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<SS>強みを活かす転職:自己発見から始まる新しい一歩


転職を決意

山本大輔は、株式会社A社で働く30歳のサラリーマン。彼は営業職として自社の商品の売り込みで日々奮闘してきた。

彼にはずっと心に決めていることがあった。それは転職。

大学卒業後、A社に入社した大輔は営業マンとして優れた成績を収め、会社内での信頼も厚かった。

しかし、彼はこの仕事に対して疑問を持っていた。A社の商品は、お客様目線ではなく会社目線で作られていると感じていたからだ。商品は決して悪くはないものの、お客様よりも会社の利益を優先しているように思えたのだ。商品の良い点だけを強調し、悪い点はあまり話さない「売ること」に重点を置く会社の方針に大輔は疑問を抱いていた。

度重なるモヤモヤが大輔を苦しめた。また、彼は決して営業という仕事が好きなわけではなかった。それでも人当たりが良く、人から好かれる性格の彼は、お客様からも信頼されて営業成績も良かった。

しかし、仕事に対するやりがいを感じられなくなり、彼はついに転職を決意したのだった。


自分の「強み」を見つける

大輔は転職を考える中で、自分の「強み」について考え始めた。そこで、彼は大学時代の2年先輩である佐々木彩にアドバイスを求めることにした。

二人はカフェで会い、話をした。

彩「そうか。大輔君転職するんだね」

大輔「そうなんです。で、相談なんですが、次の仕事も同じような営業職がいいのかな?と悩んでいて。俺、これといった資格があるわけではないので、やっぱり営業になるのかな?と思って」

彩「大輔くんは営業が好きなの?」

大輔「嫌いではないんですが、やりがいを感じるかと言われると、そうでもないんです」

彩「大輔君さあ、営業の仕事と一括りにするけど、その仕事の中でもいろいろな業務があるよね。ちょっと分解してみようよ。どんな業務があるの?」

大輔「え、分解ですか?」

大輔は考えた。自分の仕事を客観的にみて分解するなど今までしたことがなかったので戸惑ったが、次の5つに分解してみた。
① A社で働いてる
② A社の商品を営業して売り込み
③ 事務処理
④ アフターフォロー
⑤ お客さんの相談に乗る
⑥ お客さんに説明して理解してもらう

彩「お、いい感じで分解できたね。どうかな?この6つの中で大輔君が好きな業務ってある。やっていて楽しいと思う業務とか」

大輔「そうですね~。あ、一番嫌いなのは事務処理です(笑)」

彩「あはは。男子は事務処理苦手な人多いよね(笑)」

大輔「あ、すいません(笑)。そうですね、好きな業務は、お客さんに説明して理解してもらうことですかね」

彩「あーなるほどね。大輔君は大学のときから、何かを説明するのが上手かったもんね。丁寧で分かりやすかったよ」

大輔「ありがとうございます。人に何かを説明して、その人が理解してくれると嬉しいんです。それと、相手が理解できるように上手く説明ができた自分にも喜びを感じるんです。また、質問下手な人がいた場合、その人の言いたいことを引き出すのも楽しいんですよね。自慢になちゃうけど、これまでお客さんが僕の説明を受けてスッキリした様子で『言いたいことが整理できました』とか『とても分かりやすかったです』と言ってくれたときは、本当に嬉しかったです」

彩「わかる、わかる。大輔君らしいね。じゃあ、次の仕事ではその『説明して理解してもらう』ことを重視してみてはどう?営業も好きなら、それを組み合わせてもいいけど、そうでなければ専門的に説明をする仕事を探してみるとか」

大輔「それいいですね」

彩「大輔君、自己啓発の勉強をするのが好きだったよね」

大輔「好きです。今でもたまにそれ系の本を読んでます」

彩「例えば、大輔君の好きな『自己啓発の話』を『説明して理解してもらう』という図式になれば、こんな楽しいことはないよね」

大輔「そうですよね」

彩「なので、次の転職先はその部分を第一に考えて探してみるのはどう?まあ、なかなか理想通りにはいかないかもしれないけど。でもね、今こうやって仕事を分解してみて、大輔君の好きな業務が分かったので、それは大輔君の『強み』なんだよ。『強み』ということは自然とできるものなんだから『才能』でもあるんだよね。それが分かれば自信にもなるし、次の行動のヒントにもなるよ」

大輔は新しいヒントを得て、自分の「強み」をより深く理解し、次の転職先を探す勇気が湧いてきた。


新しい道への一歩

大輔は佐々木彩との会話を経て、自分の「強み」とやりがいを見つけるヒントを得た。彼は、これまでの経験を生かしながら、新しいキャリアの道を探し始めた。

彼はまず、自己啓発に関する知識と、人に物事を説明する能力を活かせる仕事を探し始めた。この過程で、大輔はいくつかの職種に目を向け、それぞれの仕事内容や求められるスキルについて調べた。

また、大輔はキャリアカウンセリングにも参加し、専門家の意見を聞きながら自分に合った職種を探した。彼は「自分が本当にやりたいこと」と、市場の需要を見極めることの大切さを理解した。

その過程で、大輔は教育やトレーニング関連の職種に強い関心を持ち始めました。彼は、自分の説明力を活かして人々に新しい知識やスキルを伝えることにやりがいを感じることに気づいたのだ。

さらに、彼は自己啓発のセミナーやワークショップの企画・運営に関する仕事にも興味を示した。これは彼の興味と能力が一致する分野で、自分が学んだことを他人に伝えることで彼自身も成長できると感じたからだ。

このようにして、大輔は新しいキャリアへの一歩を踏み出した。彼は自分の「強み」を活かし、さらにそれを発展させることで、新しい仕事での成功を目指すのだった。

     ◇  ◇  ◇  ◇

この物語は、以前アップした記事 『今までの仕事をヒントに、自分の強みを見つける!』をネタにして短編小説にしました📚


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