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村上春樹文学と実存主義

(はじめに)


 
 村上春樹さんは、今年も(令和5年(2023年))もノーベル文学賞を受賞できませんでした。ハルキストとしては大変残念です。村上春樹文学ファンのことをその業界ではハルキストというらしいです。私は、平成18年(2006年)の連休中に、一気に村上春樹さんの6作品を読んで、はまってしまい、それ以来、ハルキストになりました。村上春樹さんの文学は日本ばかりか世界中で熱烈なファンがおり、ノーベル文学賞をいつかとるといわれています。なので、わたしは、毎年今年こそはと期待しているのですが・・・。
 

村上春樹文学の一貫したテーマは、無意識の世界と意識の世界の相克を描くこと


 
 平成18年(2006年)に一気に6作品を読んで、私は、村上春樹文学の一貫したテーマは、無意識の世界と意識の世界の相克を描くことだと思いました。全作品とも、人間無意識の世界に大切なものや気づかない重要な生きる意味が隠されているんだと、言い続けている気がします。下に挙げた6作品のどれもで、私はそう感じました。私が学生時代の1970年代に好んで学んでいた実存主義の世界が、これらに描かれています。実存主義の文学の代表的作家はもちろんカフカやカミュです。カフカやカミュの作品よりエンターテイメントして描いたもの(下記作品3,5)や、より哲学的に描いたもの(4,6)が、村上春樹さんの作品だと感じました。村上春樹さんが、平成18年(2006年)にカフカ賞を受賞されたのも、私にはうなずけます。
 
  2006.4.21-5.6に読んだ村上春樹作品
 
(1)「風の音を聴け」(1979年作)
(2)「1973年のピンボール」(1980)
(3)「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」(1985)
(4)「ノルウェイの森」(1987)
(5)「ダンス・ダンス・ダンス」(1988)
(6)「海辺のカフカ」(2002)
 

(おわりに)


 
 なお、「ノルウェイの森」は私の学生時代の風景や心情と重なり涙が出るほど懐かしい感じがしました。また、この作品に出てくるレイコさんを精神的に破綻させた13歳の女の子は、「サイコパス」だと思いました。日本の文学作品で「サイコパス」を描いた最初の作品ではないかと思います。皆さんはどう思われますか?
 
 
 
 
平成18年(2006年)5月7日 随筆
令和5年(2023年)10月29日 加筆
 
 
*なお冒頭の写真は、下記のURLのWikipediaから借用させて頂いた「ギリシャのハルキ島」の写真です。
最終更新 2023年10月23日 (月) 06:21

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