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パーパス経営を実行するための肝は、統合報告書やサスティナビリティレポートをどう活用するか

職業柄、いろいろな企業や組織で「パーパス経営やサスティナビリティ経営を実行していきたい」という経営層や、人事、マネージャーの方々の話を聞かせてもらっています。

話を聞いていくと、2つのパータンがあることに気づきます。

1つ目が、パーパスを果たすことやサスティナブルを追求していくための経営が最上位の目的にあり、その手段として、日頃の事業活動があるという認識のパターン。

もう1つが、経営をしていくためには、株主や顧客、従業員など、さまざまなステークホルダーからの好意的な評判、評価を得る必要があるため、手段としてパーパスやサスティナビリティというキーワードを掲げているというパターンです。

これは、10:0と完全にどちらかによっているというケースもありますが、どちらかというとその2つが入り混じっていて、タイミングによってその割合が変わっていくという印象を持ちます。

本来であれば、パーパスの実現や、サスティナブルな経営活動が最優先事項になっていけばよいなと思いつつ、多くの雇用を維持しながら、利益を上げ続けていこうとすると綺麗事だけでは許されない瞬間も多数あるため、時に目的になったり手段になったりすることは必然なのかなと思っています。

多くの上場企業においては、主に株主に説明するために、統合報告書やサスティナビリティレポートなどを発行しています。

それを読むと、非常に丁寧に、自社がどうやってパーパスを実現していくのかやサスティナブルな経営をするために活動をシフトしていくのかが書いてあります。

私もまだ、過去、取引のあるせいぜい数十社のをパーっと目を通したという程度ですが、だいたいの場合、数十ページからA3で200ページ弱くらいの、大作が作られていて、ちゃんと目を通そうとすると数時間では足りないような分量のものが上がってます。

これまで読んだ限りにおいては、どの組織のも、非常に大事であり、良いことがたくさん書いてあります。これを本当に実現していくことができれば、それはなんと素晴らしいことだろうかと、その会社に対して好印象を持つことばかりです。

ただ、言うのは簡単ですが、実際問題、これを実行していことするとさまざまな難しさが生まれてきます。

どこの組織においても、中・長期的に社会的な価値を生み出していくことは大事なことですが、それと同じか、それ以上に、短期の経済的な価値が追求されていきます。

この2つの要素が両立できればそれは良いですが、両立させるのは難しく、トレードオフが生まれた場合、どちらを優先するかというのは、非常に悩ましい問題だなと思います。

そういったトレードオフが出現した際に、どっちを取りなさいと指示をするかは、経営層やマネージャーの価値観や姿勢や、その企業が置かれている状況次第ということになっていくのでしょう。

同時に、経営者や上司の判断も重要になってきますが、従業員、一人一人がこれらの問題についてどれだけ真剣に向き合っているかも重要なテーマになってきます。

私はよく会社の理念やパーパスを浸透するお手伝いをさせてもらいますが、こういった活動は、上から振り下ろされれば浸透されていく類のものではなく、上からも流れてくるが、自分自身がそれを大切にしたいという思いがあって初めて浸透していくものだからです。

その際、理念やパーパスの浸透活動や、サスティナブル経営において、重要になってくると私が考えているのが、統合報告書や、サスティナビリティレポートです。

これらの資料は、膨大な時間をかけてどこかの部署や担当者、担当役員などで作られてきているものですが、主として株主向けに書かれているもので、従業員はその存在を全然知らない、もしくは知っていたしてもなんとなくだけ、という状態の組織をよく目にします。

せっかく膨大な時間をかけて、その会社のことを隅々まで考えてできあがっていたものであり、またとても良いことが書いてあるにも関わらず、従業員がそこで書かれている内容を全然認識していない、もしくはなんとなくしか知らないというのはとてももったいないことだなと思います。

この資料だけを強制的に読ませられ、それで終了、というのは、あまり良いことではないかもしれませんが、全く何にもしないよりはまだマシだろうと思います。

理想的には、ここで書かれている内容が、全員の手に渡り、時間と集中力が向けられ、社員ひとりひとりや、1つ1つのチームで再解釈が行われていくことでしょう。

レポートにまとめたことをトップやマネージャー陣が日常的に繰り返し全社員に伝え、マネージャー陣もそれを1番の判断軸とし、チーム内でのコミュニケーションを行っていくことが重要になってきます。

私は、2024年にある企業の風土改革のご支援をさせていただくことが決まっていますが、そこの会社の統合報告書も、サスティナビリティレポートもとても素敵なことがありました。

私の見立てでは、ここに書いてあることをいかに組織全体で体現していくかが、この活動の最大のポイントになってくると考えています。

これらのレポートを活用したワークショップを開くなどしながら、風土改革を進めていけたらと考えています。

自組織のメンバーがまだ十分に書いてある内容を理解していない、もしくは認知していないなと思うことがあれば、まずはみんなで輪読会や、読んでの対話の時間を設けることを私からはお勧めしたいと思います。

2024年は私も私自身のパーパスを体現できるよう、多くの組織でそんな場を開いていけたらと考えております。

そのような流れの中で、来る1月23日(火)には東京で、サスティナビリティ経営やサーキュラーエコノミーをテーマにした学びの場を開くことになっています。

私が尊敬してやまないニールセン北村朋子さんに登壇していただけるように準備を進めてきました。

ありがたいことに、私がモデレーターとして登壇させてもらうことになっていますので、私自身もみなさんと一緒に学びを深められるように取り組めたらと思っています。

ご参加いただければ、きっとこれまでに見えていなかった大事なことが見えてくるかと思いますので、ぜひご参加いただけると幸いです。

今日も素晴らしい学びの機会をどうもありがとうございました。



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