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「共感される文章」って、一体なんだ?

「共感される文章の書き方」
こんな投稿をインスタでたまたま目にして以来、気になって仕方がない。


「共感される文章の書き方」に共感できない


さっそくネットで共感される文章の書き方について調べてみたところ、おおむね以下のような手法が紹介されていました。

  • 感情を込める

  • 悩みに寄り添う

  • 自虐ネタや失敗談を伝える

  • 暗い過去からのV字回復を語る

  • 形容詞を使わずに具体的に描写する

  • ストーリーを伝える
    etc.

どれも間違っているわけではないと思います。
でも私は、なんだか共感できない。
 
その理由は、「共感とは、何がどうなることを意味しているのか」と、「何のために共感される文章を書く必要があるのか」の2点が曖昧なこと。

つまり、共感の「定義」と、共感される文章を書く「目的」がハッキリしないまま、ハウツーが先行しているからです。

ひとことで「共感」と言っても、ママ友とのグループラインで「わかるー」と返信してもらいたいのと、紛争地や被災地の惨状を伝えて継続的な支援をしてくれる人を得たいのとでは、伝える内容も書き方も大きく異なります。

定義と目的が不明瞭な「共感される文章の書き方」は、何に効くのかわからない薬を目の前にバーンと広げられているようなものだと感じました。
 
頭痛薬なのか、解熱剤なのか、はたまた眼精疲労を解消する目薬なのか。

こうした情報がないまま「体の不調に効く」としか知らされないと、消毒液を点眼してしまい「目がぁぁ〜!目がぁぁぁぁあっ!!」のような事態が起きてもおかしくありません。

『天空の城ラピュタ』のムスカのセリフ、「目がぁぁ〜!目がぁぁぁぁあっ!!」はネット上でなぜか有名

たとえば「失敗談は共感される」を真に受けて、仕事用SNSアカウントなのに「今日は商談なのに寝坊して行けませんでした。大失敗!次は気をつけまーす」なんて投稿したら、共感を得るどころか信用を失うだけです。 

共感される文章を書くには?

もし共感される文章を書きたいと考えているなら、以下の2点を言語化することをお勧めします。

  1. 何がどうなったら、共感される文章が書けたと言えるのか

  2. 何のために共感してもらう必要があるのか

私の場合は、こう言語化しました。

  1. 「この人の頭の中をもっと知りたい」と思ってもらえたら、共感される文章が書けたと言える

  2. 応援してくれる人、お客様になってくれる人を増やすために、共感してもらう必要がある

これが絶対的な正解ではありません。
「いいねやフォロワーが増える」「読み手を元気づけられる」など、人の数だけ答えがあると思います。
 
それを踏まえて、私が考える「共感される文章」について紹介させてください。

共感される文章3パターン

1モヤモヤを言語化できる

10年くらい前、育児ブログをよく書いていました。
テーマは「子どもはかわいいのに育児がつらいのはなぜなのか」。
「西松屋だけでプチプラコーデ」とか「手抜き離乳食でベビちゃん大喜び!」みたいなママ感ゼロ。

出来事や感じたことに対し「なぜ私はそう思うのか」「そうなる社会的背景は何なのか」などをひたすら言語化していく、渋い社会派ママブログでした。

仕事を獲得したいという理由から始めたブログでしたが、意外なことに「上手く言えなかったことを言葉にしてくれた」という趣旨の声が読者から多数寄せられました。

さらにブログ転載サイトでは商業出版やテレビ出演をしている人を差し置いてアクセスランキング1位を複数回獲得し、有名週刊誌の取材を受けるまでに。
 
私は「共感を得よう」とは1ミリも考えていませんでした。
単に脳内を整理してアウトプットしただけ。

上手く言葉にできないことを誰かに代わって言葉にできると、「結果的に」共感を得られるのかもしれません。

2独自の視点で解釈と言語化ができる

私はスーパーに行くと、ポップやパッケージのキャッチコピーや文章ばかり観察しています。

でも私が特殊なのではなく、デザイナーだったら店内の色使いに目が行くかもしれませんし、ダンスインストラクターだったら店内BGMを聞いて振り付けを考えるかもしれませんし、経済に関心が高い人なら価格の変化に敏感に気づくかもしれません。

つまり、職業や性格や興味・関心によって同じものを見ても解釈が異なるのです。
この解釈を伝えるだけで、共感される文章、つまりこの人の頭の中をもっと知りたいと思われる文章になる可能性があります。

 
なぜなら、その視点には自分にはない発見や気づきがあるから。
大げさに言えば、「この人なら、今までとは違う世界を見せてくれる」という期待感が湧いてくると思うのです。
 
私は思わず目を奪われたキャッチコピーを写真やスクショに撮り、自分の解釈を加えてたまにSNSに投稿しています。
 https://www.instagram.com/p/C20tF4EyIAY/?img_index=1

いいねがたくさんつくわけではないのですが、「平田さんのあの投稿が好き。こうやってプロは考えるんだと興味深く見ています」と言って、商品を買ってくれたお客様がいらっしゃいます。

「スーパーでは1円でも安く買い物をしたいですよね」などと。「共感」を求めて投稿していたら、こんな結果は出なかったでしょう。

3面白い見せ方

目新しい情報でなくても、見せ方によっては何倍も面白くなります。
たとえばこちらは私のお気に入り動画、『【誰も教えない】ダサいスライドを作る方法7選』。
(YouTubeチャンネル「ラムダ技術部」より) 

 文章ではありませんが、コンテンツ制作という点は共通していますし、見方を変える発想は文章作成と同じなので紹介させてもらいました。
 
この動画を作った理由は、「世の中にはダサいスライドがあふれているけれど指摘すると偉そうになる。あえてダサいスライドの作り方をコンテンツにすればエンターテイメントとして受け入れてもらって伝わると思ったから」だそうです。
こちらの動画で15:38からお話しされています
 
ダサいスライドの作り方をわざわざ解説する発想が面白いし、他人のスライドを勝手に直すのを失礼だと感じる優しさも素敵。

私はすっかりこのチャンネルを運営しているラムダさんのファンで、新しい動画がアップされるとすぐに視聴します。
 
もし「わかりやすいスライドの作り方」のような動画だったら、目にも留めなかったでしょう。

面白い視点は共感、つまりこの人の頭の中をもっと知りたいと思われることにつながります。
 
ラムダさんにインスパイアされて作ったのがコチラの動画、『胡散臭い文章を作る4つのポイント』。
ラムダさんと違ってまだ全然伸びていないですが、ぜひご覧ください。
(チャンネル登録もぜひ……!)

まとめ

「共感される文章を書こう!」と思っても、「共感とは、何がどうなることを意味しているのか」と「何のために共感される文章を書く必要があるのか」が自分の中で腹落ちしていなければ、筆は進みません。
 
ネット上で閲覧できる文章術は、最大公約数的な表面処理の方法がほとんど。
料理に例えるなら、盛り付けです。
 
どんなに見た目が整っていても、不味い料理は不味い。
どんなに読みやすくても、つまらない文章はつまらない。
 
まずは料理の腕を上げるのが先なのと同じで、文章ハウツーに走る前に、ひとつひとつの言葉の定義を考えたり、自分の視点で物事を解釈して言語化する習慣をつける。
こうすることで結果的に共感される文章が出来上がるのではと、私は考えています。


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