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気づかなかったことに気づいて改善していく

海外で生活していると、今までの自分の環境ではありえなかったようなショッキングな出来事に何度も遭遇します。

とりわけサービス業における接客には日本と海外で大きな差があると思います。

日本では「おもてなし」という文化があり、お客さんのために誠心誠意を尽くしていくことが接客の基本です。飲食店でもホテルでも、はたまたスーパーマーケットから交通機関まで、どこに行っても、レベルの高い接客サービスを受けることが可能です。

しかしそれは日本における「普通」であって、グローバルスタンダードではありません。

飲食店であれば、料理を提供することが店員の務めであって、それ以外の細やかなサービスはあまりないか、もしくはチップを払う前提で良いサービスを提供されることがあります。

僕は昨日、美容院で髪を切りに行き、髪を洗ってもらう際に服をびちゃびちゃにされました。店員は気づいているけど何もしません。おそらくこれが、僕が今いるジョージアにおける「普通」なのでしょう。

今まで海外で、数多くのカルチャーショックを経験してきました。僕は日本で生活している中で身につけた「普通」が、いかに日本だけのものかを認識する度に、世界を知れて良かったなって思います。

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昨日、このような記事を見つけました。

日本では、学校で整列する際に背の高さの順番(背の順)で並ぶことがあります。体育の授業、避難訓練、その他点呼を取る際はいつもこの順番で並びます。実際に僕も小学生の頃は背の順で並んでいました。

この記事では、小学校教諭である筆者は、背の順で並ぶという行為は身体的特徴による差別だと主張しています。加えて、背の低い子どもは、背の順で並ぶことによって、周りに比べて自分の背が低いという身体的コンプレックスを抱える可能性が高い、とも言及しています。

これを読んで、自分が今まで背の順に対して、何も疑問を持っていなかったことを恥ずかしく思いました。

僕は小学生の頃からずっと背が高かったこともあり、今まで背が低い人が味わう劣等感を感じたことが全くなかったし、想像することもありませんでした。

でも、記事でも言及されているようにこれは立派な差別です。

自分で気づかず慣習的に疑問を持たずにしていたことが実は差別だった、というのはとてもショックなことです。

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日本は同一民族国家で、99%が黄色人種です。だからアメリカやアフリカで起こっていたような人種差別や民族差別はほとんどなく、一見日本は差別に無縁な国のように見えます。

しかし、人々の生活よく見てみると、ジェンダー、学歴、職業、出自などの差別が多く存在していたことが、近年明らかになっています。

これらは人々が意図して差別しているというより、慣習として続いていたものが気づいたら差別だった、という例が大半ではないでしょうか。

昨年話題となったスタンフォード大学心理学部教授のジェニファー・エバーハートによる書籍『無意識のバイアス』でも言及されていますが、いくら善良な市民であっても無意識下で差別を行ってしまうことが多々あるそうです。

日本人の多くは自らの意見を強く持たずに多数派に流れてしまったり、意見を確立する前に周囲に意見を合わせてしまう性格があります。結果として差別の意識を持たないまま、実は差別をしてしまっていた、という例が多くあります。

今はこれらの無意識の差別を抜本的に改善しなくてはならない時期に来ていると思います。

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僕は海外でいくつものカルチャーショックを経験してきましたが、それらは悪いことだけではありません。ジョージアのサービス業を見ても、男女分け隔てなく、他国の人もジョージア人と同じように働いています。

国民は反ロシアの姿勢を見せていますが、市井ではロシア人とも仲良く交流しています。

もしかしたら何か問題は抱えているのかもしれないけれど、僕が見る限り、この国には日本に潜む差別はないように思えました。

おもてなしを始めとした日本の文化は世界に誇れるものだし、これからもこの文化を大切にしてほしいと思っています。でも人々の生活に潜む差別的な部分は、すみやかに改善しにいかなければならないと思います。

まずは慣習的に行っていた差別にいかに気づけるか、そして人々にそれが差別であるかをいかに広められるか。

良い部分を残しつつ、慣習的な差別をなくしていけるように国民の意識が変わっていけば良いなと思います。


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サムネイルの撮影場所はアリとニノ像(バトゥミ)

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