ピップロック

骨盤と股関節を機能させ軸を作る「ヒップロック」とトレーニングへの応用

1日3部練、年間114日と圧倒的な量、そしてこの理論を取り入れるとFIFAランク3位のブラジルにだって勝てる事は既に証明されている。

これはエディージャパンの話だ。ジャパン・ウェイというビジョンのもと、「強みを知り、強みを伸ばす」強化を実践した。
そのプロセスとして着手したのがフィジカル強化だ。

そして、世界3位の南アフリカを撃破したのは周知の事実だ。


その理論「ヒップロック」。

本記事では日本ではまだ知るものの少ない「ヒップロック」を解説・紹介・トレーニング動画を掲載していく。



■ヒップロック

リード文のように「これをやれば」というわけにはいきませんが、「ヒップロック」という理論は、実際にかなり効果的となることが多いです。

こちらは僕は以前したTweetです。

ヒップロックの基本となるドリルですが、これは

・支持脚の股関節安定化
・遊脚側の骨盤挙上

が起きています。

ヒップロックを重要視しているのは、エディ監督時代のラグビー日本代表に関わっていたFrans Boschです。

この図はヒップロックのポジションを示しています。
支持脚の筋が協調して活動することで、支持脚を安定させ、結果として逆側の骨盤が挙上します。

なぜ逆側の骨盤が上がるのか。
中殿筋などの筋がヒップロックの際に働きます。
中殿筋含む股関節外転筋は、股関節を外転(外側に開く)働きがあります。
地面に足が固定されている状態でそれらの筋が活動すれば、相対的に逆側の骨盤が上がることになります。

画像2

画像3


■ヒップロックの意義

ではこのヒップロックはどんな意義があってその重要さを言われているのでしょうか。

そもそも、僕たちが片足で立つためには、中殿筋なので股関節外転筋がとても重要な働きをしています。

片足で立ってみるとわかりますが、浮いている脚(遊脚)側の骨盤は本来支えがない状態です。
単純な片足たちならまだしも、歩いたり、走ったりしているときは、接地した瞬間に大きな衝撃がかかります。

そうなると、支えのなくなった遊脚側の骨盤は、支持客を視点に回転してしまうように思えます。

画像4

しかし、そうはなりません。
もしもそうなってしまうとしたら、一瞬たりとも僕たちは片足で立つことができません。走ろうとしたら一歩目で転倒です。

このとき、先ほど述べた、相対的な骨盤の挙上が起きています。

画像6

このように、股関節の様々な筋が協調して機能することで片足での安定した動作が可能になります。

さて、ここまでは、日常生活レベルの話です。

高速でのスプリントでは、接地時間は0.1秒、それ以外の方向転換やジャンプなど瞬時に大きなパワーを必要とするアクションでは、コンマ数秒の接地時間で地面に力を伝えなければなりません。

歩行や片足たちでは問題なくとも、スポーツで求められるハイスピードでのランニング、スプリント、方向転換、ジャンプでは骨盤が下がることをコントロールしきれずに、接地の瞬間に骨盤が低下してしまう場合があります。

それは、接地した瞬間の力を逃がしてしまうことになりますし、股関節・骨盤の安定性が低下することになり、パワーロスと同時に傷害リスクを高める可能性もあります。

こちらのTweetでは非常にわかりやすい例が載っています。

写真付きでわかりやすいですが、ランニング障害を抱えた人の特徴の一つに「骨盤の低下」(左の写真)が挙げられています。
障害予防という点からも重要かもしれません。

骨盤の縦の動きはあまり注目されずに、気にしないことが多いですが、そもそも人の運動が片脚で行われること、そしてその脚で重力に負けない力を地面に加えなければいけないことから、このヒップロックは超重要だと考えています。


■ヒップロックをトレーニングへ活用

ヒップロックポジジョンを活用したトレーニングを行うと

「軸が通ったような感じ」
「片足で立つのが安定する」
「地面に力が伝わりやすくなる」

と言った言葉が帰ってくることが多いです。

実際にどう言ったトレーニングかというと、

このように片足の支持と骨盤挙上を行うものや、

こちらは、Frans Boschがラグビー日本代表に関わっていた時に行われていた(とツイートで言っている)トレーニングの一例です。

その他には、こちらのようなものもあります。

こちらはヒップロックとともに、ランニング時のメカニズムを(走っていて接地した瞬間の0.1秒間の動作メカニズムを)考慮して、トレーニングしています。
重りを使っていますが、筋力トレーニングというよりもコーディネーショントレーニングに負荷をかけたものと考えるのがいいでしょう。
(ただしこちらに関しては、専門家間でも意見が割れているので、参考程度に)

ヒップロックというワードは聞きなれないと思いますが、某TKB大学でも実はここ数年取り入れていたようです。(この動画のトレーニングだけではありません。もちろん)

こちらの動画のエクササイズは、壁を使うことで骨盤を上がりにくい状況を作り、その中で足を挙げ、前に出すことで骨盤挙上(ヒップロック)を行うトレーニングです。


■ヒップロックトレーニングの活用例

では、ここから動画で活用例をあげていきます。

ここから先は

2,831字 / 2画像
この記事のみ ¥ 980

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?