keiko kamijo

上條桂子。フリーランス編集者・ライター。雑誌で編集執筆を担当したり、企業広報誌や展覧会…

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上條桂子。フリーランス編集者・ライター。雑誌で編集執筆を担当したり、企業広報誌や展覧会の図録などの編集にも携わっています。インタビューをすることで成長してきました。著書に『玩具とデザイン』、編集を担当した本は多数。

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    美術、舞台、映画、読書、漫画などの覚書。見てすぐに書くものもあれば、過去に見たものを思い出しているものもあります。

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Netflix アニメーション 『家をめぐる3つの物語』 がとてもよかった

Netflixの「家をめぐる3つの物語」よかった〜。原題「The House」のままでいいんじゃないかとは思ったが。ストップモーションアニメの3作家によるオムニバス作品なのだけど、どのを作品もかわいいビジュアルに反して毒味が強めで私はめっちゃ好みだった。 ●『内側で聞こえて紡がれるウソ』(監督 Emma de Swae f& Marc James Roels) (image by netflix) 1本めの『内側で聞こえて紡がれるウソ』(監督 Emma de Swae

    • 日常の記 202001005-1011

      ● ○ ● 10月5日 ○ ● ○ ●  記憶がない。 ● ○ ● 10月6日 ○ ● ○ ●  鼎談した。 ● ○ ● 10月7日 ○ ● ○ ●  雨、雨、雨。一気に寒くなった。昼間は取材をし、その後は浅草で『いきなり本読み』を見に行った。岩井秀人さん率いるWAREが主宰するイベントで、何度か見ている。俳優たちがある戯曲の脚本を読み上げるという企画なのだが、ほんっとにそれだけじゃなーい。と声を大にして言いたい。俳優っていう人たちがどういう風に、脚本というテキストから人

      • 日常の記 20200914-0921

        ● ○ ● 9月17日 ○ ● ○ ● ○ キャンプから帰宅。韓流ヲタの友人から「青春の記録」のYoutubeリンクが届いていた。そうだ、今週はまだ見ていなかったと気が焦る。「青春の記録」は9月7日から Netflixで配信が始まった、パク・ボゴム(1993年生まれ)とパク・ソダム(1991年生まれ)が主演のドラマである。俳優志望のサ・ヘジュン(パク・ボゴム、子犬のようなうるうる目)とメイクアップアーティストに憧れるアン・ジョンハ(パク・ソダム、『パラサイト』の娘役がめっち

        • 日常の記 20200907-0913

          ● ○ ● 9月8日 ○ ● ○ ● ○ 『サイコだけど大丈夫』が佳境にさしかかってきた。終盤一気にサスペンス要素が強まってきたけれども、コ・ムニョンとムン・ガンテ(キム・スヒョン)が抱える苦悩は大きくなるばかり、これを見ていてあるドラマを思い出した。坂元祐二が手がけたドラマ『それでも、生きてゆく』だ。満島ひかりを筆頭とした加害者家族と瑛太ら被害者家族の心が通いあうことができるか、という難題に挑戦したドラマだ。ああ、サイコのどうしようもない辛さはそれでも生きてゆくに通じてい

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          4本

        記事

          日常の記 2020831-0906

          ● ○ ● 8月31日 ○ ● ○ ● ○ 子が日増しに面白い。踊りのようなものを始めたのはずいぶん前だが、テレビでセサミストリートの歌コンピを流しておくと、両足を肩幅より大きく横に広げ、四股を踏むように両足を交替で踏み込みどっこいどっこいさせて音にのる。セサミやテレタビーズを見ていると、小さな黒人の子がものすごいリズム感で全身をくゆらせて音にのる様子が見られるが、これにはどういう差があるんだろうか。四股を踏む我が子ももちろん愛おしいのだが。朝からYoutubeで四股踊りをし

          日常の記 2020831-0906

          日常の記 2020824-0830

          ● ○ ● 8月24日 ○ ● ○ ● ○ 朝ホットヨガへ。定期的に銭湯とサウナに行きたい欲を満たすために始めたホットヨガだが、週2くらいで定期的に通えている。風邪も治ったことだし、朝から行く。マスクをしているおかげでメイクのことを気にしなくてもいいし、サングラスにマスクに帽子という姿がさして珍しくない状況なので、変に自意識過剰にもならなくていいのがいい。数年ぶりに始めたヨガはやっぱりキツくて、かたくなった体やたるんだ脂肪と向き合うのは嫌だし、鏡も見たくないという気持ちは変

          日常の記 2020824-0830

          日常の記 2020817-0823

          ● ○ ● 8月17日 ○ ● ○ ● ○ 父の命日。一年経った。去年の暑さはどのくらいだったかな。今年は夏が来たのは早かったものの、夏が辛過ぎて外に出られない。一周忌の墓参りに行きたかったがコロナということもあり、周囲の目に気を遣う母から来るなとの連絡があり、父の墓を参ることはできなかった。「西の空に向かいお父さんを偲んで下さい」と母からLINE。まあ、その通りなんだけど、母のこういうエモさが苦手だ。 午後、ミーティング。小さなグループなのにこんなにもコミュニケーションが

          日常の記 2020817-0823

          Netflix映画『マイヤーウィッツ家の人々』

          ヤング・アダルトな大人になりきれない男たちを描かせたら右に出るものはいない、バームバックの最新作だ。まずは、監督の名を見た時点で即見ることを決めていたけれども、配役の豪華さに驚いた。父親であり彫刻家、一番大人になれていず家族を振り回す男ハロルド・マイヤーウィッツにダスティン・ホフマン。長男でピアニストを志すも挫折してしまったダニー役にはアダム・サンドラー。腹違いの次男でやり手のベンチャー企業経営者のマシュー役はベン・スティラーが演じる。長女のジーン役のエリザベス・マーヴェルは

          Netflix映画『マイヤーウィッツ家の人々』

          映画『細い目』ヤスミン・アフマド監督

          初めて聞いた監督名だった。ヤスミン・アフマド(1958-2009)はマレーシアの映画監督で、母方の祖母は日本人であり、イギリスで教育を受けて、TVの世界で働いていたそうだ。2003年に『ラプン』で映画デビューし、2009年に脳内出血で亡くなるまで。わずか6年間の間に6本の映画を製作したが、いずれの作品も国内外から注目を集めた。 『細い目』は2004年に撮られた映画だ。 冒頭は言葉から始まる。 「慈悲深くあわれみ深いアラーの名において」という字幕と、アラビア文字で書かれた言葉

          映画『細い目』ヤスミン・アフマド監督

          映画「Girl」

          主人公のララはバレエ学校に通っている。小さい男の子と男性? 夫だろうかパートナーだろうか。しばらくすると、病院でホルモン治療をするかどうかという話し合いをしている。どうやら、この2人は親子のよう。ララはトランスジェンダーであり、弟と父と3人で暮らしていることがわかる。 性の不一致を抱えていて、なおかつバレエダンサーを目指す16歳の高校生。問題がないわけない。ただでさえ、自分の体の変化が気になる年頃だろう。体のあちこちが膨れてきて、肉体的にも精神的にも不安定だった自分の過去が

          映画「Girl」

          眠りながら生きるためのいくつかのティップス

          『cicago vol.01』(2012年 TOKYO ART BOOK FAIRにて販売)より再録 夢の話をしましょう。 「夢を見る」と普通に「見る」という言葉を使うけれども、そもそもどんな意味なのだろうか。「ゆめ」というのは「いめ」が転じたもので、イは寝、メは目のこと。眠っていながら見るもののことを意味するらしい。 「こんな夢を見た。」 ではじまるのは、夏目漱石の『夢十夜』。黒澤明の『夢』も同じ前置きから、夢の世界への扉が開かれる。夢というのは、その人の深層心理の現

          眠りながら生きるためのいくつかのティップス

          雨水は塩を含まないように、言葉に嘘はない。

          『cicago vol.06』(2018年 TOKYO ART BOOK FAIRにて販売)より 体じゅうに寒気が走って、頭が締め付けられる。かと思ったら、急に体が熱くなり全身に汗をかく。頭がぐらぐらする。息苦しい。高度が下がってくるごとに、寒気と妙な汗と頭ぐらぐらと息苦しさが加速する。辛すぎて機内非常時の体勢と同じ格好をしてみるけど、そうすると胃が圧迫されて余計にきつい。逆に背を伸ばしてみるとベルトでお腹が苦しい。バレないようにベルトをゆるめて着陸体勢に入る。成功。顔が真

          雨水は塩を含まないように、言葉に嘘はない。

          2018/2/18 篠田千明『ZOO』北千住BUoY

          今年はスケジュールテトリスがうまくゆかず、TPAMの公演に全然行けていなくて、何でもかんでも見たいという気分だったのと、予定も合って北千住が家から比較的近いからという理由だけでチケットをとった。快快も吾妻橋ダンスクロッシングで数回見た程度で熱心な観客ではなかった。篠田千明が演出する作品を見るのは今回が初めてだった。VR空間を用いた演劇だということも、展示空間に行って初めて知った。 タイトルは『ZOO』。マヌエラ・インファンテというチリ演劇界のホープ!と言われる1980年生ま

          2018/2/18 篠田千明『ZOO』北千住BUoY

          2018/2/16 ハイバイ『ヒッキー・ソトニデテミターノ』東京芸術劇場

          ずっしり。 終了後はしばらくため息しか出なかった。その後、楽屋に演出家、劇作家の岩井秀人さんに挨拶に行き、「この芝居は、終わった後に『よかったね〜』って言えないでしょう」と言われて、ですよね、いやあ本当にキツかったと話をしていたらいくぶんか気分が楽になってきた。同行していた友人は8歳の娘がいるので、彼女のことしか考えられないという。別に私はひきこもりの体験者でもないし、近親者にそういう人はいない。でも、帰りがけにご飯を食べていても、電車の中でも、いろいろなことを考えさせられて

          2018/2/16 ハイバイ『ヒッキー・ソトニデテミターノ』東京芸術劇場