見出し画像

「結婚=子供」とは限らない

 芸能関係の話題ですが、磯野貴理子さんの離婚で、「相手が、子供をほしがったから」が理由だと言われましたね。

 夫婦の問題は、仲の良い友人の話であってもなかなか全容は理解しきれないものなのに、ましてやテレビで観ている人が、理由の一つを言っただけで、それがどれほどのものか、二人の間で交わされる会話や気持ち、積み重ねてきたもの、すべてを含めた真実は誰にもわからないでしょう。
 だから、磯野貴理子さんのその言葉ですべてを判断できません。もしそのように言ったのが決定的な原因だったとしても、他にも色々あるかもしれないし、彼女の受け取り方だったのかもしれません。ダンナさんだった人も、もっと他に理由があったのかもしれないし、もしかしたらニュアンスは違ったのかもしれません。
 何を言っても憶測なので、この二人当人たちについて、憶測もしませんし、直接的な意見はありません。

 私が思うのは、その二人の意思や本意と関係なく、ただ「結婚や離婚を、すべて子供とつなげないでほしいなあ」です。


 結婚する時、夫に「二人で、○○家(夫の育った家庭)でもない、○△家(私の育った家庭)でもない、新しい家庭をつくろうね!」と話しました。それは結婚する頃から持った強い気持ちで、今も変わりません子供がいるいないに関わらずの意味でした。いつの日か子供を持つんだろうとは何となく思っていたけど、二人で独自の家庭を作るのが、私の「結婚」の形だったのです。

 ニュージャージーに住んでいた頃は、外国で出産の不安もあり、結婚したのが付き合い始めて一年も経っておらず、二人の時間を楽しみたい理由もあって、まだ子供ができないよう気を付けていました。
 ところがその後、札幌に住み始め、もうそろそろ子供ができるかなあと思ってからも、これがなかなか。

 このころに「どれだけ努力しても、実らないものはあるのだ」と思い知ります。努力すれば必ず形になるなんて、そうばかりではないんですね。私たち夫婦は何度も挫折し、検査を受けます。どこまで検査するか、対処するかをさんざん確認し合いました。元々生理痛がひどかったので、何のためにこんな苦しまなくちゃいけないんだと毎度虚しさを伴うものとなっていきました。

 子供ができない間、周りから色々な言葉をかけられました。そこで「大丈夫だよ」の言葉のしんどさもまた思い知ります。支えになる「大丈夫だよ」もあります。絶妙なタイミングで、おまじないのような力となる言葉、「大丈夫だよ」は、「きっと子供できるよ、大丈夫だよ~」で、一気に残酷なものに。
 何故そんな風に言える? どうしてわかる? できるから大丈夫なの? できなかったら大丈夫じゃない人と思われるの?

 「子供は?」と聞くのは会話の流れで、私は傷つきはしませんでした。でも「大丈夫だよ、できるよ」に対しては、笑顔で受け答えしても心の中で腹を立てていました。その「大丈夫」は軽すぎる。

 5年目、ある検査をし終わって間もなく、私は妊娠しました。もうこの検査でできなさそうだったら、この先の処置は諦めて、子供のいない人生でも良いねと話していました。

 結婚して5年程の二人の生活は、それはそれでとても楽しいものでした。そのまま子供のいない人生だったかもしれないなあと、今でも考えます。

 だから思うのです。
 子供がほしいのは、結婚の理由の一つであっても良いけれど、すべてではない方が良い。

 子供ができない身体は、夫側にも妻側にも原因がある場合があります。大した原因などないかもしれません。原因を追求しない自由だってあります。子供のいない家庭を選択したって良いわけですよね。それは最初から決めたものかもしれないし、葛藤を重ねていくうちに決めたものかもしれない。何となくそうしたかもしれない。少子化は問題だけど、じゃあやみくもに生んだ方が良いって環境でもないですよね。改善なく一時的な対策で子供は増えません。

 ニュースの素がほんの少しズレますが、本質は同じ内容と思って書きます。
 何人産めば良い、少子化を食い止めるためになんて、子供のいない夫婦に選択や自由はないのでしょうか。努力してもできなかったとして、一度もまったく葛藤がなかったとでも言うのでしょうか。たくさん産めば国が潤うなんて、今の社会に言えるでしょうか。子育てしやすい環境が都市にありますか。地方にありますか。目の前の事件を知る度に、子供が育っていく家庭の在り方、犠牲になった方々の家庭を思いやって、そんな簡単に言えないでしょう。無責任な発言が取り上げられる度、前後のニュアンスがどんなものであったとしても、憤りを感じます。さらには、女性は子供を産むのに命をもう一つ自分の身体に預かり、命がけで産むのです。医療が発達したって、夫婦はそのためのマシンではありません。

 磯野貴理子さんのダンナさんだった人が、次結婚する相手と、必ずしも子供ができるとは限らない。彼の本当の気持ちがどうあれ、それだけを目的に「結婚する」と思うことについて、今一度、考えてほしいのです。いや、その二人に向けてでなく、これから結婚を考えている人、「子供ができないから」が理由で離婚しようとしている人、すべてに向けて言いたいです。(※他の理由での離婚に関しては、それで幸せや安静を求められるのならそちらの方が良いと思います)
 どんどんできる人もいる。でもどうしたってできない人もいますね。
 まずは二人で「家庭」は作れます。子供がいなくたって幸せな夫婦はたくさんいます。

#エッセイ #結婚 #夫婦 #子供 #家庭

読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。