ひとまわりも歳上になってしまった。あんたが死んだから。
私の親友は、20歳で死んだ。
人生の次のステップへ向け、履歴書を投函した次の日、睡眠薬の過剰摂取で死んだ。
高校生のときには、一緒に保健室にいて、何度も手首から血を吹き出していたけど、死ななかった。必死に生きてくれていた。なのに。
よし、頑張るぞって、思った途端、うっかり死んだ。(うっかり、と、思い込みたいのは私。)
GIDでFTMだった。イサ、と私は呼んでいた。彼の両親は台湾の人で、彼の死後、彼を共同墓地に残して国に帰った。彼のお葬式では、彼が“お嬢様女子校”でどれだけ活躍したかが語られた。納棺したお花は、リユースで、全て入れ終わったら一度出して、もう一度納棺するシステムだった。
ひどい葬式だ。
最高に魅力的な人間だったのに。イサ。
1つ後輩の愛しい親友は、あっという間にひとまわり歳下になって、私は32になった。
彼はマイノリティの為に動き、発信し、闘い続けていたけど、私はどうだろう。
彼女が出来て、いよいよ同性愛者として生きるしかなくなったけど、彼のように自分を開いて戦えてはいない。こそこそ隠れて、世を憂いているだけ。
彼みたいに、強く在りたい。
大切なもののために闘いたい。
そう思うから、やっぱり、言ってみよう。最愛の彼女に、「東京レインボープライド、参加しよう。」って。
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