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目の前でおじさんをみた話

先日、仕事帰りに最寄り駅の中にある、丼ぶり屋さんによるご飯を食べに行ったときの話。

そこはカウンター15席の小さなお店。

存在こそ知っていたものの、はじめて入った。最初はどうしてもうどんが食べたかったのだが、目当てのお店は20時で閉店していた。

なので、消去法で仕方なく入ることにした。

お店に入った直後、ちょっとした違和感を覚えた。カウンター15席しかないにも関わらず、スタッフさんが5人もいる。

そもそもお店自体が小さいので、5人は多すぎないか?と思いながらもお腹が減っていたので、とりえあえず天丼セットを注文した。

天丼と冷たいそばがついて680円。まあまあお手頃価格。これで味が良ければリピートする可能性は十分にある。

もう一度店内を見渡してみる。

やっぱりこのサイズのお店にスタッフさん5人は多い。ちなみにメンバーはこんな感じ。

調理:40歳くらいの男性。手際も非常にいい。調理専門という感じで、それ以外は基本的にやっているような素振りはない。寡黙な料理人。

洗い場:60代くらいの女性。ベテランスタッフという印象。こちらも手際よく洗いものを片付けていく。ちょっと厚化粧が目立つがお店のお母さん的な存在。

食器整理:20代女性。ベテラン女性が洗った食器を空ぶきする。あとで分かったことだが、この女性は調理補助もするし、手が空けば洗い物のフォローもする、オールラウンダー。このお店のキープレイヤー的存在。表情も明るく可愛い。

会計:10代男性。おそらく最近新人として入ったスタッフ。緊張しているのか、基本無表情で声も小さめ。スプラトゥーンめっちゃ強そう。なるほど、スタッフさんが5人もいるのはこの子が最近入ったことも関係しているのか...と理解する。

注文聞き係:60代おじさん。お客さんが入店するなり、一番に注文を聞きに来る。声が大きめ、こちらも無表情(若干怖めの)。偉そうなおじさん担当。お客さんの注文を聞いてオーダーを通す以外何もしていない。

天丼セットが運ばれてくるまでもう少し時間がかかりそうなので、次はカウンターを見渡してみる。

お客さんはぼくを含めて8人。

中央カウンターに座っている中国人観光客らしき団体5人と、その隣には30代くらいのカップルがいた。

やっぱり観光客が多いので、これくらい小さなお店でもそれなりに儲かるよなあ、とか思っているときに店内がちょっとざわッとした。

中国人グループのもとに、次々と料理が運ばれているのだが、どうやら注文した内容と運ばれてきた料理に手違いがあったみたいだった。

中国人グループの中に片言だが日本語が話せるひとがおり、注文の違いを一生懸命に説明している。

それをオールラウンダーの女性が聞いているのだが、いまいち理解できていない様子。中国人の方はすこしイラついている感じで、声が少しずつ大きくなる。

女の子がだんだんテンパりだしたのが、こっちにも伝わってくる。

それを察した、注文聞き係の60代おじさん。女の子に向かってめちゃめちゃでかい声で、

ざるそばのことゆーてんやろ、何をやってるんや!はよしーや。

とキレ気味でこういった。

え?このタイミングで女の子に追い打ちかけるんや、いやいや、めっちゃテンパってるよこの子、片言の日本語に対応できてないやんどうみても、フォローしてあげんが普通ちゃう?

みたいな空気が流れた。

対角に座っていたカップルの男性の方と目が一瞬あったが、絶対おんなじことを考えていたと思う。

そして足りていなかったのは、ざるそばではなく、温かいうどんだった。

えらかったのはオールラウンダーの女性。一旦おじさんの言うことは無視して、注文内容が理解できるまで対応していた。

その後、中国人観光客のもとに予定通りの料理が運ばれる。おいしそうに食べていたので良かった。

良くなかったのは厨房の方。あいつなんでキレてんの?みたいなこそこそ話が始まる。

お店が小さいので当然長話はしていないが、アイコンタクトと一瞬のやり取りをみれば誰だって分かる。

人生60年も生きればいろんなことがあるだろうし、うまくいかないこと方が多くなるだろうけど、困っているひとに向かって追い打ちをかけるようにキレるようなひとにはならないようにしよう。とそう思った。


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