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「ありがとう」を「ありがとう」

ある夜、子どもたちが不意に「お母さん、ごはんを作ってくれてありがとう」と声をかけてくれた。
台所で夕ごはんの支度をしていた私は「えー、そんなことを言ってくれるなんて涙でそう!うれしい!!ありがとうと言ってくれてありがとう。」と返した。

実は少し前まで、長男さんちゃんのリクエストに応えることに疲れていた。
「ママ!あれやって!!」
「ママ!!これ読んで!!」
「ママ!!!牛乳!!」
休日に夫氏がいる時でも、すべて「ママ!!お母さん!!」。思わず「お父さんもいるよ!」と言ってしまったこともしばしばだ。

せめて応えたことに対して「ありがとう」のひと言でもあったら報われるかもしれない。そう思って食事の時に言ってみたこともある。
でもやっぱり「ありがとう」と言われることはなく、しんどくなって「お母さんは召使いじゃない!」と言ってふて寝した夜もある。

そんな様子を見ていたからだろうか。
次男べえさんは「ありがとう」を覚えると、何かしてもらうとすぐに「ありがとう」と言ってくれる。
それがたまらなくかわいくて「こちらこそありがとう」と返すし、現金な話だがべえさんの頼みはすっきりと聞ける。
そしてべえさんの影響を受けて、さんちゃんも「ありがとう」を言ってくれるようになった。

さんちゃんに比べると随分と言葉の習得が早いべえさん。
2歳3ヶ月にして発音はたどたどしいものの、会話がしっかり成立する。
耳がいいのか1度聞いた言葉をすぐリピートして、さんちゃんの悪ふざけ言葉も真面目な話もどんどん覚えていく。
また「お兄ちゃん、ごはんだよ」とか「お父さん、起きて」などの呼びかけもできるようになってきた。おしゃべり好きな兄と両親に囲まれている環境のたまものだなぁなどと思っていたが、影響を受けていたのは弟だけではないのだった。

おかげでわが家では「ありがとう」が飛び交うようになり、召使疲労もいつの間にか消えていた。

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