祖父と父の話

父方の祖父

今まであまり語ってきませんでしたし、
私には実際に対面した記憶はありませんが、
私が物心ついてきた頃から、
周りの人に色々な話を聞かされた存在です。

父方の祖父は、
私が生まれ育った東京下町の世話役のような存在で
かなり名の知れた存在だったようです。
私が生まれる10年ほど前に亡くなっているのですが、
祖父を慕う厳つい男たちが、
祖父が死んでしまった我が家を気にして
出入りしていただいていたことを何となく記憶しています。

その厳つい男たちは、
私たち家族には本当に優しく
いつもお土産やお菓子を持ってきてくれて
子供心に頼もしい存在でした。

小学2年生くらいの時に
街の不良に公園で絡まれてしまった時に、
偶然にもその人たちが通りかかって、
一瞬で蹴散らしてくれたことを
今でも鮮明に覚えています。

父母の対応

でもそんな祖父や祖父慕う人たちに対して、
父はほとんど関わりを持ちませんでした。
父からは祖父の話を聞かされたことはなく、
もちろん日頃から感謝の気持ちは口にこそしても、
実際に厳つい男たちはと一緒になって何かをするようなことはありません。

母も
厳つい男たちが家に顔を出すのが
すごく嫌だったみたいでした。

祖父の正体

誰も語ろうとしない。

これまでのことや、叔母や祖母、知人たちの断片的な話、
父と母の祖父のことを話題にしない様子、
厳つい男たちの記憶、、、、。
きっと祖父は任侠の世界の人だったのだろうと推察できます。

祖父が亡くなって50年近くが経った時に
私は会社を起し、
数年後に銀座に移転していくのだけど、
その時もずいぶん色々な面で助けてもらった。

父は、自分の父親(私から見れば祖父)が
早く亡くなってしまったので、
進学を諦めて若い時から仕事をして家族を支えた人物だ。
私とは蟠りのある時期が長かったけれど、
苦労をして地道に仕事に向かって、
周りの信頼を勝ち取って成功したとても真面目な人物だ。

今は亡き父、心から尊敬している。

そんな父だが私が高校2年生の秋に
突然何を思ったのか?
その当時はほとんど口も聞かない状態だったにも関わらず銀座の高級クラブや老舗のバーに連れていかれ、
大人の嗜み、銀座の楽しみ方を教えてくれた。
祖父のことになると全く口を閉ざしたけれど、
その血は脈々と父の体の中にも、
私の体の中にも流れているんだろうな、と思った。

人生の立て直しをする上で、
自分のルーツを改めて詳しく知りたいなと思う。

次へ続く。


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