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いままでのこと(自伝3)

中学生日記
6年生の夏休み明け、家族みんなで工場の2階から引っ越した。(祖母は残った) 父が念願の家を建てたのだ。
父こだわりの家だったが、彼が住んだのは一年のみ。私が中学生になる頃には父は完全に帰ってこなくなり、別居状態に。夫婦喧嘩のない平穏な日々がついに訪れた。

中学生になった私は毎日が憂鬱で仕方なかった。女子のグループ友情の難しさに直面したり、学校での勉強の意味を全く見出せず、ただ毎日、給食を食べる為に登校していた。(母はいつも外出で不在なので昼ご飯を学校で食べる他ないため)

友達グループの中で、一人が仲間はずれになった時、私は何とかして元のみんなで仲良しな状態に修復したいと、助言してフォローしたが、裏目に出て悪化。またしても余計なことをしてしまった(※自伝1のバレンタイン事件参照)と罪悪感に苛まれた。一体どうしたらいいのかと悶々と悩んでいたら、しばらくするといつの間にか和解していた。
ほっと安堵したが、同時に無力感を味わった。どっちの側にもつきたくない。っていうか、もともと争いごとが嫌い(十分に味わってきたから)。中立を保ちながらフォローしてまわり、だのに結果は狙い通りにはいかない。読めない反応。何が彼女らにとって正解なのか全く理解できなかった。

夫婦喧嘩は子どもが何を画策しようと回避できる問題ではないし、ましてや子どもが役に立てなかったと自分を責める要因なんてこれっぽっちもないんだと、今ならわかるが、両親相手で果たせなかった役割を、場所を変えて友人間で果たそうともがいていた。当時は露ほどもそんなこと思っていなかったけれど。


一年のある日、友人が音楽の先生に合唱部の助っ人を頼まれたからと、一緒に人数合わせの為に合唱部に顔を出すようになった。
コンクール出場の為には規定の人数が必要で、その補充要員。人数が少ない超弱小部。顧問である音楽の若い女性の先生は私たちの参加をいたく喜び、部員のみんなにもとても感謝された。
何の役にもたたない、存在価値のない自分が、ここではみんなに必要とされている。そんな風に思えたので、音楽室に通うのが楽しかった。
私を連れてきた友人はいつの間にかフェードアウトしたのになぜか私は居座り、先輩方が引退した後、投票でなんと部長になってしまった。
しかし熱心に指導してくれた顧問の先生が辞め、新しい顧問の先生は、前任に頼まれて仕方なく顧問になったと私たちに言う、ドライな先生だった。先輩方が抜けた後は新入部員もなく、部員のやる気も低下。
存在価値を認めてもらえるのがうれしかったのに、部長という役割を与えられたら、私の中の「役割を全うしなくては」スイッチがオン。一人で新しい曲の方向性などを考え、ゴスペルにチャレンジしたいと思ったが、新しい顧問に「そんなの歌える人ここにいないでしょ」の一言で挫折。
私の中の理想、「人数がたくさんいて、全校集会でみんなが聞き惚れる合唱をやる部」に程遠い現状が嫌になり、「やる気がないんだったら意味なし!」と廃部にしてしまった。


クラス替えの後は同じクラスに仲良くしたい友人も見つけられなかった。
一人、私を好いてくれて、いつも隣にくる女子クラスメートがいた。
でも私は彼女のことを内心軽蔑していた。
両親仲がよく、年の離れた弟が可愛くてしようがないと話す彼女に相槌をうちながら、心の中では、幸せな家庭で育ったやつに私の気持ちなんか理解できるはずがないと唾を吐いていた。
同じクラスの、やんちゃ男子(当時ヤンキーと言う)のことが好きなんでしょ。と私がズバリ言い当てると、
「えっ?!!どうしてわかったの???」と顔を赤らめて恥ずかしがりながらも喜ぶ彼女に、心の中で、あんなガキ臭いやつ(ヤンキー)のことを好きになれるなんてマジ美意識疑うわ…とドン引いていた。

本心では全く好きになれない彼女を、上っ面では友達のふりして利用していた。ひとりでいるのが怖かったから、彼女を利用していた。
そんな自分が大嫌いだったから、毎日が憂鬱だった。

当時は、荒れている学校が嫌だとか、勉強が嫌いすぎるからだと思っていたけど、自分のことをいちいち批判したり、理想像からあまりにも程遠い自分が直視できないほど嫌いだったせいで、毎日、生きる意味が見出せなかった。

週末にはビデオを何本も借りてきて、映画を見まくった。映画を見ている間は現実を忘れていられた。図書館で小説を読み漁った。森瑶子にはまったのもこの頃。早くかっこいい大人になりたかった。

今ここにいる自分は、本当の自分じゃない。
ちっぽけで、ブサイクで、何のちからもない、子どもの自分は本当の自分じゃない。
はやく、はやく本当の自分になりたい。
才能あふれる、自立した、かっこいい大人になりたい。
どこかにいけば、きっとそうなれるに違いない。
(つづけ!)

3人の息子と賑やかに暮らす毎日。 いろんなことがあるけれど 人生しっかり味わって進んでいきたい。 kitowa_氣と輪 主宰 カードリーディング、ハーモナイズヒーリング、Webショップ