Kito Masahide

『エースコンバット7 』『04』のゲーム内の台詞を執筆。アーケードゲーム『デッドストー…

Kito Masahide

『エースコンバット7 』『04』のゲーム内の台詞を執筆。アーケードゲーム『デッドストームパイレーツ』のD・PD。『ブレイクダウン(シナリオ、イベント)』『アーバンレイン』など。2014年12月より育休→2016年5月復帰→11月より育休→2017年5月復帰(合計2年育休取得)。

最近の記事

私が「ゲームメカニクス」とは何かを初めて学んだ瞬間

先輩ゲームデザイナーが教えてくれたこと私が入社2年目で、新作ゲームの企画立案に参加していた時の話だ。 疑似MMORPG風のシングルプレイRPG 3人パーティ/ターン制バトル/ファンタジー世界観 酒場にはプレイヤーキャラ風のBOT冒険者たちがいる そこから2人仲間を選んで冒険へ というゲームだった(というのは嘘で、企画内容を改変してます)。 立案者の先輩ゲームデザイナーから「毎回ちがうキャラクターを連れて行きたくなるような仕様を考えて」と言われた。 プレイヤーは当

    • 【ネタバレ】“復讐したくない”は許されない:『ラストオブアス パート2』感想

      ※結末を含むストーリーについて書いているため、内容には多くのネタバレを含みます。知りたくない人はお読みにならないで下さい。 ※これは私の感想であり、ゲームの評論ではありません。「ラストオブアス パート2」を遊んだ人の、どんな意見も否定するものではありません。 エリーと感情がシンクロした瞬間「ラストオブアス パート2」を遊んでいて、エリーと感情がシンクロしたと思った瞬間があった。 それはストーリーの最終盤、エリーがアビーを水に沈めて殺そうとする場面だ。私はアビーの首をしめな

      • ストーリー的な演出がゲームの自由度を制約するとき【6】

        【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 ※今回の記事には「タイタンフォール2」のキャンペーンモードのネタバレ(ボスキャラの登場演出等)を含みます。 前回もタイタンフォール2のボス登場演出について書きましたが、そこでスローン戦のカットシーン中にブリスク(敵傭兵部隊のボス)がいなくなっていることに言及しました。 私はこれが非常に興味深く感じました。 ここまでのボス登場演出について非常に緻密に設計していることからも、開発チームにはシングルプレイFPSの演出の知見が

        • 男性が育休をとる理由

          プロフィールにもある通り、私は子供2人で合計2年の育休をとりました。 それもあってだと思いますが、先日、私が育休を取った理由とそれがどう仕事に役立ったかについて聞かれる機会がありました。せっかくなのでお答えした内容を記事にしちゃおうかと思います。 育休を取った理由・子供が生まれたから。 ・両親と同居していないため、出産直後の妻がワンオペ育児になってしまうと心身ともに負担が大きすぎるから。 ・親として、子供を育てたいから。その上で将来子供から父親として見られたい(仕事を優先

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          ストーリー的な演出がゲームの自由度を制約するとき【5】

          【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 ※今回の記事には「タイタンフォール2」のキャンペーンモードのネタバレ(ボスキャラの登場演出等)を含みます。 「タイタンフォール2」におけるボスキャラ登場時の無敵処理について前回はリヒターの登場演出について記事を書きましたが、ほかのボスの登場演出も工夫が素晴らしかったので、今回は残りのボスについて書きたいと思います。 ケインの例最初に遭遇するボスです。ケイン登場のカットシーンは、プレイヤーが坂道を登っている途中で開始します

          ストーリー的な演出がゲームの自由度を制約するとき【5】

          ストーリー的な演出がゲームの自由度を制約するとき【4】

          【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 ※今回の記事には「タイタンフォール2」のキャンペーンモードのネタバレ(ボスキャラの登場演出等)を含みます。 「タイタンフォール2」のキャンペーンにおけるボスキャラの演出の例 前回、ラスボスへの攻撃がダメージ0になる仕様とその解決法を、架空のゲームを例に書きました。今回は同様の問題について「タイタンフォール2」のキャンペーンモードを例に考えてみたいと思います。 「タイタンフォール2」は個人的に大好きになったゲームです。手に汗握る戦

          ストーリー的な演出がゲームの自由度を制約するとき【4】

          ストーリー的な演出がゲームの自由度を制約するとき【3】

          【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 つまらないストーリーにためにゲームルールを変えると、自由度が損なわれるデメリットだけが残る 長くなってきてしまったので、ここらで結論めいたことを書いてしまいたいと思います。 ストーリー的な演出のためにゲームのルールを変えると、ゲームの自由度を制約する事になります。そしてその制約が不快に感じるのは、そのストーリーを含むゲームプレイ体験が魅力的でない時です。 ゲームとはおおむね「プレイヤーができる行動はコレとコレ(ルール)。その行動

          ストーリー的な演出がゲームの自由度を制約するとき【3】

          ストーリー的な演出がゲームの自由度を制約するとき【2】

          【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 ゲームのルールやゴールを変えてしまう演出の是非 前回書いたベルツ中尉の例は、ゲームにおける「フィードバック」と「ゲームプレイ体験の向上」のトレードオフの話でした。ではゲームプレイ体験が向上するという理由で、ゲームの「ルール」や「ゴール」を変えてしまうような演出は許されるでしょうか。 結論的には「プレイヤーが楽しいと感じるなら、イエス」だと私は考えています。ただし…… ゲームの根幹たるルールやゴールを曲げるのですから、それを帳消し

          ストーリー的な演出がゲームの自由度を制約するとき【2】

          ストーリー的な演出がゲームの自由度を制約するとき【1】

          【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 上陸作戦は成功したが、ベルツ中尉は死んだ 演出がゲームの自由度を制限する問題を考える時、『エースコンバット04』(2001)のベルツ中尉が死ぬくだりを思い出します。あの演出は入れるかどうか迷いました。というのも、上陸作戦が成功したのに味方が死ぬというネガティブなことが起こります。それでいいのか、と。 プレイヤーはゲーム的にもシチュエーション的にも正しいことをしているのに、ベルツを救えない。普通逆だろ。ミッション失敗したらベルツが死

          ストーリー的な演出がゲームの自由度を制約するとき【1】