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生物学の本 from君羅文庫【食べ物のことについて毎日考えてみた】

2020年の終わりに君羅文庫の総まとめをしました。

このnoteでは、それぞれの本にまつわるお話を載せることができませんでした。

そして、【食べ物のことについて毎日考えてみた】のnoteの中では、君羅文庫を支持してくれる方が結構いました。

「食品学は生物学だ」と僕は考えています。「生物」のことを知ることが「食品」についての理解を深めることにつながります。生物好きになることが管理栄養士として「食のプロ」になるためにも必要ということで「生物学」に関する本を君羅文庫ではたくさん紹介しました。

今回は、君羅文庫50選の中から【生物学】にまつわる本についての君羅の紹介文を掲載していきます。

『これからの時代を生き抜くための生物学入門』

五箇公一 / 辰巳出版

様々なメディア出演でもおなじみ五箇先生のこれからの時代を生き抜くためのヒントが散りばめられた生物学入門書。

本の前半は、生物の性、進化、遺伝など生物学の基本的な部分を五箇先生の専門のダニ学なども交えながら面白く学べます。後半からは、人間はどのように生きるべきかについて考えさせられる内容に進んでいきます。

地球に生命が誕生してから38億年の歴史の中で5回の生物の大絶滅があったといわれます。現代は6回目の大絶滅時代を迎えており、その原因は自然現象ではなく、人間の活動による環境破壊が原因とされています。

絶滅と聞くと人間とは遠い生物の話かと思うけれども、その生物たちが大量絶滅を迎え、生物多様性が失われれば、環境の変化に耐えられず人間も滅んでしまうはずです。そして人間が絶滅したことで環境破壊が止まり、またその環境に適応した生物が増えていく。こんな地球の将来も考えられるような現状で、今後我々人類がとるべき態度は「利己的行動」ではなく、「利他的行動」だと五箇先生は言います。
生物学・生物多様性について楽しく学べるとともに、地球の未来に向けて自分がどのような行動をとるべきか考えなさいとこの本から言われたような気がします。


『細胞の中の分子生物学』

森 和俊/講談社 ブルーバックス

私たちの意識・無意識に関わらず体の中で細胞は忙しなく働いています。
DNA➡︎mRNA➡︎タンパク質
この流れは生物の授業で習うはずです。

ではなぜ、膵臓でのみインスリンが作られるのか。
なぜ肝臓でアルブミンを作ることにしているのか。
この答えを知りたい方はこの本の前半を読むとよ〜くわかります。

また後半は小胞体ストレス応答と難しい原理の話になりますが、我々の生命を維持する上で重要なシステムについてわかりやすく書かれています。

近い将来ノーベル賞を受賞するかもしれない著者による生命科学:ライフサイエンスの入門書としてめちゃくちゃおすすめな一冊です。
講談社のブルーバックスシリーズは、大学での学びを深める面白い本がたくさん揃っていますので是非手に取って読んでみてくださいね!


『となりの生物多様性』

宮下 直/工作舎

土の中の菌が薬を作る!?
バナナが消える!?
マジックテープはゴボウのおかげ!? 「生物多様性」よく聞く言葉ですが、何のことを言っているんだろう?と思った方はこの本を読むことオススメします。

最初の3つワードは、本文中に出てくる「生物多様性」を表現するためのキーワードの一端です。

ぜひ読み進めて、何のことなのか考えてみてください。 「生物多様性」について理解が進むだけでなく、地球の生態系や環境のために、これからの私たちにできることは何かということを考えさせてくれる1冊です。


『ゲノム編集とはなにか』

山本卓 / 講談社 ブルーバックス

2020年のノーベル化学賞を受賞した「ゲノム編集」について、技術開発の歴史、さまざまな分野での可能性、課題などについて紹介されています!
ノーベル賞を日本人が受賞するかだけに注目するのではなく、受賞した研究・技術が、医療や工業、農業などさまざまな分野の発展に寄与し、人間の生活をどのように変化させたのかについて知る機会と捉えると、色々と調べたくなっちゃいますね。
今回のゲノム編集技術は、細菌がウイルスなどから身を守るために進化させた機能を利用していることもとても興味深いです。本書にも「未知の細菌や古細菌には、いまだバイオテクノロジーに利用できる多くのツールが眠っている可能性がある」とあり、これから発見されるかもしれない技術がまだまだあるのかも!と思うとワクワクしてきます!
毎年発表されるノーベル賞。どのような研究・技術なのかについて、興味を持って調べてみませんか?
科学の技術や原理、法則について知りたいなと思ったときには、講談社ブルーバックスシリーズからまずは探してみるのオススメです!


『若い読者に贈る美しい生物学講義』

更科功 / ダイヤモンド社

この本は生物学の本なのですが、生物学とは「生物に関係するものをごとを科学的に調べること」なので、まず「科学的」とはどうゆうことなのかについて考える章があるんですがこれがいい。

正しい「演繹」なら結論は100%正しい。
しかし、知識は広がらない。
「推測」の結論は100%正しい、とはいえない。しかし、知識は広がる。

生物とは何か?を書いて、どんな生物がいるか?だけを書くのではなく、「科学的」を考えることで、科学の限界を理解しておくことができる。そして「推測」を行うことで知識を広げることができると知れる。

これについて第2章で考えていることで、本の内容や普段の生活の中から疑問を持とうとして、そこから推測を使い仮説を立て、検証してみようとする姿勢が身につくんじゃないかなと思う。

知識だけじゃなく行動まで変わる生物学講義の本。これはますます生物学が好きになっちゃう本だなと思う。


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