見出し画像

「新姓」そのまま使っててもいいじゃない

20代の終わりに結婚したとき、姓が変わったのが本当にうれしかった。

職場ではワーキングネームを使うのが通例だったけれど、勢い余って無理やり新姓に変えてもらった。
私の改姓は朝礼で大発表され、名刺も印鑑もアドレスも書類上の表記もみんな変わり、取引先の担当者に会うたびに、にこにこで名刺を配ったっけ。

あの頃は若かった…。

---

離婚するとき、それまでの姓を使うことを選んだ。

子どもはいないし、仕事上でも姓をそのままにする必要はなかったので、私のようなケースでは旧姓に戻すのが一般的だろう。

ーーー

ところで私が今使っている姓、呼び名は「新姓」で合っているのだろうか?
正確には「現姓」なのだろう。しかしどちらの姓を指すのかはっきりせず、かえってややこしい。
ここでは便宜上「新姓」と呼ぶことにする。

ーーー

別に旧姓が嫌いというわけではない。
好きだから新姓を選んだ。

誰にも相談せずに一人で決めた。
親にも事情を話していない。
恐らく「なぜ?」と疑問に思っていることだろう。今後も説明するつもりはない。

新姓は画数がいいし、印鑑も口座もパスポートもそのまま使えて手続きも楽だし、人に説明する煩わしさもない。

と、皆が納得するような理由を説明するのも面倒だ。

好きなら使ってもいいじゃない。
私の名前なんだから。

音も字面も良く、女優みたいで気に入っている。

ちなみに呼び名は旧姓でも構わない。
私にとって呼び名は愛称。
書類上の表記を新姓の本名にしてもらえれば、あとは愛着のある好きな名前で呼んでもらえればいいと思っている。

ーーー

私の世代でも「姓は家を表すもの」という意識がまだまだある。

「出戻り」とは本当に失礼な言葉だ。
私は1人世帯を新しく作った。
私の親は変わらず私の親。
姓は私を指す言葉に過ぎない。

実際、姓を変えなかったことで今まで何の不便もない。

ただ一つ、「ダンナさん亡くなったの?」と聞かれて、なるほど!そんな落とし穴があったか!と驚いたけれど。

ーーー

そうは言うものの、もう一度結婚するのであれば、あっさり姓を変えてしまうだろう。

私の姓へのこだわりはそんな程度のものである。

とにかく、人にどうこう言われたくないのだ。

もし別姓を選択できるのなら、私はどうするだろう?
大した理由もなく、そのとき直感でピンときた方を選ぶだろう。

「わーい!」とうきうき姓を変える私の姿が目に浮かぶ。

姓はもっとカジュアルに選んでいいし、選択肢が増えるのはいいことだと単純に考えてしまうのだけれど、それって変かしら?




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?