お題「心お弁当」

【シンデレラさま】(410文字)

「お城で持ち寄りランチ会が開かれるんですって！」
「最高のお弁当を作ってきた娘が妃になれるのよ！」
お城からの招待状は、国中の年頃の娘達を狂喜させた。

「シンデレラ！最高の弁当を作るんだよ！」
継母と義姉達の命令で、シンデレラは心を込めてお弁当を作った。

「お義母さま、私も行きたい」
「お前は留守番よ！」
しかしそれを見ていた魔法使いは、シンデレラを不憫に思い魔法をかけた。
「これを持ってお城にお行き」
そして、小さなお弁当箱を渡した。

その頃、お城は大混乱。
娘達からの弁当圧力で、もともと小食な王子さまは息も絶え絶え。
「王子さま、これを！」
混濁する意識の中、天使と見まごうほど美しいシンデレラに王子様は一目惚れ。これだけは食べたいと、小さなお弁当を一口食べた。

「あれを食べなければ、僕は死んでいたよ」
魔法使いがシンデレラに渡したお弁当には、胃薬が仕込んであったのだ。
妃となったシンデレラは臣民から『心お弁当しんでれらさま』と呼ばれ慕われている。

おわり

(2023/5/1　作)

『たらはかに』様の4/30～5/6のイベントに参加させていただきました☆
ひさしぶりの可愛らしいお題に心うきうき☆
それなのに、こんな話でよかったのか……？
この国では『お弁当』を『でれら』と読むそうです(;・∀・)あはは。