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2021年 君羅文庫 50選

今年も君羅文庫ではたくさんの本を紹介してきました。先日は【2021年 #君羅文庫 10選】と題して印象に残った10冊を選んで発表しました。

このツイートでは紹介しきれなかった本たちも含めて「2021年 君羅文庫 50選」として、twitterの君羅文庫に載せた感想文や君羅文庫note記事とともに紹介していきます!


1.『LISTEN 知性豊かで創造力がある人になれる』

相手の言葉をじっくり考えることは自分の心にその人を招き入れること

『LISTEN 知性豊かで創造力がある人になれる』  p452

聴くことに集中し、後で相手の言葉を思い出すことで自分の心に招き入れる。聴くは学びであり、友情にもつながる。努力して聴くを実践していきたいなと思わせてくれました。年間ベストの一冊です!


2.『学びとは何か 〈探究人〉になるために』

「教えてもらうことを覚える」のに慣れ、それが当たり前と思ってしまい、生来実践していた「自ら発見する」ことをしなくなってしまう

『学びとは何か 〈探究人〉になるために』 p205

学ぶってどういうことだろう?と考えるきっかけとなる一冊だと思います。
知識の断片を覚えるのではなく、「問い」に対する答えを求めて、知識を自分で発見し、使うことで身体の一部にしていく。学生たちにはぜひ読んでもらって、自分にとっての「学び」とは何かを考えながら、大学生活を充実させてほしいなと思います。


3.『中動態の世界 意志と責任の考古学』

強制はないが自発的でもなく、自発的ではないが同意している、そうした事態は十分に考えられる。

『中動態の世界 意志と責任の考古学』 p158

「学ぶ」を強制/自発か、能動/受動かの対立で考えるのではなく、能動と中動の対立で考えてみる。自らが考えるようになるという、主語がそのプロセスの場所になる中動態としての学びへ向かうことが良いなと本書を読んでいて感じた。


4.『WHAT IS LIFE?(ホワット・イズ・ライフ?)生命とは何か』

細胞周期を制御するcdc2遺伝子の発見によってノーベル生理学・医学賞を受賞した細胞生物学者ポール・ナースによる生命とは何か?を5つのステップで考える1冊。読み進めるだけで現代生物学の重大な知見が脳内にするすると入ってきちゃいます。「生命とは何か?」を深く考えることの大切さと面白さを存分に教えてくれるとってもワクワクさせてくれる本です。


5.『マイノリティデザイン 弱さを生かせる社会をつくろう』

著者の澤田さんは本書の中で、「弱さ」は克服するものではなく「生かす」ものであり、「伸びしろ」だと書いています。この考え方を知れば、自分や誰かの中にある「マイノリティ」がキラキラして見えてくる。「弱さ」や「ピンチ」を見つけるのが楽しみになってきます。


6.『食べることと出すこと』

食べることは人をつなぐことも断つこともできる。この本を読むことで、相手が食べない理由を想像し、食べることに困難のある人、食によるコミュニケーションに参加したくない人がいることを想像できるようになったと思う。
この本に通りかかった人が様々な解釈をすることができる「弱い本」ぜひ読んでみて下さい。
今年はケアについてよく考えるようになり、医学書院さんの「シリーズ ケアをひらく」をたくさん読みました。そのきっかけとなったのが頭木さんの『食べることと出すこと』でした。良い出会いでした。


7.『目の見えない人は世界をどう見ているのか』

見えないという障害が、その場のコミュニケーションを変えたり、人と人の関係を深めたりする「触媒」として人間関係の「壁」を低くし、互いが影響し合う「揺れ動く関係」に変えてゆくことに貢献していると書かれています。「障害」について考えるきっかけになる本。読んでみてください。


8.『アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か? ; これからの経済と女性の話』

利益の追求により夕食が手に入ると言っていたアダムスミスが夕食にありつけたのは、ステーキを焼いてくれる母親のケアがあったから。
家事労働やケア、そこに居場所を求めざるを得ない女性たち、それらを排除した「経済人」という誤った前提を捨て去って、「女性」「経済」について考えることが必要と教えてくれる本です。


9.『サード・キッチン』

普段の生活とはかけ離れた強烈な体験からは”自分について考える機会”が訪れるのは必然なのかもしれないと『サード・キッチン』を読んで思った。
主人公の尚美は、留学生活の中で今までの日本の生活では知り得なかった現実の世界で起こる様々な「差別」や「マイノリティ」の存在に触れていく。そして、「マイノリティ」としての自分、意図せずして「差別」をしていたかもしれない自分を知る。社交性のない自分を責める日々の中で、ある日、隣室の扉をノックしたことから、大学の中の様々なマイノリティにとってのセーフプレイスである「サード・キッチン」の仲間たちと出会うことになる。

尚美の留学を追体験し、尚美とサード・キッチンのメンバーの行動や言葉から、自分について、他者について、文化、マイノリティとマジョリティ、人種、性など普段自分が目を向けていないことに気づき、考えていこうと思った。
成績優秀な尚美がレポートにBをつけられてしまった社会学のグレンジャー教授の「考え続けるしかない」という言葉がやけに耳に残っている。


10.『探究する精神 職業としての基礎科学』

大学生・大学院生の学び、研究者としての考え方と行動について書かれていて、大学1年生や大学院1年生が読むと良いんじゃないかと思います!
著者の大栗さんの「知」の原点としての大型書店での体験と影響を受けた沢山の「本」が紹介されているのもとっても良いんです。


11.『知的生産の技術』

梅棹先生は本を"三ど"読む。 まず、はじめからおわりまで読む。その際大切なところや書き抜いておきたい箇所に傍線を引く。 一ぺん読んだら本棚や机に「つん読」をする。 数日後か数週間後、傍線に従ってノートをつける。 本は「つん読」を入れて三度読む。 僕もこの読み方をしています。


12.『存在しない女たち: 男性優位の世界にひそむ見せかけのファクトを暴く』

問題は、女性の体についての人びとの思い込みと、それを明らかにしようとすらしない社会全体の怠慢である

『存在しない女たち: 男性優位の世界にひそむ見せかけのファクトを暴く』 p10

人間=男性として設計された社会に生きる女性の生きにくさを見た。男性のように振る舞うことを女性に求めるのでなく、女性たちの意見を訊くことが必要。


13.『解きたくなる数学』

チーズやコップ、お金などから問題を捉えると、数学の問題が解きたくなってくる!問題を解くために使われる数学上の考え方はすでに知っているものもあるけれど、現実のものに即した問題を解くのに使われると新しい考え方に出会えたようでとってもおもしろい!


14.『華氏451度〔新訳版〕』

ずっと昔、本を手に持っていた時代でさえ、われわれは本から得たものをまともに利用していなかった。

『華氏451度〔新訳版〕』 p272

本の存在が許された世界でも、本から学ぼうとせず、悲劇や愚行が重ねられている。本に秘められた情報の本質を受け取り、自ら思考する時間を持つことが大切だと思う


15.『「わかりあえない」を越える――目の前のつながりから、共に未来をつくるコミュニケーション・NVC』

学生や娘との対話の中で相手の行動を促すために「罪悪感」を利用してしまっているなぁと思う。 自分の感情とニーズに耳を傾け、相手のニーズにも関心を持っていることを示して、進んで行動をしてもらえるような肯定的な言葉を使ってみよう。


16.『他者と働く 「わかりあえなさ」から始める組織論』

「なんであの人はこんなことも出来ないんだ?」と思った時にちょっと立ち止まって考えてみる。そこには自分からは見えていなかった相手のナラティヴ(その語りを生み出す解釈の枠組み)がある。それを否定するのではなく、よく見ようとする。そして、よく観察した上で相手の実践を支援することを心掛ける。するとその対話は自分を助けることにもつながる。自分か他者かの対立関係ではない、「わかりあえなさ」をのりこえるためのアプローチについて知ることができます。


17.『母親からの小包はなぜこんなにダサいのか』

誰かを想う気持ちが小包となって届く6つの物語。めちゃ良い!電車の中で読んでいて何度も涙ぐんでしまった。 郷土料理が出るのも良い味出てて、甘納豆の赤飯を作ってお母さんに渡すところ泣けた!あとかーさんケットの天ぷら食べてみたいなぁ。


18.『実力も運のうち 能力主義は正義か?』

「あらゆる若者が各自の能力と大志が導くところまで到達できるシステムを礼賛する」人は、「必要な能力を欠く人が感じる苦痛」を見過ごしがちだ

『実力も運のうち 能力主義は正義か?』p287

大学での教育に携わる者として、労働の尊厳を無視するような能力主義のあり方・短所について考えなければいけないと感じた。


19.『暇と退屈の倫理学 増補新版』

世界には思考を強いる物や出来事があふれている。楽しむことを学び、思考の強制を体験することで、人はそれを受け取ることができるようになる。

『暇と退屈の倫理学 増補新版』p367

食べるのが好き→食べ物・食について思考するようになる。「楽しむことが思考につながる」は教員も学生も、いや人間にとって大事なこと


20.『サステナブル・フード革命: 食の未来を変えるイノベーション』

pemhakamik menenachkhasik(世界全体が、ひとつの庭)

『サステナブル・フード革命: 食の未来を変えるイノベーション』p385

古代農業への回帰かテクノロジーによる改革かの二者択一ではない、革新的で伝統的な「第3の方法」の提示。 気候変動と人口増加に適応した食料供給について庭の中にいる我々が考え関わる必要がある。


21.『知性は死なない 平成の鬱をこえて 増補版』

知性とは旅のしかたであって、行き先のことではありません。大学という行き先にいくだけでは、知性には出会えません。

『知性は死なない 平成の鬱をこえて 増補版』p303

大学教員だから知性を持つわけではない。 疑い、問いを深め、変えていこうと考える。「旅のしかた」としての知性の輝きを取り戻すことの大切さを考えた。


22.『民藝の機微-美の生まれるところ』

「観るよりも知ることを先に働かす者は美に触れることが出来ない」

『民藝の機微-美の生まれるところ』p276

柳宗悦の没後60年にあたる2021年。東京国立近代美術館では、「柳宗悦没後60年記念展 民藝の100年」が開かれました。

日々の暮らしの中に存在する「美しき物」に即して、判定せず、知識に依らず、その「美しさ」を受け取る。民藝の在り方を知ることが、これからの時代を生き抜く上で必要になるなと感じました。


23.『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』

noteでずっと読んでいた岸田奈美さんの家族にまつわる話が大幅な加筆修正を経て出版されました。
「死んでもいいよ」と告げたお母さんとの話。
どん底から救ってくれた弟良太さんとの話。
転んだあとの立ち上がり方を教えてくれた今は亡きお父さんとの話。
そして岸田さん自身の話。
noteで全部読んだはずなのに、やっぱり吹き出して何度も読んでしまうのは、誰も傷つけることなく笑わせてくれる爽快で温かい岸田さんの文章だから。



24.『居るのはつらいよ: ケアとセラピーについての覚書』

個々人の「する/される」以前に、デイケアというコミュニティに必要性が生じて、それに対応するために自然とケアが生じていたのではないか。

『居るのはつらいよ: ケアとセラピーについての覚書』p221

コミュニティの中にメンバーが「居る」ことで生じるケア。デイケアにおける中動態としてのケア。おもしろいな〜


25.『ニュースの未来』

僕はニュースの必要性について知りたいという動機で読み始めましたが、この本では「必要なニュース」ではなく、「良いニュース」について考え、ニュースの未来にとって大切なことは何か?を考えていくことが主題になっていると思います。

ニュースに関わる記者ではない僕が一番自分と交差するであろう考え方を得られたのは、「良いニュース」の一つの条件として、「思考」の必要性を論じていた中の文章に触れた時です。「良いニュース」には思考がある。書き手の思考があり、その過程を経て発信されたニュースは読まれるものとなり、さらに読み手の思考を深めるものにもなっていく。これは僕が授業や発信をしていく上でも大事な考え方だなと思いました。受け手が知りたいことだけを知るための手っ取り早く結論に達することのできる情報を伝えることだけを重視するのではなく、発信側の思考を深めてその過程も丁寧に伝えることで、受け手側の思考も深めることにつなげていく。まさに大学の教育、研究についての社会への発信をしていく中で必要とされることなんじゃないかと思いました。


26.『東京ルポルタージュ 疫病とオリンピックの街で』

街に出た石戸さんが書き留めてきた、そこに生きる人たちの人生。そのどれもが魅力的。いやぁおもしろい! 「偶然に開かれて」が特に好き。都市は偶然に満ちあふれている!街に出よう!人と会おう!と思わせてくれました!


27.『夢をかなえるゾウ1』

知識を頭に入れるだけでは人間は絶対に変われへん。人間が変われるのは、『立って、何かをした時だけ』

『夢をかなえるゾウ1』

座って本を読んでるだけじゃダメだ!まずはガネーシャの教えに従って寄付をした!


28.『食卓のつぶやき』

「鬼平犯科帳」「剣客商売」で有名な時代小説作家の食べものの思い出がいくつも登場します。いろんな料理が出てくるのですが、高級なものや豪勢なものよりも、タマネギ味噌や鰈の骨湯、埋豆腐などシンプルな即席飯がなんともうまそうでお腹が空いちゃうエッセイ集です。


29.『視覚化する味覚』

私たちが「自然」だと感じている食品の色はどうやって決められたのか?マーガリンは着色したり、漂白したり、赤いエムアンドエムズが一時姿を消していたり、オレンジもオレンジ色をつけていたりと、食品の「色」の歴史的側面を見ることができるおんもしろい本です!


30.『ケアとは何か-看護・福祉で大事なこと』

社会環境のせいで「弱さ」となってしまうハンディキャップについて、適切なサポートを求め、他の人とつながることが、ニーズを持った当事者の「力」である。

弱さを肯定し仲間を作り生き抜く。弱さの価値からケアがうまれる。


31.『教養としての認知科学』

複数認知リソースの同時並列的な活性化により、ゆらぎが生み出されるのである。 思考にゆらぎがあることで学びを次に活かすことができる。

多重のリソースを持つ準備状態で思考がゆらぐことでひらめきや問題解決、創造につながる。 思考の揺らぎ大切だ!


32.『ほろよい読書』

「おいしいもんですね。ご飯とお酒は・・・・・・」

『ほろ酔い読書』『定食屋「雑」』より

自分の中で固まってしまっていたものが象さんがつくった甘くて酸っぱいチキン南蛮とビールが溶かしてくれる。 原田ひ香さんの文章やはり沁み入る。


33.『趣味で腹いっぱい』

上手じゃなくて自己満足を目指す「趣味」が人を支えることもあるし、社会を回してる!自分で自分を幸せにしよう!と思えました〜


34.『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』

目の見えないひとと一緒に絵を見ることで得られる何かを求めて、作品を見るのではなく、分かり合えなさを抱えながらただ歩き、一緒に笑う。美術館に導かれる"旅"良いなぁ


35.『シュガータイム』

奇妙な病を抱える主人公の、そのわからなさと同居する様子が驚くほどあっさり描かれていて、原因を知ろうとすることの無意味さを突きつけられる。 これがわからなさを楽しむ小川洋子さんの世界か!と思い知らされました。おもしろい!


36.『水中の哲学者たち』

「正解」を求めるから、とんでもないことを言ってはいけないと思う。自分の「なんで」に正直に、問いに対する「答え」を出そうともがいてみることが大切なのかなと思う。


37.『企画 「いい企画」なんて存在しない』

企画とは「つくるもの」ではなく、「決めるもの」。物事を決めて、無限にあった可能性を断ち切ることで進むべき道筋をはっきりさせ「実現させる」ことができる。
この本を読むことを「決めて」読んだことも自分の企画。天賦の才がなくても「企画」はできる!自分で決めるってとっても良い!


38.『勉強するのは何のため?―僕らの「答え」のつくり方』

問いの立て方を変えることで勉強の意味を考えてみる。勉強することの理由に絶対の正解はないのだから、自分なりの答えを出して、それを実感するための条件を整備することを考える。


39.『「利他」とは何か』

利他とは「うつわ」のようなものではないか、ということです。相手のために何かをしているときであっても、自分の計画に固執せず、常に相手が入り込めるような余白を持っていること。それは同時に、自分が変わる可能性としての余白でもあるでしょう。

『「利他」とは何か』p58

相手が「いる」ことを肯定し、聞くことで他者を発見し、自分の変化が起こる。 うつわとして生きることでそこに利他が生まれる。


40.『観察力の鍛え方 一流のクリエイターは世界をどう見ているのか』

「正解」を追い求めないこと。「わかる」を重視しないと、あいまいな世界に向かう。あいまいはつらいが、正解・わかるではなく、納得解を求めようとして、観察力が磨かれる。
自分の知識を前提として観察しても世界の見え方は変わらない。正解のある目的に向かうのではなく、アンラーンし、あいまいな世界に身を置き、愛を持った観察をすることで仮説が更新される。
あいまいはつらいけど、「する」を見て評価・アドバイスしたいけど、「いる」を見ることが良い観察。そこには対象への「愛」がなくては成立しないというのも納得。 娘の観察はよくできるものなぁ。思考がぶれる良き本と出会いました!


41.『遅読家のための読書術』

読書の本当の価値は、書かれていることの「100%を写しとる」ことではなく、価値を感じられるような「1%に出会う」こと

『遅読家のための読書術』

本の内容を全部覚えるのは無理 「その本から何を得たいか」を決め、価値ある1%に出会う読書で多くの本が自分の中を流れていく。
この本を読んでから、本を読むことに対する"気負い"がなくなって、読書を楽しめるようになった!


42.『御馳走帖』

内田百閒『御馳走帖』には、食べ物にまつわる"誰か”との記憶がたくさん書かれている。臆病な部長と食べに行く「河豚」、友人に振る舞った「油揚」、お見舞いにもらったあまりにも大きい「カステラ」、父がぶら提げていた「麦酒の壜」、お土産に買ってもらったが”毛”が生えてしまった「大手饅頭」などなど。中でも、「シュークリーム」は、祖母を思い出させてくれる大好きなお話。
内田百閒のユーモアと共に、食べ物と人のお話を『ご馳走帖』でぜひ。


43.『縁食論 孤食と共食のあいだ』

『食べることと出すこと』から”共食圧力”について考えていて辿り着いた『縁食論 孤食と共食のあいだ』ちょっと立ち寄れて、でも話さなくてもいいような、人の「ヘリ」がある場所の同じ時間に停泊しているような食・場のあり方「縁食」について考えている一冊。おもしろいですよ。


44.『銀座アルプス』

コーヒー・ギンブラ・甘い物が好きな寺田先生の随筆集を”おいしく”読んでみるの楽しいですよ!


45.『スクリーンが待っている』

深津絵里さん目当てで見た『永い言い訳』で是枝イズムを感じ、この本で西川監督と役所さんの因縁も知る。 この本読めば、西川監督の描く"人間たち"を映し出すスクリーンに行きたくなること間違いなし!


46.『東大教授が教える独学勉強法』

先生の言うことを素直に受け入れるのでなく、疑問を持って自分で考える・調べてみるという大学での学びにとって必要な姿勢について知り、「答えのない問い」に自分なりの答えを出すための勉強について知ることできる本です。


47.『勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版』

僕は話がよく「飛ぶ」。自分でも分かっているんだけど、気になるとそちらを深追いしたくなってしまい、考えているうちにまた違う話題に目移りしてしまう。こんな態度は改めなくちゃなぁと思って、社会人になってからは訓練してきたつもりだ。でも、この『勉強の哲学』を読むと、「空気が読めない」や「ノリが悪い」「深追いしているうちに目移りする」というのは「勉強」にとっては有意義な態度であるとわかる。
勉強とは、今までとは別の考え方をする環境への引っ越しであり、今までのノリがわからなくなる「自己破壊」である、と。僕の「飛ぶ会話」の場合は、見方を多様化するための「目移り」としてのユーモアが過剰になることで会話のノリを転覆させてきたのだと理解する。このユーモアをあえて発揮することで勉強を深めることができると本書は教えてくれる。深追いしつつ目移りしながら、勉強を続けていく上でユーモアが大切なのだと感じる。
ノリが悪いと言われる人、会話の内容がよく飛ぶ人、それが勉強に向かう姿勢なのだと考えると、楽しく勉強できるようになる気がしないだろうか?少なくとも僕はこの「目移りし過ぎてしまう自分の頭の中」を、否定的に捉えるだけでなく、好きになれた気がする。


48.『LIFE SCIENCE(ライフサイエンス) 長生きせざるをえない時代の生命科学講義』

ノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅先生の共同研究者であり、オートファジー研究で世界の最前線を走るトップランナー吉森保先生によるわかりやすい生命科学講義な1冊。細胞の中のものを包み込み分解するオートファジー。人間が恒常性を維持するためにあえて”壊す"オートファジーを20年に一度の式年遷宮によりピカピカを保つ伊勢神宮に例えたのはとってもわかりやすかった。

オートファジーについてわかりやすく知れるのが魅力であるのは間違いありませんが、この本の魅力はむしろ前半にあると言ってもいい。本書の第1章は「科学的思考を身につける」です。科学とは、真実かどうかを判別する便利な装置ではなくて、真実に近づくための仮説を作る営みであり、確からしい仮説をどんどん良いものにしていこうとしているのだと知る。これは身体に絶対良い!などと断定する人は、科学的に怪しいと判断するとも書かれています。
ある科学的検証結果と自分の体験がうまく「相関」した人は、そこに「因果関係」があると信じ、その説をうまく言っている人の言葉を信じようとするでしょう。
しかし、科学で因果関係を示すのはとっても難しい。そこを知らずに信じたい人の言葉だけを信じすぎるのは問題だと思います。
本書の第1章を読むことで、一部の相関関係だけでなく、検証がどの程度あり、因果関係についてはどうなのか?も考えられるようになると、ある情報に当たった時にじぶんで立ち止まって理屈で考えられるようになるはずです。そのような科学的思考を身につけることを本の前半で示してくれているのが本書の魅力の一つではないでしょうか?


49.『いつか中華屋でチャーハンを』

お腹すいた時に読むと中華屋で定番以外メニュー頼みたくなっちゃうこと間違いなし! 埼玉の誇り!3割うまい!!のぎょうざの満州も登場するよ!


50.『父の詫び状』

2021年は向田邦子さんが急逝されてから40年。 僕の生まれる前に亡くなってしまった作家さんですが、食べ物にまつわるエッセイをたくさん書いていることもあり、向田作品を好きでよく読んでいます。『父の詫び状』は、向田さんが乳がんを発症し、その術後の後遺症で効かなくなる右手に変えて、左手で書き出した随筆を単行本化した作品です。昭和の日本の家庭の情景が目に浮かぶ表現がたくさんの向田さんの代表作とも言われるエッセイです。
この作品中にも向田作品の特徴的な「食」の表現がたくさん。 「ごはん」の中に登場する「天ぷら」と「鰻丼」は、特別印象に残る料理です。「思い出はあまりにも完璧なものより、多少間が抜けた人間臭い方がなつかしい」と向田さんが書くように、『父の詫び状』では、自身の家庭についてユーモアあふれる明るい表現で綴られています。「食」もたくさん描かれている向田作品の中でも大好きなエッセイの一つです!


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