瀬崎 健

神奈川県在住の会社員。仕事内容は外食のSCM(サプライチェーン・マネジメント)。 SC…

瀬崎 健

神奈川県在住の会社員。仕事内容は外食のSCM(サプライチェーン・マネジメント)。 SCMに関する学び・気づきをアウトプットしていきます。

マガジン

  • SCM概論magazine

    "サプライチェーンマネジメント"とは何か?その全体像がわかるように、主要論点を記事にしていきます。

最近の記事

SCMとロジスティクス【後編】

サプライチェーンマネジメントにおいて、物流というのは中核にある機能となります。前編では、物流センターについて書いてきましたが、後編では配送に焦点を当てていきたいと思います。 配送とは、製品や物資をある場所から別の場所へ移動するプロセスです。これには、原材料の供給元から製造工場への輸送、製品の製造工場から倉庫への輸送、そして最終的には製品が消費者や小売店に届けられるまでの輸送が含まれます。 配送は、サプライチェーン管理の重要な部分であり、効率的な配送システムは、製品が迅速かつコ

    • SCMとロジスティクス【前編】

      サプライチェーンマネジメントとロジスティクスは何が違うのでしょうか?諸説ありますが、一番個人的にしっくりきているのは、 ロジスティクスは自社内の物流の最適化で、サプライチェーンマネジメントは企業間をまたぐ物流の最適化という定義です。 今回は、SCMとロジスティクスというテーマで、物流の最適化についてみていきたいと思います。 物流センターの機能物流センターは、サプライチェーン管理(SCM)の重要な部分を担い、商品の効率的な流通を支える役割を果たします。 物流センターの機能は

      • SCMにおける生産管理 

        SCM(サプライチェーン・マネジメント)と生産管理は密接に関連しており、かつ互いに補完し合う関係にあります。 生産管理を徹底し、SCMの中でうまく活用することで、企業はより効率的な運用を実現し、市場での競争力を高めることができます。 今回の記事では、SCMにおける生産管理の位置づけ・役割について整理します。 SCMと生産管理の位置づけSCMは、原材料の供給から最終製品の消費者に至るまでの全プロセスを管理し、最適化する戦略的なアプローチです。 これに対して、生産管理は、製造プ

        • SCMと発注

          サプライチェーンマネジメント(SCM)は、製品やサービスが生産者から最終消費者に至るまでの一連のプロセスを管理し、最適化することを目的としています。 SCMは、物流、在庫管理、需給予測、購買、生産計画、そして情報技術の活用など、多岐にわたる活動を含んでいます​​​​。 この記事では、SCMにおける発注の意思決定に必要な能力、需要予測の方法、定量発注と定期発注、リードタイムの種類、安全在庫の設定、そして経済的発注点(EOQ)に焦点を当てて詳しく解説します。 発注に必要な能力サ

        SCMとロジスティクス【後編】

        マガジン

        • SCM概論magazine
          17本

        記事

          SCMにおける貿易管理について

          サプライチェーンマネジメント(SCM)における貿易管理の重要性は、グローバル化が進む現代経済において特に顕著です。 SCMは、製品の設計から最終的な顧客への配送に至るまでの一連のプロセスを最適化し、管理することを目指します。 これには、調達、製造、物流、情報フローの管理が含まれますが、貿易管理は、国際的なサプライチェーンにおいて中心的な役割を果たし、効率的な商品の流れを確保する上で不可欠な要素となります。 自社で貿易に取り組む意義1.コスト削減 貿易管理を自社で行うことに

          SCMにおける貿易管理について

          SCMの上流課題。調達先をどう選定するか?

          SCM(サプライチェーン・マネジメント)とは、原料の調達から販売までの全過程を最適管理することです。 今回は、一番上流の「調達」について、SCMとしてどういうことに気を付ける必要があるかをまとめていきます。 調達先の選定の基本要素サプライヤーの選定要素 サプライチェーンマネジメント(SCM)における調達先の選定は、サプライチェーン全体の効率性、効果性、および持続可能性に直接影響を及ぼす重要な要素です。調達先の選定において考慮すべき主要な要素は以下の通りです。 1. 品質

          SCMの上流課題。調達先をどう選定するか?

          1人あたりGDPと幸福度の相関

          毎年3月20日は「国際幸福デー」ということで、国連関連機関から「World Happiness Report(世界幸福度報告書)」が発表されてます。 2023年版では日本の順位は国別の幸福度ランキングで137カ国中47位となり、前年より上昇したということです。(146カ国中54位から7位上昇) 2023年版幸福度ランキング(抜粋)個人的に気になるところのランキングを抜粋します。 1位フィンランド : 7.804 2位デンマーク : 7.586 3位アイスランド :

          1人あたりGDPと幸福度の相関

          企業戦略の中のSCMの位置づけ

          サプライチェーン・マネジメント(SCM)は、文字通りサプライチェーンという供給の連鎖を全体管理するという意味です。 サプライチェーンには、調達・製造・配送・販売などの一連の機能の管理と、サプライヤーや物流会社などの様々な企業との連携が必要になってきます。 そして、そんな複雑なサプライチェーンを管理するためには、情報システムの力が不可欠ですので、システム構築・管理のノウハウが必要になりますし、その導入のために経営陣の承認をもらったり予算との折り合いをつけたりする必要があります。

          企業戦略の中のSCMの位置づけ

          サプライチェーン崩壊を防ぐ!リスク回避の戦略【変化対応力編】

          サプライチェーンにおけるリスク管理は、企業が直面する様々な挑戦に対処し、長期的な成功を確保するための基盤となります。 したがって、経営戦略の中核としてリスク管理を位置付け、継続的な改善と評価を行うことが重要です。 サプライチェーンが複雑化し、相互依存性が高まる中で、小さな障害が大きな影響を及ぼす可能性があります。 SCMの観点から行うべきリスク管理を「BCP(ビジネス継続計画)」と「変化対応力」の2つに大別し、今回は「変化対応力」について書いていきます。 まず、会社が経営で

          サプライチェーン崩壊を防ぐ!リスク回避の戦略【変化対応力編】

          サプライチェーン崩壊を防ぐ!リスク回避の戦略【BCP編】

          サプライチェーンにおけるリスク管理は、企業が直面する様々な挑戦に対処し、長期的な成功を確保するための基盤となります。 したがって、経営戦略の中核としてリスク管理を位置付け、継続的な改善と評価を行うことが重要です。 サプライチェーンが複雑化し、相互依存性が高まる中で、小さな障害が大きな影響を及ぼす可能性があります。 SCMの観点から行うべきリスク管理を「BCP(ビジネス継続計画)」と「変化対応力」の2つに大別し、今回は「BCP(ビジネス継続計画)」についてと書いていきます。

          サプライチェーン崩壊を防ぐ!リスク回避の戦略【BCP編】

          SCMを変革する情報技術の力!

          サプライチェーン管理(SCM)の世界は、情報技術の進化によって日々変貌を遂げています。 IOT・AI・ブロックチェーンなどの革新的な技術は今後ますます効率化、透明性、セキュリティの向上に大きな影響を与えることでしょう。 サプライチェーン・マネジメントとは、単なる物流管理を超えて、企業間の情報共有を含めた全体最適を目指す活動です。 これらが発達した背景としては、この情報連携をリアルタイムに行うための情報技術の革新がありました。 そしてこの情報技術の革新は、今もなおものすごいス

          SCMを変革する情報技術の力!

          デカップリング・ポイント活用法:業界トップへの道標

          前回の記事では、SCMの肝であるデカップリング・ポイントとは何なのかを具体的に説明しました。 今回は、実事例をもとにデカップリング・ポイントを掘り下げて解説したいと思います。 ウォルマート:効率的なサプライチェーン管理ウォルマートは、言わずと知れた世界最大の売上高を誇る小売企業です。 (ちなみに2022年時にアマゾンは2位、アップルは7位) このウォルマートの経営の代名詞が、「EDLP:エブリデイ・ロープライス」です。 EDLPとは、特売の期間だけ特に安いのではなく、毎日

          デカップリング・ポイント活用法:業界トップへの道標

          サプライチェーンの転換点!デカップリング・ポイントについて

          サプライチェーンマネジメント(SCM)は、製品が原材料から最終的な消費者に届くまでのプロセスを全体最適の視点で管理することです。この過程で非常に重要な役割を果たすのが「デカップリング・ポイント」です。 デカップリング・ポイントは、「受注生産」と「見込み生産」の境目を意味し、サプライチェーン管理において非常に重要な概念になります。 デカップリング・ポイントは、要するにどこに在庫を持つのか(もしくは在庫を持たないのか)を決定することで、SCMの肝として扱うべきテーマです。 こ

          サプライチェーンの転換点!デカップリング・ポイントについて

          アメリカ起源からグローバル進化まで!SCMの歴史を徹底解説【後編】

          サプライチェーン・マネジメント(SCM)の歴史は、単なる物流の進化ではありません。 前記事では、第二次大戦後の物流管理の進化から、1982年にキース・オリバー(Keith Oliver)がサプライチェーン・マネジメントという言葉を提唱した背景、コンピューターの発達に伴うSCMの進化についてまとめました。 そして2000年以降、テクノロジーやマーケットが急激に変化する中で、サプライチェーンもまた大きく変わっていきました。 本記事では、そんな激変するサプライチェーンと、SCMが

          アメリカ起源からグローバル進化まで!SCMの歴史を徹底解説【後編】

          アメリカ起源からグローバル進化まで!SCMの歴史を徹底解説【前編】

          サプライチェーン・マネジメント(SCM)の歴史は、単なる物流の進化ではありません。 物流は、1900年代初頭、地域限定の小規模な供給チェーンから始まり、鉄道の発展とともにその範囲は拡大していきました。 その後、UPSやFedExといった企業の登場によって、サプライチェーンはグローバルなスケールへと変貌を遂げました。 そんなサプライチェーンを効率的に管理しようというのが、SCM(サプライチェーン・マネジメント)という概念になります。 本記事では、SCMがどのようにして現代の形

          アメリカ起源からグローバル進化まで!SCMの歴史を徹底解説【前編】

          バナナが示すグローバル・サプライチェーンの仕組み

          バナナが遅刻しそうな時に何と言うでしょう? 「お待たせ、すべってきました!」 そんな掴みのギャグは記事に必要なものではないですが、 バナナは私たちの生活に欠かせない果物です。 そんなバナナが手に入るまでのサプライチェーンは、思いのほか複雑です。 本記事では、農場での栽培から店頭での販売に至るまでの、バナナの一生を追いかけてみます。 スーパーではいろいろなバナナが並んでいます。 同じ4本入りでも、138円、213円、298円といろいろラインナップがあり、 さわやかな甘みと

          バナナが示すグローバル・サプライチェーンの仕組み