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リエゾン学級経営 「実践ネタ紹介します」実践編① #135

リエゾン学級経営とは?

多様性を尊重し共に学び成長する新たな教育アプローチとしてリエゾン学級経営を考案しました。
この考え方のベースとなっているのは、多数派が使う「ふつう」という言葉の違和感からです。

多数派が使う「ふつう」には、どんな意味があるのでしょう?
「みんなと同じ」
「多くの人と同じ」
ではないでしょうか?

「ふつう、チャイム鳴ったら座るよね」
「ふつう、発言したいときは手を挙げるよね」
といったような使い方を、多数派の人達は無意識にしています。

そして、みんなと同じであることを「ふつう」としてしまったのが、日本の教育システムです。

ここで多くの人が使う「ふつう」には、おそらく悪意はありません。
「ふつう」であることで居場所を確保し、みんなと同じという安心感を抱きたいだけなのです。
ですが、結果的にみんなと同じようにできない子たちを少数派として追い込み、居場所をなくしていったことも事実です。
同調圧力という言葉は、まさにこの多数派優位の社会の状況が生み出した負の遺産と言えます。

日本は学制以降、一斉指導スタイルを原則として指導をしてきたため、一人の教師が、同じ課題を40人近くの子どもに教えてきました。

それゆえに、
「みんなと同じであること」が強要されてきた歴史があります。
それが積み重なって大きな負の財産となってしまいました。
令和時代の教育においては、この負の財産を払拭すべく、「ふつう」のパラダイム変換をしていかない限り教育の未来はありません。

「ふつう」という概念のパラダイム変換については↓をご覧ください。

リエゾン学級経営とは、
「少数派と多数派が互いに寄り添い合い、共に学び、クラス全員が成長するための教育的なアプローチのことです。」

※少数派とは学級で個別の支援を要する児童
※多数派とは個別の支援を必要としない児童

全員が多様性を尊重し、誰にとっても居心地のよい場、楽しく学びながら互いを認め合う学習環境を築き、目標に向かって努力しながら成長できることを目指します。

学級経営(ゴール設定)×心理的安全性(居場所づくり)×特別支援理解教育(多数派・保護者・職員への理解)=リエゾン学級経営

リエゾンとは、もともとフランス語からきた言葉です。
連携や結びつきを意味していて、医療現場でよく使われています。

これからの学級経営において、多数派と少数派の連携や保護者や校内外の人材との結びつきを強化し、互いの理解を深め合うことが必要不可欠であると感じ、

リエゾン学級経営と名付けました。

次の学習指導要領改訂では、特別支援教育の理解が一層求められる内容となることが予想されます。

そういう意味で、このリエゾン学級経営の理論は、令和時代における学級経営の基本となっていくはずです。

いよいよ今回から、リエゾン学級経営実践編です。

これからの学校教育において、
学級担任は全員、特別支援教育の知識及び理解が求めれます。
知らなかったでは済まされない時代になってきています。
特に特別支援教育の研修などをうけてきていない先生方は注意が必要です。

特別支援教育の重要性に気づいている自治体は、初任者研修で、特別支援教育の基礎演習を時間をかけて取り組んでいるところもあります。

だから若い先生ほど、特別支援教育の知識はもっています。
年配の方々は……勉強が必要な人が多いなというのが私の印象です。

しかし、特別支援教育の研修を受けたから、あるいは、特別支援の知識が豊富にあるからといって、学級経営がうまくいくわけでもありません。

そのため、

リエゾン学級経営

が必要となるわけです。

初任で通級担当教員を経験してから、学級担任をしたことがある方ならその意味がよくわかると思います。
通級教室と通常教室では世界が違います。
通級教室で子どもを注意することはまずありません。

ですが、
通常学級では、注意しなければならないことは山ほどあります。

少数派の子たちにも、場合によっては厳しく注意指導が必要となる場面にも遭遇するのです。

では、学級担任になったらまず何をしなければいけないのか?

それは、
少数派の理解教育の実施です。
いわゆる多数派工作。
これをしないとトラブル対処に追われることになります。

一見平和そうに見えるクラスであっても、この理解教育を徹底していかないと、少数派の子たちを追い詰めていくことになります。

多数派の子たちによる少数派への誤解を解き、理解をしてもらわないことには始まりません。
ではどうやって理解させるのか?

以下の2つの実践を年度初めに行います。

①自分取り扱い説明書をつくろう(自己紹介)
②ずるいってどういうこと? 車いす テストの読み上げ 宿題を学校でやる 右利きの人ずるい ずるいよずるい読み聞かせ アイツだけずるい

この実践を通して
多様性の尊重と少数派の理解を図ります。

今回はそのうちの1つ
①自分取り扱い説明書をつくろう(自己紹介)
についてお話していきたいと思います。

読み聞かせの後→担任自己紹介→各自自己紹介カードをかく→自己紹介をグループでする
という流れで進めていきます。

①絵本の読み聞かせ

この本は、
現役の小学校の先生がつくった絵本です。

主人公が、常に怒鳴られる日常から脱出し、
先生たちに向けて「自分の取り扱い説明書」を提案するという内容です。

通常のトリセツ本とは異なり、子どもたちが大人に向けて声をあげ、楽しさや笑いの重要性を訴える視点で描かれています。

この絵本は、学校の先生だけでなく子育て世代の親や人材育成関係者にもためになる本と言えます。

自分取り扱い説明書と言うと難しく感じてしまいますが、自己紹介カードを書くと考えてもらうといいかと思います。

どの学年でも実践可能です。

1年生はこの読み聞かせだけで十分でしょう。

2年生以上はこの読み聞かせの後、自己紹介カードを作成します。
内容は学年の実態に応じて作成します。

類似した絵本であれば、なんでも構いません。
また、読み聞かせなしで②にすすでも構いません。
下学年であれば、絵本の読み聞かせがあったほうが、より理解が深まります。

担任自己紹介をします。
後で子ども達に取り組ませる自己紹介と同じ項目でやると、子ども達も次の活動のイメージがもちやすくなります。

①自分の名前
②好きな食べ物
③苦手な食べ物
④得意なこと(好きなこと・マイブーム)
⑤苦手なこと
④しっておいてほしいこと(4年以上)

クイズなど織り交ぜながらやってもいいでしょう。
自己紹介の後質疑応答の時間を取ります。

新学期初日に取り組むことなので、全員が簡単にできるようにします。

そして、
③自己紹介カードの作成
見本は、先生が作成しておいて、プロジェクターなどをつかって全員に見えるように提示します。

最後に、
④自己紹介
何を言うのかは、あらかじめ決めておきます。
自己紹介カードに沿って話せるようにしておくと誰でもできます。

①自分の名前
②好きな食べ物
③苦手な食べ物
④得意なこと(好きなこと・マイブーム)
⑤苦手なこと
④しっておいてほしいこと(4年以上)
〇〇すると(〇〇になると)こうなります
例:
休み時間になると図書室にこもります。
休み時間になると外で鬼ごっこします。
給食の時間になるとおかわり必ずします。
国語の時間になるとほとんど発言しません。
などなど…

この自己紹介を4人グループになって行います。
①自己紹介
②残り3人が全員質問あるいは感想を伝える
(質問があった場合、発表者はその都度答えます)
1人2分

この後、全体交流
グループで盛り上がった自己紹介や、質問などがあったかたどうか全体で交流していきます。

一人ずつ全体で発表する方法をとることもできますが、これでは何の変哲もない自己紹介になってしまいます。

リエゾン学級経営においては、子どもたち同士のつながりを重視します。だからグループでやるのです。


さて、

このグループ交流の時間がこの学習の肝です。



この時、少数派にあたると思われる子の発表および、そのグループでの交流の様子をよ~~く観察します。
そして観察の中で全体交流で取り上げたいグループや個人を決めておきます。
個人を取り上げる場合は、事前に本人に全体で紹介してもよいか確認しておきます。
グループを取り上げる場合には、自分が価値づけたいことが対話の中にあらわれていたのかどうかという視点でみていきます。

例えば、
共感することの大切さを価値付けたいのであれば、
A「わたしの苦手な食べ物は、しいたけです。」
B「あっ!わかる~~においがちょっとね~~」
このBのコメントを取り上げ、価値付ていきます。

思いやる気持ちを価値付けたいのであれば、
A「わたしは走るのが苦手なので、鬼ごっこがあまり好きではありません」
B「えっ!オニゴ楽しいよ」
C「一人ねらいされるから嫌なんだと思うよ」
A「そう、すぐにタッチされるからつまらない」
このCのコメントを取り上げ、価値付けていきます。
以降、クラス遊びを企画するときや、お楽しみ会などを企画する際の布石にもなります。

このようにして、少数派の考えを紹介したり、少数派の気持ちに寄り添うことのできる多数派の子を意図的に見つけだし紹介していくのです。

そうすることで多様性を尊重し少数派を理解できる子に育っていきます。

何も考えずにぶらぶら観察していては、時間が無駄なだけでなく、子どもはいつまでたっても育ちません。
これはいわゆる

活動あって学びなし

です。活動させるだけなら、誰でもできます。
教師であるのであれば、


何事においても、

目的意識

をもって取り組んでいくことが大切です。

たとえ、どんなに便利な教材や、よい実践を取り入れたとしても、ゴールのない指導は指導とは呼ぶことができません。
自分自身が何を価値づけたいのかを学期始めにメッセージとして伝えることが学級経営では大切です。
くわしくはこちらをご覧ください↓

トリセツにかかわる絵本にこんなのもあります。↓

保護者への理解教育の一環として、紹介をしてみたらいかがでしょうか?

担任の先生方であれば、ぜひ保護者会や学年だより、学級だよりなどで紹介したり、実際に保護者に読み聞かせしてもよいかもしれませんね。

学校と家庭の連携は大切です。
同じ目線で子どもを支援するためにも、取り上げておきたい1冊でもあります。

おまけ(参考になる漫画とドラマ)

リエゾンとはもともと医療の現場でよく使われている言葉です。
そのリエゾンについて詳しくしりたい方向けの漫画、ドラマがあります。
興味ある方はご覧ください。
発達障害について理解が深まりますよ!
発達障害に関わる医療の現場の様子も知ることができます。

以上、自分取り扱い説明書をつくろう(自己紹介をしよう)でした。

次回、②ずるいってどういうこと?について考えていきたいと思います。

リエゾン学級経営とは、
「少数派と多数派が互いに寄り添い合い、共に学び、クラス全員が成長するための教育的なアプローチのことです。」

全員が多様性を尊重し、誰にとっても居心地のよい場、楽しく学びながら互いを認め合う学習環境を築き、目標に向かって努力しながら成長できることを目指します。

少数派と多数派が共に成長する学級での可能性は無限大です。
未来の社会を担う子どもたちが、多様性を受け入れながら共に進化成長し、共に学び合う未来への扉を開くために、リエゾン学級経営を取り入れていくことをおススメいたします。

一人でも多くの方がこのリエゾン学級経営に賛同し、実践していただけることを願います。
すべての子どもの幸せを祈って!

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