見出し画像

ミラーワールド構築のファーストステップ

目次


1. はじめに

みなさんこんにちは!
世界や国境をなめらかにするために、世界を体験できるSNSメディアを作っているかっつーです。
今回は、僕が目指している世界やそのために行っていること、実装していることなどを具体的に紹介したいと思います!

2. 目指しているビジョンとミラーワールド

自分の過去の生い立ちから、僕は世界のあらゆる境界線に関心を持っていました。それは、国境や自他、言語、貧富の格差など様々な境界線が引かれていることに対してでした。国境や自他、言語など既存の境界線自体を完全に消し去り、均質化することはできないため、それらの境界線をなめらかにすることが社会にとって必要だと考えました。詳細はこちらの記事

世界の境界線をなめらかにでき、かつ自分が今できることはなんだろうかということを考えた時に、メディアを作ることが重要だと考えました。
メディアというと、テキストや新聞、ニュースなどを頭に思い浮かべやすいですが、僕が着目したのは「地図」でした。近代まで歴史を遡ると、国境という認識上の境界線を形成するのに大きく影響を与えたのは、地図の制作とその伝搬だったということがわかりました。

しかし、地図を作るだけで世界の境界線の認識を変えるほどのインパクトは与えられないと考えました。そこで、僕は地図を3Dに進化させたミラーワールドを作ることを考えました。そしてミラーワールドという世界を体験できるメディア内で、アバターを通じて国境を超えて外国を体験したり、自身の物理的、身体的な環境の制約を超えて、世界を地理的に体験することで、世界への関心を取り戻していけば、「なめらかな社会」を実現することができるのではないかと考えました。

世界をなめらかにするために、世界を体験できるメディアを作ろう

3. ミラーワールドを構築するためのファーストステップ

眼の前の課題は、「待ち合わせ」

そうはいっても、そんなすぐに3DCGで世界中のあらゆる都市や自然を高精細に作ることは難しいです。
そもそも、世界への関心を増やし、自身の想像力を拡張するようなことは一長一短ではできないと思っていますし、ミラーワールドでアバターを通じて交流することを、熱狂的に喜んでくれるユーザーやお客さんは今すぐにはいないと思っています。

ミラーワールドをアバターで自由に飛び回れます!

というだけでは多くのユーザーを獲得することは出来ないと考えています。

じゃあどうするか?

今現在需要があり、課題があるところから始める!!

その眼の前の需要は友人間や家族間などの「待ち合わせ」にあると考えています。

ミラーワールドを使って「待ち合わせ」をどうアップデートする?

「待ち合わせ」というと、友人間や家族間である場所を決めたから、実際に顔を合わせて合う約束のことを指しますが、具体的にどのような要素に分解できるでしょうか?

  1. 友人間の場所を把握する

  2. 友人間の場所を説明する

この2つに分解できると思います。

個々で友人間の場所を把握し説明するという位置情報を巡った人々の行為の変遷を少しだけたどりましょう。

駅に黒板とチョークがおいてあり、黒板にどこで待ち合わせるかという情報を書いて、やり取りをしていた電話のない時代

LineやWhat's Upなどを使用して、テキストで居場所をコミュニケーションする時代

それが2Dの地図を用いて、位置情報を共有することでより直感的に居場所を把握し、説明することができるようになった時代。それが、Zenly(現在はSnapChat)やWhoo、Naunauなどです。

しかし、実際に使用してみると位置情報を把握したのはいいが、まだまだテキストコミュニケーションをしています。そして地図を読めない人が案外多いことや、なによりも場所を把握した後にすぐに別のアプリに切り替えている現状がありました。
なぜ別のアプリに切り替えたのだろうかと考えると、待ち合わせという行為自体が非常に退屈で、エンターテインメント性に欠けているからだと仮説を立てました。
位置情報を共有して場所を把握するだけのサービスでは、TiktokやYoutubeなどを見て切り替えてしまうのだと考えています。

そこで、より位置情報の把握を直感的に出来、容易にし、さらにエンターテインメント性を増やすためにはどうすればよいのかと考えた結果、ミラーワールドにたどり着きました。

ここで、ミラーワールドを使って、①誰に、②どんなものをメインで提供するのかを整理します。

①Who(だれに)

  • 待ち合わせ時に退屈さを感じている

  • 二次元マップで位置の把握が難しいと感じている

  • 位置の説明が難しいと感じている

という人に対して

②What(どんな価値を)

  1. 待ち合わせをエンターテインメントにする価値
    3D地理情報空間でアバター操作を通じたゲーム性を持たせることで「待ち時間をエンターテイメントにする価値
    待ち時間を待ち時間にしないディズニーランドのように!

  2. 場所把握の容易性という価値
    →位置把握を3次元にすることで、アバターで鳥のように空を飛べるようにし、俯瞰して居場所を把握できる「場所把握の容易性」という価値

  3. 場所説明の簡略化という価値
    居場所の説明をアバター操作を通じた直感的なナビゲーションに変える、場所説明の簡略化という価値
    テキストで説明せずにアバターでそのまま誘導したり、アバターに光の柱を立てたり、建物を透明にしたりすれば、説明しなくても良くなります。

4. ファーストステップを実行するために今やっていること

ここまででは、ミラーワールドを作ってただ世界中飛び回れます!というサービスでは、ユーザーは定着してくれず、世界をなめらかにできないと考えた結果、ファーストステップとしては「待ち合わせ」をアップデートするためのミラーワールドを作ることにしたという経緯を話してきました。

次に具体的な実装について話していきたいと思います。

まだ本当に需要があるからわからない仮説の状態であるため、プロトタイプを作成しています。
具体的に使うものは3つです。

  1. 3D地理情報空間プラットフォーム「Cesium」 

  2. ゲームエンジンである「Unity」※Photonも

  3. 位置情報を共有する「Mapbox」

CesiumプラットフォームはUnityと連携して、現実世界の3D地理空間をゲームで扱えるようにしています。詳細はこちらの記事をご参照ください

確かオーストラリア
ゲーム空間上に日本が収まっている図
サンフランシスコを歩くアバター

CesiumプラットフォームとUnityをかけあわせて、ゲーム空間上に3D地理情報空間を収めることはすでにできています。
そしてアバターを用いて地球上の様々な場所を走り回ったりすることもできるようにしています。

次に行うのは、

Cesium上でのアバターの位置情報と現実での位置情報を連動させる

ことです。

現実での位置情報を取得するためにMapboxというツールを使います。
Mapboxは米国初の地図サービスで、誰もが地図のサービスを作れる未来を目指して、地図情報をカスタマイズし、オリジナルの地図を開発できるサービスを提供しています。
たとえば、ZenlyやNaunau、Paypayなどに搭載されている地図はすべてMapbox製の地図です。そのサービスの属性や内容に応じて、地図をカスタマイズできるのがマップボックスの強みです。
Mapboxではユーザーの位置情報を元に広告を掲載し、地図広告のリーチを増やす取り組みを行っていたりします。

そのMapboxとCesium、Unityを組み合わせれば先程説明した、ミラーワールドで「待ち合わせ」をアップデートすることが可能なのではないかと思いつきました。

現在、Mapboxを使って現実の場所の位置情報を取得し、アバターに紐付ける開発を行っています!

アバターはただ走って歩くだけでなく、飛べるようにすれば、
俯瞰して街全体を見渡すことができ、友人を探すことが出来ます。
また、居場所が分からなければ、建物を透過したり、自分のアバターや友人のアバターに光の柱を立てれば、さらに直感的に友人間の居場所を把握することができると考えています。

5. どんな結果になりそうか?

XR業界では位置情報を容易に把握するためにどうしたら良いのかということを様々な技術的文脈から考えている人がいます。

場所を俯瞰して瞬時に把握するためのARのプロトタイプを作成している方々もいらっしゃいます。

僕は現時点ではVR技術を用いて実質ARと同じようなデジタルツインを作成することの方が位置情報の把握を容易にすることができるのではないかと考えています。
ARだと現実の建物を透過したり、自分の居場所を説明するというナビゲーションが大変で、場所を把握するのにスマートフォンを上へ持ち上げると恥ずかしく、手間がかかってしまうと思うからです。(AR技術自体は好きです!)

自分の仮説がバシっと当たるなら良いですが、おそらくCesiumプラットフォームを用いて行おうとすると、フォトグラメトリックな手法を用いていることもあり、下記のようなことをユーザーは感じるのではないかと考えています。

悪い反応

  • 建物や背景などが景観劣化していて、分かりづらい

  • 読み込みが遅いのでやりづらい

  • Cesium上の緯度経度、transformと現実の位置情報が上手く紐づいていない。

良い反応

  • 場所によっては、位置情報を把握するのが用意になった!

  • 待ち合わせ時に目的としていた場所にあらかじめ行けてシミュレーション出来てよかった。

  • 待ち合わせ中に色んな国を飛び回って旅ができて面白かった。

といった反応が想定されます。
悪い反応の方はほとんどが技術的な内容なのではないかと想定しています。
読み込みの速度であったり、Cesium上と現実の位置情報が上手く紐づいていないことに関しては、開発上の技術的なことであるため、頑張ります!

6.景観劣化が課題

しかし、景観劣化に関しては自分たちで動かせる変数ではないため、まだまだ技術的な発展を待つ必要があります。

そこで、景観劣化をなくすための朗報が入りました!
それが、佐藤航陽さんの開発している生成AIであるスペースデータです。

こちらの記事から画像を参照しました。

生成AIを用いて、フォトグラメトリック的な手法ではない別の方法で都市を見事に景観劣化なく再現しています。(本当にすごい)

今後スペースデータがどれくらいのスピード感で事業を展開していくのかは未知数ですが、3年~5年以内には日本のほとんどを生成することができるのではないかと考えています。
人工衛星以外にも様々な角度からの画像も必要そうだと思いました。

7.まとめ

ここまでの話をまとめると、

将来的には世界を体験できるメディアであるミラーワールドを作ることによって、世界をなめらかにしていきたいと考えています。

しかし、Cesium上でアバターを飛ばすだけのサービスでは、誰も使ってくれないと考えました。そこで、ファーストステップとして、「待ち合わせ」体験における課題をミラーワールドで解決していきたいと考えています。

待ち合わせにおける課題は3つあります。
1.   待つ時間が退屈でエンターテインメントが欠けていること
2.2Dマップによる場所の把握が困難
3.場所の説明が困難

という上記の課題を解決するために、Cesium、Unity、Mapboxを用いて現実の位置情報とメタバース上の位置情報を紐付けることで、上記の課題を解決しようと考えています。

そこで、景観が劣化していることが待ち合わせ体験を悪くするという予測があります。しかし、景観劣化をなくすための生成AIであるスペースデータが現れており、サービスをローンチするころには相当景観劣化も改善されるだろうと考えています。

将来展望的には、スペースデータも用いて地球全土を3DCGで再現し、「待ち合わせ」というファーストステップでとどまることなく、世界中を体験できるメディアを作りたいと本気で考えています!





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?