カミオは大手建設会社社長の１人息子。

幼い頃から父に帝王学を学び、生まれたときからその将来を約束されていた。 何不自由なく育ったのだが、自我が芽生えるにつれ、自分の将来に疑問を持つようになっていった。果たして、このまま親の言いなりになっていってよいものなんだろうか、と。

そしてついに、カミオは将来のことで親に反発する。

「俺は、もう父さんの言いなりになるのは、いやだ！」

「何を言う！　お前は父さんの跡を継ぎ、この会社の社長になるんだ！」

「イヤだ！　決められたレールの上を走るなんて、ごめんだ！」

「なんだと！　いいか！お前はこの会社の社長として、２０００人の社員を動かすために生まれてきたんだ！」

「そんなの誰が決めたんだ！　俺は、もっともっと、大きなものを動かす大人になってやる！」

そう言うとカミオは家を飛び出してしまった。

父は、そのうちに帰ってくるさ、とタカをくくっていた、しかしカミオの決心は父の想像以上に固く、とうとう家に帰ることはなかったのである。

　
　
　
　
　
カミオは現在、憧れだった電車の運転士として、毎日決められたレールの上を走り、たくさんの人間を動かしている。