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親権とは親の権利?【3分で読めます】

児童虐待死のニュースを目にする度に,
「子ども達を取り巻く環境は悪くなっている…」と,
暗澹たる気分になってしまいがちです。

しかし,古代・中世には口減らしのために
子どもを殺していたという事実や,
極めて貧困状態の国・地域では
未だに子どもが成人するまでに亡くなる割合が高い
というデータなどを知ると,
現代の日本にいるほとんどの子どもは
幸せな環境に身を置いているのだと思い直します。

ただし,実際に虐待を受けている子どもには,
そんなデータは気休めにしかなりません。

「悪い」と「良くなっている」は両立する。
               『FACTFULNESS』ハンス・ロスリング他

この『FACTFULNESS』で語られているように,
世界・社会は圧倒的に良くなっている事実があるのですが,
子どもが親に殺されるという事件が
ゼロにはなっていないという現状も併存しているのです。

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虐待死事件を受けて,児童心理士の山脇由貴子さんは
「日本は子どもの人権より親権が重視されてきた」
とコメントしています。

私も,経験上,親権の強さとそれによる壁を感じることがあります。

例えば,園や学校で苦戦している子に特別な支援が必要な場合です。
その子の就学・在籍先だけでなく,
心理検査や受診なども親に決定権があります。
周囲が,その子に必要だと客観的に判断しても,
親が嫌だと言えば,それはできません。

「親によって,必要な支援が阻まれる」というと,
「おまえは,親の気持ちをわかっていない!!!」と,
お叱りを受けそうですが…。

もちろん,親御さんの感情に寄り添い,
解きほぐしていくことが専門職には求められます。
時間も必要です。
「わかっているけど,受け入れられない」
という葛藤の中に親御さんがいることも理解しなければいけません。

しかし,実際に,10年以上,
押しても引いても動かない親御さんもいます。
その間に,その子が失敗や不適応を積み重ね,
結局,二次障害に至ってしまうことがあります。

すいません。
その親御さんにも,いろいろな事情や感情があるのだと思います。
それでも,より手厚い支援を,その子にしていきたい立場からすると,
どうしても,「こんちくしょう~」っていう気持ちを抱いてしまいます。
私もダメダメです,まだまだです…。

結論。
親権とは「親の権利」のことだけでしょうか?
権利というのであれば,義務と責任もセットですよね。
子どもの権利,人権,幸せになる権利と
親権が共存できる時代,制度へと
シフトしていくことが必要だと私は思います。

以上です。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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