ぶなど)。仕事していたら当然っちゃ当然なんだけど、わりとこれできない人多いですよね。

で、行政においてはこの2つ目のところを実現するのって難しいのだなと日々痛感します。それは、そもそも論として行政の仕事において達成することは業務の処理であり、処理の時間を短縮してお客さまを待たせないとかそういうことが、簡単にいうと民間に比べて「評価されにくい」だからかなと思います。

ちなみに、ふるさと納税でかなりの寄付を集めている某自治体のふるさと納税担当経験者の方々は、出世が早いそうです。こういうことできる首長のところだからだろうなと思います(部下が一生懸命になって働く、そして成果を出す、の好循環)。

目標があって、それに達成したら評価される。当たり前のような事であるが、それがどういう目標を設定できるか、それをどうしたら達成できるか。そもそも、その職制において、できる業務範囲だと、目標があまり市民にとってプラスに感じられるようなものを設定できない、等があると思っています。

ちなみに片桐は某市の総合計画審議員なのですが、農業系の部局が出してきた数値目標があまりにも低いものであったり、部局内の都合で出してきたものなので、削るべしなおすべしと散々っぱら主張したり、DXがらみの数値目標もかなり厳しいところまで突っ込んで提案しています。担当職員さんには恨まれているかもしれませんが。


んで、写真の東洋経済の記事を岡山までの往復の新幹線で読んでました。

https://str.toyokeizai.net/magazine/toyo/20240507/?_ga=2.243259586.1396780309.1715268770-1328463149.1704953294

文中名指しでやり玉あがっているコンサルさんは確かにひどいですが、スキーム自体はよくあるよなあ、、、なんてちょっと思ったりしましたが、記事中木下斉氏がおっしゃるように自治体の方が勉強したり、人材育成を行って、コンサルに騙されないようにするのは効果は大きいと思いますし、やるべきかと。

ただ、それだけではまだまだだと個人的には思っていて、何が必要かというと、行政の組織論になっていくと思います。

例えばですが、業務改革室とかDX推進室とかを作っても、そこに権限と予算が無ければ動けないのです。
その部門は何をするべきで、何をどうしたらいいのか、そしてその「どうする?GOする!」を行える予算はあるのか、充分なのか、他の部局に対してもそれを協力(半ば強制)できる権限があるのか、などのところまで作りこめている地方自治体は残念ながら少ないと感じています(三重県伊賀市とか、長野県のDX関連部は、片桐より10倍優秀なDXアドバイザーの手により、組織も動きも変わりつつありますが)。

ここの組織論を自治体は意識しないと、この本のタイトルのように「喰われる」自治体は多いままになるかなと思います。

ただ、DXに関しては、システム構築や現状の整理整頓の部分で外部コンサルが入る必要はあります。だって民間だってそうしてるんだもん。
問題は、過剰なお金をかけて無駄なものつくったり、現状の業務をそのまま踏襲した中身スパゲッティのシステムが構築されるだけです。業務改革部門やDX推進部門に権限があればその辺は防ぎやすくなります。某京都市はその昔システム更新の際ベンダーに向かって、『今出力している帳票と寸分たがわないものが出力されるシステムを作れ』とか言うてたそうです(業務改善の視点何もなし)。今はそんな担当者居なくなっていると信じたい。。。首長もようやく変わったし。


民間だったら業務改善とかの部局は社長直轄だったり、執行役員がちゃんとついて5か年計画が立てられてその達成具合によって評価がされたり、ということがあるのだけど、行政はそういったことに「なっていない」ことが今まで見てきた限りだと多い。てか、そうしていかなければという理解をしてる首長は増えてきていると感じますが、まだまだなところも多い。首長がなんでもかんでもやるわけにいかないのだから、組織を強く、動きやすく、そして明確な目標を持って、それが達成できているか上のものがチェックしやすいようになっているかを作るための視点を持っているかどうかが、首長選挙で争点に取り上げられにくいのも問題かなと思っています。思いがあってもマネジメント能力が無い人を首長にしてもしょうがないのです。どこぞの前明石市長みたいに。
首長についてはその人がマネジメント能力があるかどうかの適性試験と欠かすべきじゃないかなと思っています。最近首長のパワハラセクハラ暴言などが社会問題になっていますが、首長へのモニタリングをだれがする問題もそろそろ真剣に考えていくべきでしょうね。最近能力無い、問題の把握能力も執行能力も組織をどうしていくかの能力(そもそも考え)もない首長がとても多いです(三田市、交野市、岡崎市、京丹後市あたりが筆頭でしょうか)。無能な人がずっといて、それを市民もあまり分からなくて再選していくというのがずっと地方自治体に取って地獄です。喰われる自治体というけど、暴言やパワハラセクハラしてくれたら糾弾できるけど、それをしない限り首長の評価が厳しくされないっていうのはおかしいかと。


ちなみに、ふるさと納税については成果が見えやすいのですが、代行事業社が儲けすぎてたとしてもその部分が見えにくいところに問題はあるなと思っています。その辺オープンにするように、寄付額の%ではなく、定額+成果がでたら一定額、というの取り決めとかに将来的にしたらいいのではと思いますね、中間事業は特に。


地方創生って言いますが、地方の人口が増えるとかそんなことは(一時的な移住や、都市圏の周辺部で増えることはあれど)原則あり得ないので、何をどうするか、そもそも何が地方創生なのかを考え直す時期だと思っています。移住定住施策、起業支援、結婚支援、産直ECへの出店、行政主体の名産品開発プロジェクト、、、すべてはダメとは言いませんが、ほとんど費用対効果はないと思っています。

個人的には、地方自治体と、商工会や観光協会などの組織の在り方、活動内容を根本的に変えることと、地域の企業と住民の意識改革と行動改革が必要だと思っています。これも一律的ではないけれど。

既に自治体さんでできているところはできているのですが、商工会とかまでが生まれ変わっているようなところは少ないかなと。ただ、よくある話ですが、自治体にありがちな先進事例詣でして、他の自治体のまねをしても意味はなく、その地域ならではの変わり方が必要だと思っています。

そこにコンサル使うのであれば、ちゃんとした良い人を呼んで、長い付き合いの中でやっていきましょう。で、変な人だったらちゃんとさらし者にしましょう。この記事でさらされている人よりもっと酷い人はいっぱいいます。そういう酷い人コンサルブラックリスト作りたいなーと思いつつ、自分がいつかそこに載せられないようにするために頑張りたいと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?