🔲 時の記述について「末摘花の巻」2
父、常陸宮も死に、残された末摘花は、親友の大輔の命婦に悲しい気持ちを打ち明けます。大輔の命婦は、「いとよきおりかな」と、その寂しさにつけ込むように、源氏を導き入れ、末摘花の琴の演奏を聞かせることに成功します。そして、末摘花と源氏の恋物語は進行していくわけですが、そのことについては後ほど。
物語の出発に「八月十余日」という日付が明確にされています。現代の小説ではこのような時の記述は、余ほどの意味を持たぬ限り、ないのが普通です。逆に、推理小説のように時の記述が、解決のキーとなっ