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掌編小説【気骨】♯毎週ショートショートnote

お題「ラーメン部骨伝導」

【気骨】(410文字)

その昔、俺は『マネーの寅』というプレゼン番組に出場した。
そしてただ一人「君には気骨がある。それに賭けよう」と言ってくれた社長の出資に救われ、俺は濃厚豚骨ラーメンの店を出すことができた。
今では百店舗展開するチェーン店にまで成長している。

しかし現在、恩人の社長の方は経営困難に陥っている。
ここで恩を返さないような奴は男じゃない。
「ラーメンに活かせる技術はないですか」
「実は試したい事がある。力を貸してくれるか」
俺は力強くうなずいた。
社長は社内に『ラーメン部』を起ち上げ、ある装置を全力で開発した。
そしてついに、一発逆転に打って出る。

それが『ラーメン部骨伝導』だ。
全国百店舗の店で同時に豚骨スープを作る。その時、豚骨同士が空間を越えて骨の髄まで響き合う装置を開発したのである。響きあった豚骨からは得も言われぬ深い旨味が引き出され、そのスープの虜となった人々は大行列を作った。

「君を信じてよかったよ」
社長の言葉が俺の気骨に響く。


おわり

(2023/4/26 作)

『たらはかに』様の4/23~4/29のイベントに参加させていただきました☆
前回同様、伝わる年齢が限定されるかもしれない…と思いつつ。

『¥マネーの虎』っていう番組が二十年くらい前にあったんですよ~
こんな商売がしたいんです!出資してください!ってプレゼンする番組。

『合同会社きゃいん』に出資する成功者はいるかしら…(;・∀・)


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