未来2023年3月号詠草『たそがれて』

未来2023年3月号詠草『たそがれて』 風野瑞人

力なく揺れる自分の夕の影どこへ行こうか錆びたこころで

落書きのコリドーだらけ生きていること見失うアッパータウン

癖になるフィジカル・ロング・ディスタンス暮れの散歩のひとりの足音

じゅうぶんに疲れてしまったアクリルで仕切るひと肌忘れた営み

誰も見ないナイトウェアにゆっくりと自分の罰が染み込んでいく

頭のなか振り子が左右に刻むのは終焉までの枯れた痛み

流星を見捨てたひとの絶望を食べ尽くすバク今夜もよろしく

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