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You Should Be Loved.

最近、自分の障害を伝えていないクライアントとのやりとりに困ることが多く、「私みたいな障害者は役立たずだ」「誰にも必要とされてないんだ」と臥せっていた。

そんな中、Hunter Hayesというアメリカ人歌手の「You Should Be Loved」という曲に出会った。

ハンター・ヘイズ「ユー・シュッド・ビー・ラブ」ミュージックビデオ

タイトルを直訳すると「あなたは愛されるべきだ」

サビでは「貴方は愛され、愛され、愛され、愛されなければなりません」とひたすら繰り返している。

最終的には「貴方が泣いている間彼が笑わせようとしないのなら、彼にさよならを言うように貴方を抱きしめて、毎日毎晩一緒に歌って、踊って…なぜ、私にはできないのだろう?」と感情を爆発させるようなストーリーに。

歌詞やMVを見ると、取るに足らないクズ男と時間を消耗している女子に向けて、「もっと愛されるべきだ」と歌っているのだと思う。

同時に、愛された経験に乏しい人へ「(キミみたいなすばらしい人は)もっと愛されるべきだよ」と訴えかけているようにも聞こえる

私がこの曲を聞いて泣いたのは、後者の意味合いを強く感じたから。
繰り返す「You Should Be Loved」というストレートなフレーズに、素直に心が揺さぶられ、これまでのことや辛いことを一気に思い出してしまった。

「You Should Be Loved」というフレーズに、よみがえる過去

発達障害者の中には、私のように、物心ついたころから迷惑ヤローだった人もいると思う。

同年代から遠ざけられ、ひたすら孤独を抱えて。

両親や祖父母にどんなにかわいがられていても、家の外に出れば誰にも相手にされない。

それどころか、「キモイ」「ウザい」「汚い」「不細工」とひっきりなしに心無い言葉が浴びせられる。このような経験のあとに、発達障害と診断された人も多いはず。

「ああ、障害者だったから『周りの望む当たり前』に当てはまらなかったのか」と腑に落ちるか、人生に絶望して死ぬことばかり考えるか。私はその両方を経験している。

誰にも必要とされてない。生まれてこなきゃよかった。
消えたい。消えたい。消えたい。

「ヨーロッパをもっと旅したい!」とポジティブな意志を持つ今でも、
愛された経験の乏しさを嘆き、孤独と不安にさいなまれることがある。

ここには吐き出せないようなドロドロとした感情につつまれ、一気に醜い存在になってしまう。

仮に、愛された経験が多ければ、発達障害のような診断を受けても絶望まではしないんじゃないだろうか

たとえ傷つけられた経験があっても、それを愛された経験が上回っていれば…


このnoteを読んでいるのは、発達障害者が大半だろうから。
声を上げて言いたい。「みんな、もっと愛されるべきだ」と。

いや、障害の有無にかかわらず、愛されるべきだ、と。


発達障害者は、愛されるべきだ。

自分でいうのもなんだけど、私も、愛されるべきだと思う。

障がいを隠さず、もっと堂々としていられるように。自分の意志を実現させていくために。

でも、障がいの特性で迷惑をかけることが多いと他人から愛されることは困難だ。

発達障害の特性は、周りを困らせるものが多い。

「周りに合わせることが苦手な」発達障害者が他人から愛されることなんて、到底無理なんじゃないだろうか。

確かに、困難なことかもしれない。
でも「発達障害=愛されない」ということではない

発達障害をカミングアウトしても、有り余る愛を全力で注いでくれる人は、いる。

私を愛してくれる人

幸いにも、今の私には愛してくれる他人が一人だけいる

かれこれ5年くらいの中で、障がいの有無で人の価値を決める人ではないと判断できたから、今も付き合いが続いている。

今では障がいがあっても前を向くことを尊重してくれている。唯一「発達障害ツライ」「副作用ツライ」と正直に吐き出せる相手だ。

カミングアウトした時も「自分が養うから、辛いなら無理しなくていいよ。好きなだけ家にいていいよ。苦手なことは全部任せてくれていいから、一緒に暮らそうよ」と言ってくれた。

初めて、他人からの愛に幸せを感じた

両親が「あんたが発達障害なんてありえない」と私を否定する中で、私の欲しい言葉をくれた。

私の現状や仕事のことを身内にひた隠しにする両親とは違い、その人は周りに私を説明する時、ちゃんと「ライターをしている」と説明してくれる。

私にフィルターをかけず、そのままを愛することができる人だからこその対応。

その愛に、私は泣き崩れ、身をゆだねたのだ。
(結局一緒に暮らしてないけど)

今まで愛された経験に乏しかったからか、「誰かのために」と行動することはほとんどなかった

この愛を経験してからは、せめて相手には幸せであってほしいと考えるようになった。大切にしたいと思うようになった

正直、大切にできてるのかわからない。しばらく会えてないし、「一緒に暮らそう」という申し出に応えられずにいる。

なんせ愛された経験に乏しいから、大切にするにはどうすればいいか分からない

それでも、相手は私をせかすことなく、やさしく寄り添ってくれる。

ゆっくりと、どうやって大切にしていけばよいか、答えを見つけたい。

まだ発達障害という事実に戸惑うこともあるのだから、しばらくはそのやさしさに甘えてもバチは当たらないはずだ。私といることに幸せを感じてくれる限りは。

愛してくれる他人が一人いる私は、運がよいのかもしれない。

たまたま運がよかったから、寛容な人と巡り合えただけかもしれない。
でも、愛してくれる人がひとりいると、世界は、見違えるほどにクリアになる

みんな、もっと愛されるべきだ

発達障害の診断を受けてもなお、愛してくれる人がいたから、私は「みんな、もっと愛されるべきだ」と思う。

発達障害の特性がある以上は、難しいことだとわかってる。
私も経験上、その難しさがよくわかるから、絶望の淵にいる仲間たちを、愛せるようになりたいと思う

「You Should Be Loved」という曲を知ってからは、当事者の仲間たちのツイートや記事を読んでいると「みんな、もっと愛されるべきだ」と感じるようになった。

愛された経験に乏しい当事者を、愛せるようになりたい。

だけど、どうすればよいのかわからない。とりあえず今は、唯一愛してくれた人のように、無理なく、寄り添うのが一番なんじゃないかと思う。

なるべくは、相手が必要としている言葉をかけたい。

金銭的にボンっと援助するのは現状難しいけれど、代わりにできることがあれば、積極的に手を挙げてやっていきたい。

もし「辛い」と素直に言うことで楽になるなら、私が聞く。

他に誰も聞いてくれないのなら、いないよりはましだと思う。救いになるアドバイスができるかは別として、欲しい言葉を紡ぐことはできるかもしれない。

あなたはもっと愛されるべきです。

自分はもっと愛されるべきなんだとわかっていれば、いつか他の誰かが愛を注いでくれた時に、気づいてエネルギーに変えることができるはずだから。

現にそのエネルギーは、計り知れないほどに大きく、私を突き動かしている。

今後も周りに「彼女はライターです」と胸を張って紹介してほしいから、今の仕事に没頭できる。


今すぐその時が訪れるとは限らなくとも、

もっと愛されるべきなんだと気づいてほしい。

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