【図解あり】ビジネスが加速する、20代で知っておきたい経営戦略の全体像と戦略策定

「経営戦略を説明して頂けますか?」あるいは「経営戦略や事業戦略を立案する上での一連のプロセスを教えて頂けますか?」

このように質問されて、明確に回答することのできるビジネスマンは今の世の中にどれくらいいるでしょうか?

1円払えば誰もが会社を設立し、代表取締役に就任することのできる今、ベンチャー企業が次から次へと誕生し、ポテンシャルの高い若手が入社早々で部長に昇進することのできる時代になっています。それは魅力的な反面、経営や事業戦略というものを誰からも教わらずに感覚だけで組織を動かしているということに他なりません。そのようなビジネスマンが量産され、今後の日本を背負っていくのだと想像するとゾッとする時があります。

まさに20代中頃の私自身もその1人でした。現在も横浜に拠点を構えているノガン株式会社という総合プロデュースカンパニーで2014年頃まで取締役として在籍していました。法人化した当時は行政のお仕事が多くアルバイトなども含め10~15名程が所属していましたが、到底マネジメントなどと呼べるものは機能せず、PLやBSなども会計士に任せっきり、いま振り返ると何も成立していなかったと反省しかありません。

そんな当時の私のような経営初心者や、今後事業を立案し引っ張っていく予定のビジネスマン向けに幾通りもある戦略策定プロセスの中からできるだけ実務で漏れなく戦略を策定することのできる方法をご紹介し、少しでも力になれればと考えております。

まずは経営戦略の全体図を暗記することが先決

よく社員総会や納会などで「全社戦略」や「事業戦略」という言葉を耳にすることがあると思います。これらは決して切り離して考えるものではなく、全社戦略と事業戦略は一括りの「経営戦略」として捉えることが重要となります。事業戦略はあくまでも全社戦略に基づいて細分化されたものであるため、これらを考慮せずに事業戦略を策定することは企業が抱える経営理念やビジョンを無視することとなります。

では、経営陣が掲げる全社戦略をベースとし、どのようなフローで事業戦略を立案していく必要があるのか、以下より説明していきます。

立案フローは順を追った方が問題点の発見に繋がりやすく部分改善を行いやすい

マネジメントする上での4象限ルールの場合、

・ビジョンマネジメント
・戦略マネジメント
・PDCAマネジメント
・メンバーマネジメント

が順に存在します。

この順を守らなければならない理由はお分かりでしょうか?

仮にビジョン達成に向けて進捗が悪かった場合、戦略が悪いのか、メンバーの達成率が著しくないからなのか1象限ごとの達成率を把握することで原因を早急に突き止めることができ、且つ部分改善を行うだけで全体ビジョンの達成に大きく近付くことができるからです。

上記のように事業戦略においても同様です。戦略の実行を行ったところで成果が出ない場合、決まって外部分析の調査が浅かったり、自社の強みをはき違えていたりといずれかのフローで間違いが起こっていることが多々あります。

そういったことが起こらないためにも以下の手順に従い、時間をしっかりと使いながら戦略を練っていくことが重要となります。

【Flow1:「外部分析(環境分析)」でマクロ環境を捉えろ】

外部分析の目的はただ1つです。それは自社が戦っている、あるいはこれから戦おうとする市場での成功要因を見つけることです。マーケティングの世界には3C分析やSWOT分析などといったさまざまなフレームワークが存在します。ただそれらはあくまでもこういった成功要因を見つけ出すための手段でしかないのです。

外部分析には大きく分けて「顧客」「業界・競合」が存在します。それぞれの分析に適した方法やフレームワークをご紹介していきます。

▶顧客向け

・ニーズ抽出、インサイト抽出(顧客の求めているものや深層心理を読み解きます)
・決裁者の把握(営業戦略を組む上で必要な要素となります)
・購買決定要因 / Key Buying Factorの調査(自社の強みを決定づける理由を見つけます)

▶業界・競合向け

・PEST分析 / マクロ環境分析(事業にとって重要なマクロ環境を重点的に分析します)
・アドバンテージマトリックス、ファイブフォース分析(5つの力を構造的に把握)
・コスト構造分析(原価や労務費など自社の目標に近付くためのコストを可視化します)※ウォーターフォールグラフなどで表すと分かりやすくなります

1つ注意点として、上記を全て実施しなければならない訳ではなく、あくまでも必要や目的に応じて分析することが工数削減の観点からも重要となります。

【Flow2:「内部分析(環境分析)」でバリュープロポジションを明確化】

外部分析に続いて重要なのが内部分析です。内部分析の目的もただ1つ、自社が持つ経営課題を特定することです。経営課題を特定する上で代表的な方法は以下の通りです。

・バリューチェーン分析(企業活動を細分化しどの部分で付加価値が発生するかを確認)
・コスト構造分析(コスト構造を明らかにしどの数値を大切にするのかを明確にします)
・VRIO分析(経営資源の強みや自社の優位性が何になるかを理解します)

一般的にバリューチェーン分析は(物流事業などであれば)調達~製造~配達までのプロセスを可視化し、それぞれのプロセスが市場成功要因としっかりと結び付いているか否かなどを分析し、改善または組み立てをしていく方法が一般的です。

一方で大手企業などで起こりがちな他事業部連携問題(事業部間連携が上手くいかずシナジーを生み出せない問題)の解決などでも活用することができるため、ぜひ覚えて使いこなしたいフレームワークの1つです。

【Flow3:PDCAサイクルを意識した「事業戦略の立案」】

Flow1で明らかにした市場での成功要因とFlow2で明確にした自社の強みや弱みを比較し、生まれたGAPを事業立案に活かしていきます。活かし方は自社の強みをさらに伸ばす、弱みを補う、GAPから見出した気付きを新規事業の創造に役立てるなど方法はさまざまです。

GAPという言葉の意味が分かりづらいと思う方は下図を参照して下さい。ある飲食店の場合において戦略立案までのフロー例を記載しています。実際は更に定量的で具体性を兼ね備えたものでなければならないため、あくまでもイメージとして捉えてもらえればと思います。

【Flow4:PDCAサイクルなくしては事業戦略はより良いものにならない】

Flow3で立案した戦略は必ず定点で検証し、改善ができるように進捗管理表などに落とし込むようにしましょう。

まとめ:経営戦略の必要性

今回の記事では経営戦略の全体像と事業戦略の位置づけ、立案フローを説明していきました。一部のビジネスマンからすると、経営戦略や事業戦略という言葉はとてもふわふわとしたものであり、どうしても感覚で捉えがちになります。

しかし、今回説明した通り、しっかりとフローに従い分析を通じて得たファクトから立案する戦略は、揺るがない強固な組織を創るうえで非常に欠かせない宝へと変貌します。今日からさっそく体現することで3ヶ月後、きっと周囲のステークホルダーに対して自分の言葉で経営戦略を説明できるビジネスマンに成長を遂げているはずです。

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s未来は想像以上に明るい。

大手企業、ベンチャー役員、事業部長、漁師などを経て、現在7社目の少し変わった経歴を持つ33歳のジョブホッパーです。 実体験から学んだことだけをもとに発信しています。