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【投資マーケットの動向📊】為替と金利の密接な関係を解説します🌟:日経新聞解説📰 2023/07/28

日本経済新聞の記事で
注目したい内容がありましたので
記事にしたいと思います💖

長いですが、目次をご活用いただきまして
どうぞ最後までご覧ください!


しぶとい円安シナリオ、日米金利差との連動復活(ポジション)

 前目に迫った日米の金融政策会合の結果公表に外国為替市場の関心が集まっている。
金融政策の影響を受けやすい2年物国債利回りの日米格差と円相場の連動が復活。2年債で比べた日米金利差は過去20年で最大規模に開き、今後も円安・ドル高の地合いが続きやすいと見る市場心理を映す。

 金融政策が重要な相場材料になる為替市場では、長らく2年債でみた日米金利差が円相場の道しるべだった。
21世紀に入り、円相場と2年債でみた日米金利差の連動が大きく乖離(かいり)した局面は2回しかない。

 最初は日銀の大規模な円資金供給と資産買い入れで大幅な円安・ドル高が進んだ2013年以降の異次元緩和期。
2回目は、19年以降の新型コロナウイルス禍やロシアによるウクライナ侵攻でリスク回避のドル買いが強まった時期だ。いずれも金利差とは乖離して円安・ドル高が進んだ。

 だが新型コロナ後のインフレを受けて米欧の中央銀行が大幅利上げに踏み切り、市場の関心が金融政策運営に戻ってきたことで、円相場と日米金利差の連動も復活した。
外為どっとコム総合研究所の神田卓也氏は「外国為替証拠金(FX)取引を手がける個人投資家も含め、市場の関心は金融政策」と指摘する。

 現在の2年債でみた日米金利差は、米連邦準備理事会(FRB)の相次ぐ大幅利上げを映して過去20年で最大規模。
22年秋に円相場が1ドル=150円の節目を突き抜けた円安局面も金利差拡大の影響が大きかった。

 22年秋の円安進行時には、日本の膨大な貿易赤字も需給面から円安進行の下支え役を担った。
だが資源価格の落ち着きを受け、23年6月の貿易統計では23カ月ぶりに小幅な黒字に転じるなど、貿易収支は均衡しつつある。その分、金利差が円相場に与える影響は当時よりも強まっている。

 市場の見立てでは、FRBが25~26日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で再び利上げを決めるとの見方が大勢だ。
市場予想を映して日米金利差は拡大。週末28日には日銀も政策判断を示す。

 市場では長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の修正に動くかが焦点になっているが、JPモルガン・チェース銀行の佐々木融氏は「YCCの修正が金利差に大きく影響することはない」とみる。
ヘッジファンドによる思惑的な円買い・ドル売りで一時的に円高方向に振れる可能性は否めないが、金利差自体が縮まなければ持続性は乏しい。

 市場では、日銀が金利差に直結するマイナス金利政策の修正に動くまでに長い時間がかかるとの見方が定着。
神田氏は「日銀がYCC修正を大規模緩和の修正に結びつけて説明する可能性は乏しく、日米金利差に基づく円安自体は当面変わらない」と強調する。

 金利差に裏打ちされた円安シナリオが揺らぐとすれば、むしろ米国側の要因かもしれない。
大幅な利上げを続けてきた反動による副作用がいつ、どれくらい表れるかは容易に見通せない。

仮に米国景気が大きく落ち込む事態になれば、
FRBの早期利下げ転換シナリオが浮上し、金利差が縮小に向かうシナリオが現実味を帯びる。

 日米の金融政策会合に対する市場の関心は、結果の公表以上に、先行きの見通しに向かうのかもしれない。
(編集委員 小栗太)

2023/07/26 日本経済新聞朝刊 21ページ

記事に対するコメント📝

経済学部を卒業する以上、周囲よりも
金利や為替レートといった
経済のファンダメンタルズについて正しく
理解しておかなくては、経済学部での
知識習得は意味がありません🥲

経済の仕組みや重要な変数の動向を
正しく理解することができれば
きっとビジネスでも活用できる
チャンスが増えると思います

何より金融リテラシーが求められる
時代ですから、このような取り組みは
将来に繋がると信じています

経済学理論解説:金利平価🌟


登場する記号一覧は、以下の通りです

$$
S : Local  currency  exchange  rate \\
i =  Interest  rate  \\
( i = 1, …, n )\\
I : Investment  or  Profit \\
* : Foreign  Variables \\
F : forward  rate \\
e :  Expectation  value
$$

金利平価と実質金利

財市場において価格を指標とした裁定を通じて一物一価の法則が成立するのと同様に、
資産市場においては、異なる通貨建て資産から得られる利子収益を指標として、共通通貨建てに換算した利子収益が裁定を経て均一化すると考えられます
この考え方は、金利平価( Interest Parity)と呼ばれています

ここで、資産の満期が1年である
自国通貨建てと外国通貨建ての資産の金利を
それぞれ it 、it* 、資産を購入する時点と満期時の為替レートをそれぞれ St 、St+1 、投資額を It とした場合、自国・外国通貨建て資産に投資した場合の1年後の収益額(Id & If) は以下のとおりに定式化できるのです

$$
I_{t+1}^d = I_t ×(1+ i_t) \\    \\
I_{t+1}^f = (\frac{I_t}{ S_t}) ×(1+{i_t}^*) \times{S_{t+1}}
$$

金利平価が成立する場合、上2式が等しくなるとされています
要するに、自国と外国で同じ額の資産を同じ
期間運用した時に得られる収益に差がないということです

ここでの関係を整理すると、金利平価の成立を表す下式(金利裁定式)が得られるのです

$$
Interest  Power  Parity \\
(1+i_t)=(1+{i_t}^*)×(\frac{S_{t+1} }{S_t})…①
$$

金利平価が成立するための条件💎

金利平価が成立するためには、財市場における一物一価の法則の成立と同様にある条件が存在します

①国際資本取引に対する障壁(為替管理
先物為替予約の不履行リスク、利子課税など)が存在しないこと

②資本取引コストが存在しないこと

③資本収益に関する情報が取引主体間にて
完全に共有されること

という条件が満たされる必要があるのです

資産市場と財市場との性質の違いから
購買力平価の成立条件に比べ
金利平価の成立条件は(少なくとも先進国間の資本取引においては)比較的容易に満たされることがわかりますね🤔

他方、①式において重要なポイントは
外国建て資産の購入時に、満期時の為替レートが予見できないことであります
投資家が将来の為替レートをいかに捕らえるかによって、2種類の金利平価の考え方が存在するのです

カバー付き金利平価(Covered Interest Rate Parity: CIP)

投資家が為替リスクを嫌うならば、外国建て通貨資産を保有する際に、先物市場での為替の先渡契約を通じて収益額を確定させることができますね

つまり、満期時(t+1 時点)にドル資産の収益額を先渡レート(F)で売却するという契約を結ぶことにより、資産購入時(t 時点)に円建て収益額が与えられることになるのです
この場合の金利裁定式は、以下の通りになりますね

$$
Covered  Interest  Rate  Parity\\
CIP: (1+ i_t) = (1+{i_t}^*) \times(\frac{F_{t,t+1}}{ S_t} )\\    \\
or  i_t = {i_t}^* + f_{t,t+1} - s_t  …②
$$

なお(ft,st)は自然体数値を表す値になります
要するに、変化率を表しているということですね📝

この関係は、先渡契約により、カバーされた無リスクの裁定条件であるという意味から、「カバー付き金利平価(Covered Interest Rate Parity: CIP)」と呼ばれるのです

なお、上式の右辺の fは
「先渡プレミアム(もしくは現先スプレッド)」と呼ばれ、CIPが成立するためには、内外金利差が先渡プレミアムと等しくならなければならないことがわかりますね

例えば、満期時における先物レートが直物レートより1%下回っている(自国通貨高)場合、外国金利は国内金利を概ね1%上回っている必要があるということです

CIPは、国際資本取引に対する障壁がない限りにおいて成立します

事実、日米間の3 ヶ月物預金金利差とカバー付きの金利平価を示す資料からは、両国間の現先取引が完全自由化された 79 年 5 月以降、両者がほぼ同一の軌跡を辿っているというデータがあります

カバーなし金利平価(Uncovered Interest Rate Parity: UIP)

前回の投稿では、カバー付き金利平価について学習しました

$$
Covered  Interest  Rate  Parity\\
CIP: (1+ i_t) = (1+{i_t}^*) \times(\frac{F_{t,t+1}}{ S_t })\\
or  i_t = {i_t}^* + f_{t,t+1} - s_t  …②
$$

この式よりわかることは、先渡契約により、カバーされた無リスクの裁定条件であるということでした

しかし、国際資本投資を行う主体の全てが投資に先物カバーを行うものではありません
すなわち、将来の為替レ ートに関する投機的な判断に基づきオープン・ポジションをとり、収益の獲得を図ることも充分想定されます

この場合、満期時(t+1 時点)の為替レートは、t+1 時点の先渡レートではなく、 投資家の期待為替レートによって表現されることになるのです
これをカバーなし金利平価(UIP)と呼ぶことにしましょう

$$
Uncovered  Interest  Rate  Parity \\
(1+i_t ) = (1 +{i_t}*)\times(\frac{{S_{t+1}}^e}{S_t})\\    \\
or,  i_t  ≒ {i_t}^* + {s_{t+1}}^e-s_t・・・③
$$

ただし、小文字の(s)は、自然対数値を取った値と考えてください
要するに、変化率に近似したような値で表現しているということになります

上式の関係は
「カバーなし金利平価(Uncovered Interest Rate Parity:UIP)」と呼ばれ、
上式右辺の第二項と第三項は自国通貨の期待減価率を示しています

$$
Expected  Depreciation  Rate\\
=[{s_{t+1}}^e-s_t]
$$

UIPが成立する状況

では、いったいUIPはどのような場合に
成立するのでしょうか?

一緒に考えていくことにしましょう
ここで、CIPにおける先物レートとUIPにおける期待為替レート の差をリスク・プレミアム(rp)と定義することにします📝

$$
Risk  Premium\\
rp≡ f_{t,t+1} - s_{t+1}^e・・・④
$$

上式④のリスク・プレミアムが
正の値をとる場合について考察しましょう

すなわち先物レートが期待為替レートよりも
切り下がっているケースです

より具体的な数値例を考えると、先物レートが 1 ドル 120 円、期待為替レートが 110 円で
あったと状況設定しましょう

ここでは、投資家による期待の平均値が 110 円である一方で、リスク回避的な選好を有する投資家は、円が大幅に減価する(例えば 1 ドル 130 円になる)可能性を考慮して、120 円における先物取引を行うかもしれませんね

これはつまり、ドルに比べて円の為替リスクが大きいことを示しています

逆に、上式④のリスク・プレミアムが負の値をとる場合には、ドルの減価に対して プレミアムを支払うことを意味しますね
これは、円に比べてドルのリスクが大きいことを示しています

これまでの議論を整理すると、UIPが成立する場合は、上式のリスク・プレミアムがゼロとなることが必要です(rp=0)

これはつまり、為替リスクの面でドルと円が同一である状態です

すなわち自国通貨建て資産と外国通貨建て資産が完全代替的であることを示唆しています

資産市場における経験が示す通り、内外通貨建て資産が完全代替であることは想定し難く
UIPは必ずしも成立しないことが多くの実証分析においても示されているのです💦


本日の解説は、以上とします📝

ぜひ、これらの知見をベースとして
実際の世の中の経済動向に当てはめて考えていくという応用を効かせ経済の仕組みを基礎的モデルからご理解されることを推奨いたします💗

一緒に毎日インプットする習慣を身につけて、アウトプットの機会をたくさん創出できるように取り組んでいきましょう

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付録:私の卒論研究テーマについて🔖

私は「為替介入の実証分析」をテーマに
卒業論文を執筆しようと考えています📝

日本経済を考えたときに、為替レートによって
貿易取引や経常収支が変化したり
株や証券、債権といった金融資産の収益率が
変化したりと日本経済と為替レートとは
切っても切れない縁があるのです💝
(円💴だけに・・・)

経済ショックによって
為替レートが変化すると
その影響は私たちの生活に大きく影響します

だからこそ、為替レートの安定性を
担保するような為替介入はマクロ経済政策に
おいても非常に重要な意義を持っていると
推測しています

決して学部生が楽して執筆できる簡単なテーマを選択しているわけでは無いと信じています

ただ、この卒業論文をやり切ることが
私の学生生活の集大成となることは事実なので
最後までコツコツと取り組んで参ります🔥


本日の解説は以上とします
今後も経済学理論集ならびに
社会課題に対する経済学的視点による説明など
有意義な内容を発信できるように努めてまいりますので、今後とも宜しくお願いします🥺


マガジンのご紹介🔔

こちらのマガジンにて
エッセンシャル経済学理論集、ならびに
【国際経済学🌏】の基礎理論をまとめています

今後、さらにコンテンツを拡充できるように努めて参ります
こちらに24卒としての私の就職活動体験記をまとめたマガジンをご紹介させていただきます👍
様々な観点から就職活動について考察していますので、ご一読いただけますと幸いです

改めて、就職活動は
本当に「ご縁」だと感じました🍀

だからこそ、ご縁を大切
そして、選んだ道を正解にできるよう
これからも努力していきたいなと思います🔥
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます📚

最後までご愛読いただき誠に有難うございます!

あくまで、私の見解や思ったことを
まとめさせていただいてますが
その点に関しまして、ご了承ください🙏

この投稿をみてくださった方が

ほんの小さな事でも学びがあった!
考え方の引き出しが増えた!
読書から学べることが多い!
などなど、プラスの収穫があったのであれば

大変嬉しく思いますし、投稿作成の冥利に尽きます!!
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フォロー&シェアをお願いしたいです👍
今後とも何卒よろしくお願いいたします!

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