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【一緒に勉強】文章力を高めよう・第三講⑥

こんばんは、如月伊澄です。
第3講の続きになります。


参考文献はこちら

【読者はどんな姿勢で読んでいるか③】

【前置き】

ここまで「書き手が読者の椅子に座るためには」について見てきたが、そこで外せない考え方がある。

「すべての読者は“素人”である」ということである。

これは文章を書く人は必ず知っておくべきルールである。
もちろん、これだけ言われて「はあ、そうですか」と納得できる人は少ないだろう。

具体的にどういうことか見ていこう。

例えば、あなたの「主張」について聡明な読者はどれだけ知っているだろうか?
物語であれば、あなたの考える「ストーリー」や「キャラクター」について、読者はどれだけ理解しているだろうか?

あなたの頭の中の考えについて、正確に知っているのはあなただけである。全ての読者は「それを知らない素人」でしかない。

つまり、われわれは文章を書く時「自分は(そのテーマについて)何も知らない“素人”に向けて書いている」ことを意識する必要がある。

だからこそ、「想定する読者は“素人”」ということになるのだ。

こちらの回で触れたように、文章の論理展開は「主張」「理由」「事実」で論理的に、と書いてきた。論理展開のきっちりした文章は強固であるが、実は面白みに欠ける欠点がある。

ということで、今回は、そこに「面白み」を付けたし、説得ではなく納得させるための文章を書く方法について見ていこう。


【急がば回れ】

早速だが、どちらの旅行の方が楽しそうだろうか?

①    目的地までのタイムスケジュールや移動手段がすべて決められており、最短距離、最短時間でスケジュールが組まれた旅行

②    目的地は決まっているが、そこまでのルートや寄り道は自由。時間に縛られず、最後には目的地にたどり着けばいい旅行

これは完全に好みの問題なので、①がいい人も②がいい人もいるはずだ。

とはいえ、時間と余裕さえあれば、多くの方は行動を縛られがちな①より、自由度の高い②を選ぶのではないだろうか?

これは文章においても同じことが言える。

①    主張までの道が理路整然と引かれており、最短距離で結論にたどり着くような文章

②    検証作業としての試行錯誤や寄り道が多く、時間はかかるが最後には結論にたどり着くような文章

先に見てきたように、読者にとって仮説の検証作業や確認作業は「楽しい」時間である。

事件が起きて、探偵がいきなり直感で「犯人はお前だ!」より、調査・検証の中で新たな事実が見つかったり、事件が起きたりするミステリのほうが、面白いのと同じである。

しかし書き手は、よくこの視点を忘れてしまう。

自身の「主張」を伝えることに熱心になるばかりに、その結論に行きつくまでにしてきたはずの「寄り道」や「回り道」(つまり試行錯誤してきた時間)を消し飛ばして、一目散に主張にたどり着かせようとしてしまうのだ。結果、出来上がるのは読者にとって「面白みのない文章」である。

では、どうすればいいか。

逆をしてみよう。

自分がいかに無駄な時間を過ごして、どんな挑戦をして結果を得たのか。その結論にたどり着くまでに通ってきた「回り道」を文章として再現するだけでよい。

読者はあなたの体験を追体験することで、主張について納得するとともに、読書体験を楽しむことができるはずだ。

【自分ツッコミくま】

実際の方法を見ていこう。

主張には反論がつきものである。
その“反論”に答えることこそ、読者との有意義な“対話”となる。

……未来の話をしているわけではないし、脳内読者と議論しろと言っているわけでもない。文章である以上、読者と直接対話しながら書くことはできないし、文章を公開した後反応をみながら修正もできない。

では、どうすればよいのか?

答えは「書き方を変える」ことである。

まず自分の“主張”とそれを支える“理由”や“事実”を述べる
ここまではこれまで見てきた通りだ。

その上で、自分の文章を読み返してどんな反論が出てくるか考えてみよう。

実際の文章例を引用させていただく。

①    主張……高校では日本史を必修科目とするべきである
②    反論……一方、「国際化に対応するには世界史だ」との反対意見もある
③    再反論……しかし、国際社会で自国の歴史や文化を語れないほうが問題だ
④    結論……今後ますます国際化が進むからこそ、日本史の教育が大切なのだ

古賀史健(著)20歳の自分に受けさせたい文章講義 (星海社 e-SHINSHO)2012 p.150

想定されるツッコミに再反論をしていくことで、自身の主張が強化されるのがわかるだろうか?ここでの反論と再反論は、1回で終わらせる必要はなく、数種類の反復を行っても構わない。

読者の反応を想定し、予め「置き」のカウンターを用意しておくことで、読者の納得感を高めるとともに、文脈上の「転」を作り、文章のリズムを良くしたり、文章自体を面白くしたりしていこう。

【おまけ】


参考文献、Kindleを使って読んでいるんですけど本当に使い方に慣れない。
別の本を読みはじめると、どうやってホームに戻ればいいかわからなくなって毎回試行錯誤するハメになる・・・・・・。

たぶん「Kindleの使い方」という記事を書く場合は、この”試行錯誤”を描くのが大切なんだろうな。

なんでこんなことを書いているかというと、Kindleの調子がおかしいんですよね。急に壊れないか心配。


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