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音楽ネタ

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音楽ネタあれこれ。
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ヤードバーズがやろうとしていた音楽の正体がわからない

ヤードバーズ。 あなたは、この1960年代のイギリスに於いて登場したよくわからないグループについて、どんな知識をお持ちだろうか? チャーリー・パーカーの二つ名から取った名前、というのが知られているかもしれない。 有名どころとしてはビートルズやローリング・ストーンズは知っている、という人もいるだろうし、場合によってはザ・フーやキンクス辺りも知っている、という人も多かろう。 これらと比較すると、ヤードバーズは少々分が悪い。 そんな中で最もよく言われるのが、エリック・クラプト

Don't get angry with Hackney Diamonds~ローリング・ストーンズ最新作をレビューする

序章もうミックもキースもお爺ちゃんだし、ビルはとっくの昔に一抜けたしてるし、チャーリーは死んだし、ロニーはいるけど、懐メロをアリーナでやって大ウケしながらフェイドアウトしたら、それもまた彼らしくて良いかも…。 少なくとも自分はそう思っていた。 たぶん、次に出すアルバムはローリング・ストーンズの終わりの始まりになるだろう、とさえ。 そして、その見立ては今も変わっていない。あまりにもゲストが多いし、それらに埋没はしないけれど、「A Bigger Bang」の時みたいに外部の

オフコースのオリジナルアルバムを勝手にレビューするシリーズVolume18:「STILL…a long way to go」

オフコースとしての最終スタジオアルバムに到達した。やっと本作に辿り着けた。 もはや、オフコースがオフコースであるという必然性が薄れた、そういう作品でもある。だから、最後のアルバムにもなったわけだが…。 序説そもそも前作辺りから、制作スタイルが変化しつつあったオフコースは、既にバンドである必然性を失っていたとも言える。 鈴木の脱退から再開したバンドが打ち出した「若いメンバー個々が力をつけるためにも3年間は続ける」というコンセプトは、もはや形骸化し、さしたる意味を持たなくなっ

オフコースのオリジナルアルバムを勝手にレビューするシリーズVolume17:「as close as possible」

いろいろあってすっ飛ばしてましたが、残り二作なので。 序説前作「Back Streets of Tokyo」が。言わば企画盤だったので、今回は久々のオリジナルの新曲を結集したアルバムとなるわけだが、それにはいくつかの留意点がある。 1:外部の作詞家(秋元康や松本一起、Randy GOODRUMら)の起用 2:外部の作曲家(ここではDann HUFF)の起用 3:有名ゲスト(「嘘と噂」に於ける大貫妙子や坂本龍一など)の起用 こういう留意点がある。他にも、小田・松尾に加えて

寂しき人々は何処から来て、何処に落ち着くのか?~Eleanor Rigbyに関する一考察

ビートルズの活動中期に「Eleanor Rigby」という、ストリングスをバックにポール・マッカートニーが作詞作曲して歌う2分少々の短い曲がある。 以下は、この曲についての個人的な考察だとお思いいただきたい。 アルバムで言えば「Revolver」に入っていて、バンドスタイルではなく、先述したようにストリングスをバックに歌われる2分ちょっとの小品である。 ポール・マッカートニーによって、ビートルズの活動中にレノン=マッカートニー名義で作られた曲だが、後述するように彼自身もセル

オフコースのオリジナルアルバムを勝手にレビューするシリーズVolume16:「Back Streets of Tokyo」

四人時代二作目。今回は全曲英語詞。 序説実を言えば、オフコースは予てから(鈴木康博在籍時から)、英語によるレコーディングを試みていた。 実際に英語版「こころは気紛れ」である「Susan」なる作品も聴いたことがある(バッキングトラックはシングルのテイクを流用したもの)。 また、「ワインの匂い」に収録された「愛の唄」を、カーペンターズに歌ってもらいたいと、デモテープを制作して、カーペンターズサイドに贈ったことがあるらしい。 残念ながらカーペンターズがその曲を取り上げることはなか

オフコースのオリジナルアルバムを勝手にレビューするシリーズVolume15:「The Best Year of My Life」

ここから四人時代になる。 ま、あと、これを含めて四枚だ。 序説鈴木康博は1983年に契約満了と共に脱退した。その理由は、たぶん鈴木本人が「こうだよ」と明確に言葉にしない限り、どれもこれも違うと思う。 だから、ここでは敢えてその理由を断言しない。しても、意味がない。そんな「俺はこう思う」式のことを書いても仕方がない。 小田は、鈴木の脱退後、オフコースとしての活動をどうするか、それどころか自分の今後ですらどうするか、明確には決めかねていたようだ。 それはそうだろう。何だかん

オフコースのオリジナルアルバムを勝手にレビューするシリーズVolume14:「オフコース・シングルス」

ここまで2人期から5人期までを振り返ってきたが、今回は4人期の4枚のアルバムに行く前に、5人期までのシングル集を紹介しておく。 3枚組のアルバムだ。ちなみにオフコースは非監修なのだが、三種類ある公式ベスト盤の「SELECTION」の選曲がどうも気に入らないので、こっちを選んだ次第。 序説オフコースの、少なくとも1973年から1982年までのシングルが全て網羅されている。 従って、以下の1972年以前のシングルは収録されていない。 「群衆の中で/陽はまた昇る」 「夜明けを

オフコースのオリジナルアルバムを勝手にレビューするシリーズVolume13:「NEXT SOUND TRACK」

このシリーズの今年の一発目はこれから行く。 これは、1982年9月21日にアルバムが先行して発売され、8日後の1982年9月29日にTBS系列の「日立テレビシティ」枠で放送されたテレビ番組「NEXT」が元になっている。 番組についてはリアルタイムでも見ているが、何せ40年前の話だし、今回改めて視聴したこともあり、それも踏まえて後述する。 メンバーが着ぐるみを着ている、という様子を見て、これを思い出す人も多かろう。 ザ・ビートルズの大変に有名なテレビ番組である「マジカル

ご当地ソングはワイルドに

その昔、JUN SKY WALKER(S)の曲に「Let's Go Hibari-hills」というのがあった。 その名の通り、西武線沿線にあるひばりヶ丘駅周辺をモチーフにした、言わばご当地ソングである。 その頃、駅周辺にあったらしい店の名前がたくさん登場する。これだけ聴いていても、当時の周辺事情を知らないのに、楽しめてしまう。 繰り返しになるが、この曲はキメ言葉の「俺の一等地」に辿り着くまでに、様々なランドスケープが顔を覗かせてくれる。 例えば出だしに出てくるブックス

オフコースのオリジナルアルバムを勝手にレビューするシリーズVolume12:「I LOVE YOU」

「Over」を最後に長らくサボっていたが、まだやっている。久々に取りかかってみようって気になったのだ……というのは冗談だけど。 5人時代最後のオリジナルアルバムで、例の武道館10日間公演の終了翌日にリリースされたアルバムでもある。 というと「NEXT」があるじゃん、って話になるが、あれはあくまでもテレビ番組のサウンドトラック盤なのであって、純然たるオリジナルアルバムとは言い難い。 「NEXT」についてはいずれ更新するであろう別項に譲ろうと思うので、そちらをご参照願いたいもの

SHISHAMOの「明日も」という曲が好きになっている

SHISHAMOというスリーピースの女性バンドがいる。 そんな彼女らの曲に「明日も」というものがある。 このビデオクリップの撮影場所が川崎市の等々力競技場ということからもわかるのだが、このバンドのメンバー全員揃って川崎フロンターレのファンらしい。 そして、川崎フロンターレの応援では、サポーターが歌うチャントにこの曲が用いられているのだという。 この曲、1番が男子新社会人の立場で、2番が女子学生の立場で歌われていると思われる。 この曲で歌われている「ヒーロー」は、たぶ

だいすき

岡村靖幸という人の楽曲をそれほど積極的に聴くわけでもない私ではあるけれど、この曲だけは別だ。 岡村靖幸の「だいすき」と運命的な出会いをしたのは、当時愛好して聞いていたビートたけしのオールナイトニッポンの中でのこと。番組の中程ぐらいで、たけしはこの曲を紹介した。 この曲のイントロが流れ始めてきた時、私は、決してオーバーでも何でもなく「なっ、何じゃこりゃあああ!」と夜中にもかかわらずデカい声を挙げてひっくり返りそうになった。 ラジオで流れたのはワンコーラスだけだったが、それだ

オフコースのオリジナルアルバムを勝手にレビューするシリーズVolume11:「Over」

やや順番が前後したが久々にやろう。ということで「Over」だ。 このアルバムぐらいになると、1曲の長さが極端に長くなりがちで、4分未満の短いのは「心はなれて」のインスト版と歌入り、それに4曲目に収録されている「ひととして」(海援隊とは同名異曲)ぐらいなものだろう。 というわけで、例の如く敬称略。中黒についてはもう触れない。 序説この辺りから、オフコースの解散説が出始めてくる。それは、鈴木康博が脱退を希望していたからだが、彼とて小田をはじめとする他のメンバーを嫌悪していたわ