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夜の図書館で時を過ごす。

ある金曜日の夕方。
今日も残業か〜と思っていたら一通のメールに気付きました。


✉️予約取置のお知らせ

予約されていた資料がご用意できました。
下記の受取館に期日までにお越しください。

題名:イラク水滸伝
取置期日:2024年**月**日
受取館:○○市立図書館


半年以上前に図書館に予約した本でした。

どうやら人気本らしく、私の後にも予約している方々が大勢いるようです。
だとするとサッサと借りてサッサと返すのがよさそうですね。

仕事はまだ終わってないけど、もう今日はいいや。
図書館は20:00まで開いています。
ということで、仕事は止めにして図書館に寄って帰ることにしました。

車を走らせ、図書館の駐車場に着くと、辺りはもう真っ暗です。
駐車場はガラガラで、数台の車があるだけ。
暗闇の中に図書館の玄関の灯りが怪しく光っています。

中に入ると人は少なく、とても静かでした。

昼間に行く図書館はとても賑やかですが、今日は嘘のように静かです。

私は予約本を借りてサッサと帰るつもりでしたが、この雰囲気に呑まれてしまいました。

もう少しここに居たいな。

床の足音を立てないようにゆっくり歩き、本棚を眺めて歩きます。
在架の書籍は普段と変わらないはずなのに、何故か今日は私の意識を惹きつけます。

そしてふと手にした本。

著者:田辺聖子
題名:田辺聖子の小倉百人一首

表紙の装画がとてもいい味を出している。
ふむふむ、岡田嘉夫という画家さんの絵なのか。これは挿絵好きの私にはとても興味深い。

それと田辺聖子という著者は何者なんだろう。

知らなかったが、すごい人のようだ。
生粋の文学少女のような方だな。

そんなことを思いながら立ち読みし、1ページ目を開きました。

秋の田の かりほのいほとまをあらみ わが衣手ころもでは 露にぬれつつ

天智天皇てんじてんのう

著者によるとこの歌は天智天皇によるものではなく、もともとは万葉集にある一節が引用されているらしい。
しかもその一節は人知びとしらずとして作者不明とのこと。

なんと興味深いことか。
もう少し読んでみましょう!

普段は満席の椅子が今日に限っては座りたい放題。
どこでも好きなところに座れます。

「・・・ふむふむ。」

「・・・へえぇ。」

「・・・・・そうなのッ!?」

ああこの本の引力やばい!
本の世界に引き込まれる!

危うく没頭して時を忘れるところでした・・・(汗

時間も時間だし、図書館に迷惑が掛かっても悪いのでそろそろ帰ろう。
そしてその本を持って貸し出しカウンターに行くと、

「予約の本が1冊ありますね。こちらをどうぞ。」

と予約本も貸してくれました。

そうでした。
そもそも予約本を取りに来たのでした。
忘れてましたよ。

それよりも夜の図書館で出会ったこの本。
まだ読み始めたばかりですが、実に面白い本です。

文+イラスト : ケーモティック


**** 今回の見出し画像レビュー ****

さて今回の見出し画像の作成でこだわった所を紹介したいと思います。

今回のこだわりは、無精ヒゲです。頬ヒゲ生える人がうらやましい。
眼鏡なしバージョン

今回の記事にBGMが必要な場合は、大貫妙子さんのメトロポリタンミュージアムがお勧めです。

**** Thanks for looking ****


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