見出し画像

Freedom ちっぽけな冒険隊Ⅲ

さてと、どこまで話したんだっけかな。
ゴール直前に2人で大喧嘩したとこだっけ?
あ、間違った。これはまだ話してなかったな。
すまない今の話は忘れてくれ

昼飯を食い終わって
猛暑の中のサイクリングは再開した。
みんなはあの田んぼに引っかかってるCD分かるよな?
このCDが厄介なのだ。
想像してみてほしい。
ギラギラした太陽の光がCDに反射し
その光が自分の目に突き刺さってくる場面を。
サイクリングする人が
サングラスを付ける意味がやっと分かったよ
少し進むと砂浜が見えてきた。
海水浴もできそうなきれいなビーチだが
湖の真ん中ということもあり
遊んでる人は一人もいなかった。
俺たちは自転車を降りてビーチに駆け出した。
ゴミが多くて汚い茨城県の某海水浴場と違って
ゴミは一つも落ちていない。
広い霞ケ浦湖の向こう岸には
俺たちがスタートした
土浦の町の高層ビルが見えた。
そろそろ半分か
さすがにこんなに暑いと
湖の水もお湯に変わっている PM2:00
その後俺たちは向かい風の中
全長250mくらいある大きな橋を渡り、
道路工事中の砂利道を
がったんがったんしながら通り抜け
久しぶりに県道にでてコンビニで休憩した。
さすがに朝早かったこともあり
しんどくなってきた。15歳も楽じゃない
すかさず疲れた体に水分補給。
体に入ってきたのは、
キンキンに冷えた天然水ではなく
熱々になった天然水だった。
「プール入りてぇ」
俺の独り言は広い湖の中に消えた。
ここからは道の駅行方ってとこまで
永遠にまっすぐな道が続く。
2人で相談して道の駅までは
途中休憩を一回挟むとき以外は
自分たちのペースでいくことにした
友達はロードバイクなので
あっという間に見えなくなってしまった。
俺もロードバイクに負けじと走るが
なんせママチャリなので全然追いつかない 笑

途方に暮れながらチャリを漕いでると
防波堤で釣りをしている親子を何組か見かけた
一組の親子は遠方から遊びに来ているのだろうか
子供がとてもはしゃいでる
もう一組の親子は地元の人だろう。
50歳ぐらいの父さんと高校生ぐらいの男の子。
2人は特に何を喋るわけでもなく
沈みゆく霞ケ浦の夕陽を眺めながら魚を待っていた
家の中からお母さんが麦茶とおにぎりを持ってきた。
「ねぇ今日は釣れてるの?」
父さんが答えた
「まぁまぁかな...
  ほれ、あきとありがとうくらい言わんか」
「ありがと...」
聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声
なんか羨ましかった。
いつでも隣の芝生は青く見えるもの
俺らの日常もこう見えるかな、、
俺、最近父さんと遊んでたっけ
旅から帰ったら父さんと飯でも食いに行こう
そんなことを感じたPM4:00

PM17:30 外はまだ明るい。
俺らは道の駅での休憩を終えて最後の直線を爆走中
(最後の直線といっても100mとかの話じゃない。
                 10kmだ)
少し風が出てきたかな、波が音を立てている
俺らは正直ちょっと焦ってた。
チャリの返却時間と
キャンプ場のチェックイン時間に
間に合うか危うい。
景色なんか知るもんかと無我夢中でチャリを漕いだ
友達が腹が減ったといった。
「俺もうやばいわ、空腹でこれ以上走れない」
「お前充電式のロボットじゃないんだから。
 簡単にへばんなよ。
 向こうの方にかき氷って看板見えるぜ。
 とりま行ってみよ」
かき氷の看板のある家の前に着いた。
友達はうなだれた。俺は言葉を失った
        「閉店」
これまで漢字2字に心を砕かれたことはない
「ちきしょーーーーーー」湖で魚が跳ねた
この時すでにロードバイクよりも
ママチャリの方が早くなっていた

PM7:00 俺らは土浦の町に戻ってきた。
国道に出てすぐ
友達がファミマでチキンと春巻きを買ってきた
正直、死ぬほど羨ましかったね。
ここからゴールまでは10分程。
朝歩いた道を通ってゴールへ向かった。
事件は残り500mのところで起きた。
詳しく説明すると長くなるが俺ならこの事件を
一言でまとめられる。
「点滅中の信号を渡るか渡らないか」
俺は焦るのは嫌だから渡らない
友達は渡った。
それに対して友達が文句を言いだした。
きっと急に揚げ物食べ過ぎて頭が狂ったのだろう
なんてケツの穴の小さい奴。
そんなこんなで俺らはゴールした。
500m手前でケンカしたから
正直心の底からは喜べなかった。後悔1
営業時間はとっくに過ぎていたが
オーナーが快く出迎えてくれた
店の中に入って疲れた俺らに
お茶までごちそうしてくれたのだ。
3人で色んなことを喋ったんだっけ。
めっちゃ疲れてたので内容までは覚えてない
だけど1つだけ覚えてる言葉がある。
「好きなことを仕事にできたら人生楽しいよな」

ママチャリで霞ケ浦湖一周達成
しかし空は祝ってくれるわけでもなく
すっかり暗くなってしまった
PM8:00 俺らはバスに乗って街の中心部に
向かっていた。オーナーありがとな
          続く


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?