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最高だった!心からありがとう~ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーvolume3~

 楽しみにしていたことが終わってしまった直後って、気が抜けてしまう。
 頭の中はあんなシーンやこんなシーンがくり返し思い出されるのに、何を書いたら良いのやら。頭がぼんやりしつつパソコンに向かっている。
 あまりに楽しみにし過ぎて、観終わったら喪失感に苦しめられるかなと心配したけど、多分最低もう2回は観るだろうから、今はまだ大丈夫みたい。私が案じていたような結末でなかったし、ちょっとした多幸感すらある。

 「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」、体調も悪くはなかったので公開初日の初回に観れた! こんな風に急いで観たいのは久しぶり。早く観るのは、ネタバレを恐れているからとかいうよりは、劇場公開している間に何回も観たいからだ。
 一ヵ月くらい前から段々楽しみになっていたから、2週間くらい前に「楽しみ!」のピークが来てしまった。胃腸がひっくり返りそうでどうなるかと思ったけど、思いを書いたらその後はなんだか落ち着いてきちゃって、前日もちゃんと眠れたわよ。

 遠足の日のように目覚まし時計よりさらに早起きしちゃったけど。


 *ネタバレあります


 いやあ良かった。
 「1」は、母への思いを乗り越えるクイルの映画。「2」は、父親の存在を確かめるクイルの映画。「3」は、ロケットの出自についてを通して家族への思いを感じられる映画だった。

 ざっくり書くとそうだけど、ジェームズ・ガンは一人ひとりをとってもとっても大切に思っているのがよく伝わってくるように撮ってくれるのだと思う。
 「1」も「2」も「3」も皆の個性がしっかり描かれていて、全員が大切な存在だと観ている側に思わせてくれる。
 そう思うには、皆の成長ぶりと互いを思う気持ちを丁寧に描かなくては伝わらないはず。気持ちは皆の細かな表情や言動に表れてくる。
 何かを言う時の誰かの表情。言われた時の表情。一人で何か感じている表情。
 その微妙な心の変化や移り変わりを、こんな情報量が多くてスピード感ある中に細やかによく見せてくれる。一人ひとりが何とかしようとして、何か考え、感じている。
 言葉がない瞬間のそこにも心動かされる。

 すでに大好きな映画となったけれど、残酷で私には焦点合わせらないシーンも出てくるし、ただあまりにひどくて現実のものと思えないかな。そういう意味でもジェームズ・ガンらしさ満載。そして本当に残酷なのは、支配したい人の心なのかも。
 圧倒的な悪役が出てきたし、その背景について今回はナシ。そんなのはもはや重要じゃないとばかりに、起きている出来事がひどすぎる。
 ロケットが語らなかった過去が、思わぬ方法で明かされるけれど、可愛くてかわいそうで悲しくて胸が引き裂かれそう。

 あとは……ああもう一人ひとり書いた方が良いのかな。長くなっちゃいそうなのよね。
 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのキャプテンとなったクイルは、「1」で母への思いをどうにか消化して、「2」で父と対決を果たし、創り上げた憧れを断ち切る。彼が盗みを重ね、いい加減で無責任だった頃から皆の気持ちをまとめていくようになるまで、長い道のりだった。本来、誠実で真面目で勇敢なのだ。
 ガモーラの描き方も素晴らしかった。一度養父サノスに生贄とされ殺されて、観ている側も絶望したけど、過去からサノスと戻ってくる。もちろんガーディアンズたちと過ごした日々を覚えていなかったけど、今回「3」の登場シーンはずっと納得できる風になっていた。ちょっと乱暴な喋り方になっていたのは、ラベジャーズと家族の絆を作れたからかもしれない。
 ネビュラもずっと義姉ガモーラと養父サノスを憎み、それ故まわりのものすべてを憎み、冷たい鎧で自分を覆っていた。でもガーディアンズのメンバーたちと時間を過ごし、サノスの指パッチン後は、宇宙にトニー・スタークと二人きりで長く過ごした。その後見つかってから何年もロケットと共に。そこで誰かと触れ合う温かさを覚えたのは見ていてわかる。冷酷だった彼女は仲間を思い、冗談を言い、涙を流せるまでになった。最後ではじける笑顔を見せてくれた時には胸がいっぱい。
 マンティスがクイルと異母兄妹だったことは、ガーディアンズのクリスマスドラマ「ホリデースペシャル」で知った。エゴの娘で、エゴに仕え、自分の意志などきっと皆無のように育てられたけど、目に余るエゴの殺りくからガーディアンズを救いたい気持ちが芽生えたのか。きっと短い間に感情を交わせる仲間だと知ったからだろう。エンパスの彼女は人の感情を読み、優しく、遠慮がちで怖がり。だけど少しずつその力に自信を持っていく様子がわかる描写の数々の愛おしさよ。ちょっとおてんばで可愛いのもまた親しみがわく。
 ドラックスは妻と娘を殺されて孤独だった。美的感覚が私たちとはちがって独特な上、比喩がわからず使いこなすこともできず、誤解したりされたり、こちらから見ると不器用きわまりない。表情も怒りか大笑いか以外はわからないとぼしさなのだけど、それ故、彼が仲間を思う時の言葉はそれ以上でもそれ以下でもない真実味があふれていて力強い。ガーディアンズのメンバーといると大笑いする時もあり少しずつ心を溶かしていったのか、最初は復讐心にだけ燃えていたけど、仲間を守るために戦う。彼が父親らしさを見せた時に何故か私は猛烈に感情の波が押し寄せてしまった。
 グルートは「木」で、最初に登場した時はおっとりしていておじいさんくらいの年齢だったのではないかと思う。ロケットと良い相棒で、この二人がどうやって出会ったのかを知りたいな。スピンオフしてくれないかしら。「1」の終盤で自分を犠牲にして死んでしまうシーンがなんとも美しく描かれていて、きれいごとなんかじゃないのに泣かずにいられない。ロケットとの絆を思わせ、その後挿し木として成長を始める。鉢で成長していく様子と「2」で踊ったり自我が芽生えたり、とにかく大きなクリクリの目が「ずるい!」と多くの大人を身もだえさせた。ずるいぐらいかわいらしいのに、戦うとかなり残酷なところは「1」と変わりない。「アベンジャーズ/インフィニティウォー」では思春期っぽい反抗的な態度を見せ、今回は強くて皆を思う青年となって成長している。
 「I am Groot」としか聞こえない言葉だけど、心を通わせられるようになると何と言っているのかわかる。「1」の最後では「We are Groot」と観客にわかるようになっているし、「3」でも最後にわかる言葉がある。

 そしてロケット。「1」で背中に縫合の跡が生々しく残っているから、何かあったのだろうとすぐにわかるのだけど、それ以前にアライグマが二足歩行で喋って、機械関係にやたら精通していて、武器の使いこなしが異様に上手いから「普通じゃない」ってすぐわかるよね。しかもやさぐれていて、ガラが悪い。
 ガーディアンズのメンバーとして活躍し、その後ヨンドゥと言い争って「いい加減、イキって悪ぶるな」というようなことを言われた時に次の一歩を踏み出せたのではないかと想像している。「インフィニティウォー」で仲間をなくした時には、ネビュラと手を取りあって治安維持にも努めていたのが印象的。
 今回は語られなかった彼の出自について。

 9年前に夫が「可愛いアライグマが出るよ」と言っていたのが、まさか今回9年越しに「可愛い~」って実感するとは。長年に渡っての夫の振りだったのかと思うくらい、可愛くて可愛くて。ちっちゃい頃も、子供のような言葉を話している頃も。自分が「ラクーン」だとしっかり認識した瞬間も。みんなを逃す瞬間も。彼の表情一つ一つが本当に心から愛おしい!

 ほかに「1」から出演していたクラグリン、「3」から新たに犬のコスモ、アダム・ウォーロックも活躍する。

 特に印象に残ったシーンはたくさんあったけど今回は、心がグラグラ揺さぶられたシーンいくつか。
 ロケットがライラたちとしゃべっているシーン、友達の存在を喜んでいるシーン。そして意識の中で再会するシーン。
 さすがに書けないけど、最後にある人とある人が再会するシーンでも涙あふれた。
 意外だと自分で思ったのが、ドラックスにいちいち心動かされてしまって。子供たちを相手に父親ぶりを発揮するかわいらしいシーンなのに、何故か涙が止まらない。なんでこんなところで。よくわからないのだけど、琴線に触れたようだ。

 改めて書きながら再認識したのは、全員が最初は孤独で心のよりどころがなかった。口が悪く、態度も悪く、まわりに対して信用も信頼もできないから冷たかった。でもバラバラだった一人ひとりが互いを思うようになると、元々あった自分の「良い部分」が出てくる。みんな誠実さや真面目さや温かさ、仲間を思う心が本来あった。みんな家族を欲していた。そんなふうに互いを思い、言葉にできるようになったのは、ピーター・クイルの勇気で立ち上がったおかげなのではないかと今思う。
 そしてその意志は引き継がれていく。
 今回の「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズは終わったけど、彼らにずっと希望を持っている。

 ジェームズ・ガン監督には魔法をかけられたように、見た目の汚らしい世界から美しいものを、耳障りの良くない口の悪さから温かい世界を見せてもらった。相反するもののようで、根っこにあるものを見つめる大切さを感じさせられた。
 エンドロールではジェームズ・ガンから観客に向けて愛を贈られているようで、心の中でこちらも愛と感謝でいっぱい。
 いっぱい笑かしてくれて、いっぱい泣かせてくれて、楽しくて切なくて最高だった。
 ありがとうジェームズ・ガン監督率いる「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」。みんなみんな大好き!!

 あっ選曲。もちろん良かったよ。サントラ、ヘビーローテーション間違いないからね。

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