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このポジションを誰に渡すか?:マネージャーの育成戦略

私がこれまでに見てきた優秀なマネージャーに共通する点として「次の自分の役割を担うマネージャーを育成することが上手い」ことが挙げられます。

エンジニアリングマネージャーに限らず、マネージャーは日々の業務やタスク、問題解決に尽力し、組織をまとめ、メンバーを育成し、成果を追求する必要があります。そのような中で「自分のポジションを誰に託すのか」を考え、計画的に進められることができるのが優秀なマネージャーである要素の一つではないでしょうか。

この記事では、マネージャーの育成についてのポイントと思われることを詳しく探っていきます。


マネージャーの重要な役割としての、後継者育成

前段にも書いたとおり、自身の役割を引き継ぐマネージャーを育てることは、マネージャーとしての重要な責務の一つです。ただ、これは「全く同じマネジメントスタイルを持つ人を見つけること」ではないことに注意しなければいけません。重要なのは、その会社のミッションや文化に合致した、信頼できる仲間を自ら選別して育て上げるようとすることです。自分と同じマネジメントスタイルでなくとも、自分がいま見ている組織を引き渡すことができるマネージャーを育てる、このプロセスは、組織の持続的な成功と安定を保証する鍵となります。そして「マネージャーを育てる」能力に再現性があれば、それ自体があなたのスキルとなり、キャリアの成功の要素になるでしょう。

マネージャーの育成の難しさ

しかし、マネージャーの育成は当然簡単には行きません。

エンジニアからリーダー、そしてマネージャーへ役割を進めるには、本人の熱意や意欲がとても重要です。かれらの意欲を高めるために、マネージャーとしての仕事の魅力や価値を近くで感じ取らせる経験を提供するのがよいでしょう。これにより、ポテンシャルを持つメンバーがマネージャーの面白さを感じ、キャリアとして選択する動機付けになります。

権限の移譲

マネージャーとしての資質や潜在能力を示し始めたメンバーには、少しずつ権限を委譲していくことが効果的です。

たとえば、ジュニアメンバーの育成計画を考案させたり、異なる部門との協働を検討させる。また、経営層との対話の場に彼らを参加させることで、組織のビジョンや戦略に対する理解を深めさせることも良いでしょう。これにより、マネージャー候補となったメンバーが組織全体を俯瞰的に理解し、広く、長い視点で組織やプロダクトのことを考える力を養うことができます。

ストレッチアサインメント

マネージャーへの昇進が近づいてきたメンバーには、「ストレッチアサインメント」という形で、実際のマネージャーのポジションを任せてみることも一つの方法です。

ただし、この際には必ず経験豊富なメンターをサポートとしてつけることが必須と考えます。新任マネージャーは半年から1年程度の間で様々な経験をすることになります。そのなかで、メンターが変化によりそい、ときには指導していただけるという座組は新任マネージャーにとって心強いでしょう。

そして、恐らく1年程度で、新任マネージャーがマネージャーとして機能しているか、能力を持っているかを評価することになります。そして、ストレッチアサインメントの場合は、期待通りのパフォーマンスが出ない場合は本人がマネージャーの役職を降りる選択もできるようにしましょう。絶対マネージャーにならなければならない、という必要はありません。こういった失敗も許容できる仕組みが必要です。

新任マネージャーの失敗についてはこちらも合わせてどうぞ。

マネージャー育成の継続性

当然ですが、マネージャーの育成は一度きりのものではありません。組織や業界の変動に柔軟に対応するためには、常に次のリーダーとなるべき人材を見極め、そのための育成計画を立て続けることが求められます。継続的な育成活動は、組織の未来を確実にするための投資とも言えます。

まとめ

マネージャーとしての役割は多岐にわたりますが、次世代のリーダーを育てることが特に重要です。この記事を通じて、皆さんもリーダーシップの育成に新しい視点を持つことができれば幸いです。未来の組織の成長と繁栄のために、持続的なリーダーシップの育成に努めていきましょう。

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