27歳なりに読んだ人に感動を刻む小説書いてく予定が世界救ってた 第14話~〇〇にやさしい~
「そうですね……可愛いと思います――さて、今が午前8時。ここから厠のマンションとの距離が110kmで高速道路と車を使用しおおよそ1時間前後で到着です――到着次第テレビ局や各SNSの一部に厠の暮らすマンションの位置と目撃写真を送り向かいの喫茶店の中から様子を見て神尾の手先らしき人物が現れたら――」
「ボクの出番ですね~、怜サンそれは二人っきりでシタ打ち合わせ通りでオネガイネ~」
怜はゆっくり頷いた。
ゼロ計画はだいたい、昨日聞いていた通りの流れだった。
※11話参照↑
私は数々の苦い人生経験から物事にはアクシデントが付き物だと分かっているのでこの時点である程度何かしら起こるものだと心の準備をした。
「では、早速皆さま変装をして頂きますので、トムさんと厠は隣の部屋へご移動を――優華様はこちらの部屋へどうぞ――」
怜は左右別々の部屋の襖を開けて、男女で別れさせ15分以内に着替える様にと言った。
目の前には変装の為の、多量の衣装や小道具が用意されていた。
(何?このスパイ映画みたいな展開……)
トムは不気味な笑顔をして私を見ている。
「ボクガコーディネイトしてシンゼヨ~ウ」
「へ!?」
トムは私にハンチング帽と丸いサングラス、それに髭を鼻の下に両面テープで貼り付け――服装はかなりイカしたスーツ姿に仕立てた。
ネクタイは赤で、さりげなく胸ポケットからはハンカチが顔を覗かせている――靴は英国貴族が履くような何とも高そうな革靴を選んでくれた。
私は最初、ため息をつきながらしぶしぶ着せ替え人形の様な気持ちでトムに付き合って着せ替えさせられていたが何故かまんざらでもない気持ちになって私は正直……楽しかった――。
お返しに、トムの恰好は私が選んであげよう――
彼には動きやすくて、身長が高いのでタイトで格好いいこの少し薄灰色のスーツが似合うだろうな――
「トム、こっちの服なんだけ――」
「あー、カワ!先にサッキノ部屋で座ってナ~!」
私は自分が必要とされていないことが少しショックだった。
(え?なに?この敗北感と言うか虚しさ……)
私はトボトボと先程の部屋に戻り元の位置に胡坐をかいて座りみんなを待った。
――みんなどんな格好で来るんだろうな……トムはトムで、なんかオレに優しいしまぁ……なんかこんな状況で緊張感ないのもいけないけど……ちょっと今、幸せかもなぁ――
【by大河】
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