【読書】「シェアライフ」あらゆるものをシェアする新しい生き方

数年前からシェアリングエコノミーという言葉をよく耳にするようになりました。
これまで個人にサービスを提供していたのは企業がメインでしたが、インターネットの発展、SNSの発展によって個人と個人が繋がれるようになり、あらゆるものをシェアできるようになりました。

住む家や車などの物理的なリソースから、個人が持つスキルまで。
「シェアライフ」では、シェア(共有)するという概念が世の中にさらに浸透し、個人がコミュニティの中で生きることで、様々な問題が解決し、そして個人がより幸福な世界になっていくと言います。

本書の著者である石山アンジュさんは、「Cift」というシェアハウスの中で約60人の家族と暮らしていると言います。
この「Cift」は全国に100位上の拠点があるそうで、そのメンバーであればどこでも泊まることができるとのこと。
言わば帰ることがでいる家が100以上あるとのことです。

コミュニティの中には様々な肩書きを持つ人がいて、それぞれが自分の得意なスキルを活かして一緒に仕事をしたり日々仕事が生まれたりしているのだそうです。

正直なところ、数十人の見ず知らずの人と一緒にシェアハウスで生きていくというのは最初はやはり抵抗があるようにも思います。
私自身、一人の時間が好きだったりもするので、シェアハウスと聞くと少し抵抗があるのが事実です。
ですが、確かにこのようなコミュニティの中で生きるのが当たり前の世の中になると、多くの問題が解決していきそうだと感じます。

私が住んでいる地域は、離婚率が高く、一人親の家庭が多いです。
また、その問題と相関関係があるかどうかはわかりませんが、小中学校の学力も全国的に見てとても低く、教育に関する問題が非常に根深いです。
また、貧困層の家庭も多く、経済的な問題もすごく多いです。

「シェアライフ」を読んだとき、シェアという概念がこれらの問題を解決する鍵となるというふうにに思いました。

コミュニティやシェアハウスの中で生きていれば、子育ての問題を一人で抱え込む必要がなくなります。
また、シェアハウスやゲストハウスという場所で生活していれば、必ずしも学校に行かずとも多くのことを学ぶことができます。

教育の根本的な問題の一つは、貧困家庭だと触れることができる価値観が少なく、将来の選択肢を狭めていることが一つ大きな問題であると考えています。
シェアハウスやコミュニティで子育てをすることで、いろんな肩書きの人、あるいは色んな地域の出身者と触れる機会が増え、様々な価値観に触れることができます。
教育という側面ではすごく大きな意味があると思います。

このシェアという概念で様々な社会問題を解決に近づけるように思う一方、「信頼」というキーワードが大きな課題だとも感じました。
シェアというのは第三者を無条件に信頼することで成り立つ仕組み。
なので相手を信頼する、そして信頼されることがとても大事になります。

相手を無条件に信頼するというのは、ある程度自分の心に余裕がないとできないことだと思います。
心に余裕を持つためのシェアという概念があるものの、そのシェアの中で生きるために心に余裕を持つことが必要というジレンマが、シェアという概念を広めるための大きな課題の一つなのかもしれません。


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