元優等生現問題児〜素直に周りを頼ってみた(10)〜

1ヶ月後、私は本当に親戚のおばさんのお家にお世話になり、そこから学校に通うようになった。 



彼女は母の姉で、定年退職したおじさんもいたが、今回のことで久しぶりに私から連絡を取り腹を割って相談すると、

いまは子供も独立してやることもなく、仲の良かった私の世話をすることで老後の張り合いも出て良いと快諾してくれた。



彼女の家は私の実家よりも学校に近く、それも助かった。また、何より毎日温かいご飯を3人で食卓を囲み頂くことができるという温もりが大きかった。



そして、通学路が変わるということもあり、これを機に、一部のクラスメイトにやっと家庭の事情を打ち明けることができたのだが、今まで頑張り過ぎだよ、無理をしすぎないでと想像もしなかった心配と励ましのメッセージをいくつももらうことになり、本当に助けられた。



今まで私の心の内を誰かに共有するということ自体が発想になかったが、共有するだけでこんなに心が軽くなるとは思わなかった。どうしてもっと素直にしんどいって打ち明けられなかったんだろう。そう思った。


また自分が頑張れるかはわからないけど、前よりきっと大丈夫。
生まれて初めて感じる大きな人の温かさに心を震わしながら、私は満ち足りた気持ちで眠りについた。16歳の冬だった。

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