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<魂離る><死出の旅><不帰の客となる><煙となる>……600を超える「死のことば」と出逢ったこと


新刊『見て楽しむことば図鑑』おかげさまで毎月増刷が決まって、いま4刷りの完成を待っているところです。
発売後いろいろあって、本屋さんに並んでいるところがちっともみられていなくて、実感が乏しいのですが……。編集さんからの嬉しいメールに、部屋でごろごろ喜びのたうち回っています。いいぞ、もっと頑張れ~!!

『見て楽しむことば図鑑』執筆前、母を急性大動脈解離で突然失いました。
本当に元気な人だったので、お産以外入院したことなく、通院もしていなかったので、元気→死の境目ゼロ、ピンピンコロリ、ここに極まれり、でした。

そんな時だったので、いろんなテーマの言葉を集めるとき「死」の言葉がやけに目に飛び込んできました。
デザインを担当してくださっているみっけさんにお渡しするものとは別に、「死」の言葉だけを集めたファイルを作っていました。

古典には「死」に関連する言葉がたくさん出てきます。
「死」は「穢れ」なので、天皇以外は宮中では死んではいけない。「これ」は「死」ではない、「死」とは表記できないものとして、違う表現にされています。
たとえば『源氏物語』で「夕顔」が亡くなる場面

息は疾く絶え果てにけり

以下すべて『源氏物語』

いふかひなくなりぬる

いたづらになりはて

むなしくしなりしてん

などなど……。そのほかにも

失す
枯る
絶ゆ
儚くなる
果つ
罷る
身罷る

さまざまな辞書、関連書籍より集めた「死」の関連用語は650を越えました。

調べた言葉の中では断トツの多さでした。
「生まれる」や「命」という関連語の、「死」に比べたらなんと少ないことか!!

『見て楽しむことば図鑑』刊行後、今度は父が新型コロナウイルスに感染し、生死の境をさまよいました。
何とか無事に此方へ戻って来てくれて、介護をしながらの二人暮らしがはじまり、やっとそれぞれの生活のペースをつかみ、在宅酸素の機械の扱いにも慣れてきました(酸素ボンベを持っての外出なのです。ちなみに酸素ボンベ、あだ名はサンソンです←不思議の海のナディアより)。
入院中、先生から「毎晩心臓が止まりそうなんですよね」とか「手術中に心臓が破裂するかもしれません」とか、さらりさらりと怖いこと言われて、毎日不安で眠れない日々が続きました。
「死」はケガレだからだけじゃなく、「死」に関するいろんな想像力が、「死のことば」をたくさん産みだしたんだろうな、と実感しました。
そして「死」を認めたくない気持ちからも……。

母がさっと出かけてしまった「死出の旅」。
でも、父はまだ「魂離る」ことなく、とどまってくれた。

訪問看護のみなさんやケアマネージャーさん、お医者さんたちに助けてもらいながら、父が「煙になる」日が一日でも遠くなるように、がんばりたいです。
あ、ゆっくりですが新刊の準備もしています!!
私自身が「不帰の客となる」日まで、書いていけたらいいな。

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