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命は冷やして、あたためて。

命は大事だ。あたりまえだ。

命を考えるとき、とりわけ私たちの上半身って、めちゃくちゃ大事じゃね? と思うわけである。

だって上半身には、心臓や肺、腎臓に肝臓、小腸に大腸、生命活動に必要なすべてのものがつまっているから。

腕と足には臓器がつまっていない。

腕は物をつかんだり、何かを持ち上げたりするのに役に立つ。足は移動するのに役に立つ。なくてはならないものだけれども極論、なくても生きてはいける。


休日の午前10時過ぎ、冷蔵庫を開けて飲みものを手にとった私は、こう思った。



「うわ、冷蔵庫にはなんでも入ってるや。まるで上半身みたいだな」



冷蔵庫は移動をしない。
足がついていないから。

冷蔵庫は物をつかめない。
手がついていないから。



でも、あの箱の中であらゆるものを冷やしている。私が今日もこうしてクソみたいな記事を書いているこのときも、我が家の冷蔵庫は納豆と卵とお茶を冷やしている。

私の家だけでなく、どの家庭にも一台は冷蔵庫があって、中には生命活動に必要な食品、つまりは「やがて、いのちに変わるもの」を冷やしている。


上半身につまっている臓器は「いのち」そのものである。もしも私がパナソニックあたりから「新発売の冷蔵庫を発売するので、キャッチコピーをお願いします」と言われたら、たぶんこう書く。


「いのちも冷やしている」


イマイチだな。うまいこと言ってるだけで、消費者のインサイトをまったくとらえていない。「だからなんだ?」となる二流のキャッチコピーだ。


……



男性の睾丸きゃんたまは、人間の臓器のうち、唯一外に飛び出ている。「何をいうか」と思わないでほしい。いたってマジメだ。


ちょっと考えてみると、私たちの心臓は上半身の内部にある。外に飛び出していない。肺も腎臓も肝臓もすい臓も、すべて上半身内部に格納されている。


睾丸きゃんたまは臓器である。


上半身の終点部分にぶら下がっている。

下半身の始点部分にぶら下がっている。


繰り返す。私は真面目に書いてる。



薄い皮で包まれているから分からないが、見方を変えると、あれは外に飛び出した臓器である。


なぜ、あれだけが飛び出ているのかを
ご存知だろうか。


精子いのちは熱に弱いからである。


上半身の内部に格納されていると、熱がこもる。精子いのちは熱に弱い。いのちの生産が滞ってしまう。運動率が著しく下がる。不妊の原因の半分は男性にある。ドキドキしながら読む必要はない。




いのちは、熱に弱いのだ。



だから、睾丸きゃんたまは外に出ている。あれは「いのち」を冷やすためだ。熱がこもらないように、外に露出させることで、冷やしているわけだ。



だから私はサウナに行かない。
いのちがあたためられてしまうからだ。


子どもを授かるという奇跡ミラクルを願う人たちがいる。私もその中に含まれる。女性だけが悩む時代ではとっくにない。

我が家は流産を3回経験しているが、その摘出手術や毎回の検査のたびに足をひらく妻を想像すると涙がこぼれ落ちる。

すべての人がこういった知識を得るべきだ。



「いのち」は熱に弱い。

だから睾丸きゃんたまは、いのちを冷やしている。




……そう考えると、先ほどの冷蔵庫のキャッチコピーも悪くはない気がしてきた。



なんて思いながら。



1番言いたいことは今日のあとがきに。


〈あとがき〉
ちょっと遅れましたが、noteにおける私の古く親しい友人が、神秘を身に宿されているようで。願わくば、どうかお腹をさすって安静に。どうかご無事で、すこやかに。いのちは熱に弱いと書きましたが、今はやさしくあたためて。みんなニコニコ。いつもありがとう。

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