お題「プールの紅トーナメント」

【遺言】(410文字)

「みなさま。遺言により、母によってプールされていた老後の資金は、今回のトーナメント戦の優勝者が受け取ることになりました」
　法事に集まった親族がざわめく。
　父は一旦言葉を区切り、ため息をついてから宣言した。
「ただいまから、プールの『紅』トーナメントを始めます！」

　祖母の遺言は、以下のようなものであった。

「あたしゃ、ＹＯＳＨＩＫＩが大好きでねぇ…。『紅』は最高よ。だからもしあたしが死んだら、供養だと思ってみんなでＸｊａｐａｎの曲を歌ってくれるかしら。カラオケって点数が出るでしょ？トーナメント制で優勝した人に、あたしがプールした財産を相続させるわ」

　馬鹿馬鹿しいと思うなかれ。祖母のプール金は一億円以上あるのである。
「くそ、こんなことならボイトレに行っておけばよかった…」
　などという叔父や叔母、従姉妹たちの悲壮な歌が延々と続く。

　ありがとう、おばあちゃん。
　僕は勝利を確信し、決勝では十八番の『紅』を祖母のために高らかに歌いあげた。

おわり

(2023/12/28 作)

たらはかに様の12/24～12/30のイベントに参加させていただきました☆
今回は裏お題です。
三年目もまたキテレツなお題いただきまして、ありがとうございます。
( ;∀;)来年もまたがんばろぅかな～

今年もあと数日ですね。
浮世離れした生活をしているので実感がないのですが気が向いたらまだ年内投稿するかもしれないししないかも～(;・∀・)さらにはいつの間にか年が明けているかも～今年もお世話になりました～みなさまよいお年を～♡