脳の発育発達④ ハイハイの重要性

発育発達の過程では、目、鼻、筋肉、皮膚等にあるセンサー(受容器)を通じて、しっかり脳に刺激を入れることが重要。

発育発達③でも触れたように、11ヶ月の掴まり立ちを待たずして、8ヶ月程度で立ち上がりを見せてしまう乳児が増えてきている。
すると、約4ヶ月(生後7ヶ月~11ヶ月)の期間が取られているハイハイの時期に、入るべき刺激が充分に脳に受け渡されず、立ち上がりの刺激で上塗りされてしまうことになる。これは脳にとって、非常にもったいない事態。

ハイハイをすることで、脳に伝わる刺激として、

・頭位・視野・舌位の安定(頭を持ち上げ、上目遣い。舌が口蓋に持ち上げられ、空間を確保する)
・頭部を支える頸・肩への筋肉刺激
・床からの反響音による聴覚への刺激
・オプティカルフロー(視覚的な流れ 床が近いため、景色に対して進行する床からの視覚的情報がより多く入る)
・床と接し、支える手・腕の刺激
・胴体を支えて動くことによる、四肢の筋肉・バランス感覚

等が挙げられる。

特に、口蓋の成長は見落とされがち。

※舌が上顎に触れる時間が少なくなり、舌が上顎の中に収まるスペースが不足=口蓋が下がらず、
・上あごの歯列が狭くなり、噛み合わせが崩れる
 → 頭の重心の認識がずれ、姿勢悪化・バランス能力の低下
・鼻呼吸がしづらく、口呼吸が増えてしまう

刺激(情報)を糧に成長する脳にとっても危機的状況だが、身体の成長も促すために、ハイハイをしっかりと長い期間やらせることが大切。

コツとしては以下。

・目線を下げて声をかける
・様々な方向から呼びかける
・楽器などの音や色を使う
・「少し動けば手が届く」という微妙な位置にお気に入りのおもちゃを置いてみる
・肘付きだけでなく、仰向けでも動作を促す
・いろいろな方向へ転がらせてみる(刺激過多にしない。気持ち悪くなってしまう)

もし、ハイハイすべき時期を過ぎてしまったなら、マット遊びで刺激を追加する。
普通のハイハイだけでなく、様々に動かすこと。

・前方向、横方向、後方向への移動
・ベアクロー(四つ這いで膝を浮かせる。掌をしっかり付ける)
・同側の手足を同時に動かせる
・尺取り虫
(腕立ての状態から足をトコトコ手に寄せる→腕で歩いて腕立てに戻る)
・カエル跳び
・でんぐり返し
・寝返り(手足同時・手が先・足が先)
・仰向けで足で蹴って一方向へぐるぐる回る
・手押し車 etc...

幼児期だけでなく、大人になってからでも、前庭や視覚、体性感覚への入力、体幹のエクササイズとして有効となり得る。それだけ、「ハイハイ」がその後の感覚・身体を作るうえで重要であると言うこと。

(参考)
https://diamond.jp/articles/-/89254?page=2
http://www.n-yoshida.jp/blog/mame/3390
https://melos.media/children/29615/2/

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