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実家の味

親との間に、微妙なものを抱えている人は多いと思います。
私もそのひとり。
父とは幼いころ交流した記憶がないし、母はとにかく怖かった。笑
親同士の仲も当時はすこぶる悪く、自分の部屋で親が怒鳴り合う声を聞きながら、小説を読んだり漫画を読んだりして、なんとかやり過ごしていたと思うのだけれど、もうそのころの記憶は曖昧。
嫌な記憶って、心の奥底にしまい込まれて、表面上は忘れやすい。
そんなシステムが出来ているんじゃないかな。

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さて、そんな両親から距離を取りたくて、わざわざ県外の大学に行った私。
だけど、20代半ばくらいになると、ひとりの大人として親を見られるようになってきました。

戦時中にど田舎で生まれた父。
飼っていた鶏をつぶして食べた記憶のせいでいまでも骨付き肉は食べられないし、当時さんざん食べさせられたかぼちゃは、今でもどうしても好きになれない。
「山学校」と称して、学校をサボって山遊びをしていたと、もはやネタのように話しているけれど、たぶんそうやって自由に心を遊ばせる時間を持つことで、なんとか乗り切っていたんだろうなぁ。
子ども時代の記憶は辛いことの方が圧倒的に多かったから、口にするのは嫌だったんだと、数年前にはじめて聞きました。

そして同じく、ど田舎で生まれ育った母。
ちょっと怖いくらい「男性が長生きできない家」で、母の兄も父親も、母が中学に上がる前に亡くなっていました。
昔は「大人の男がいない家」というだけで、なんとなく下に見られていたと話していた母。
その時代の母の記憶が、どんなに父と不仲でも絶対に離婚はしないという決意をさせていたようです。
仲が悪くても、お父さんがいないよりはマシでしょ?と言われたことが何度かありました。
(私から見たら、そんなことないから離婚でもなんでもしてくれ、という感じだったのだけれど)

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両親の生い立ちや価値観の根底にあるものを理解できるようになって、はじめて親の中にある、ねじれたり絡まったりしているものの存在を見られるようになりました。
そして、それを理解することで、親との関係がそれまでよりも柔らかなものに変化したのです。

かつては、親と同じ生き方は絶対にしない!と思っていました。
でも、気が付くと、父と似た行動をしていることもたくさんあるし、母の生活スタイルを真似ていたりもする。
そして実家の味を、やっぱり美味しいなぁと言いながら、食べているのです。

家族って、ふしぎなものですね。

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さて、今日はひき肉入りのオムレツを。
ムスメと一緒に味わいながら、これはばあちゃんがよく作ってくれたんだよ、と教えてあげました。

ひき肉と玉ねぎ(にんじんをプラスしても)のみじん切りを炒めて塩コショウしたもの。それを常備しておくと、つぶしが効くんですよね。笑
実家でも母がよく作っていました。
これがあれば、カレーもパスタもコロッケもチャーハンも、なーんでも時短で作れるんです。
今回は、先日作ったコロッケの具のあまりを使用。
卵さえあれば、立派なメインおかずになります。
はー美味しかった。

家っぽさ、をできるだけ消し去りたいと思っていた時期もありました。
でも、いまは「家のよさ」を再確認できている気がします。

今日のオムレツも、どうしてもちょっと濃い目に焼き色つけたくなっちゃうんですよね。
オムレツという料理としてはアレかもしれないけれど、我が家の「家ごはん」としては、まぁ満点
(採点基準が行方不明)
家っていいものなんだ。
そう思えることに感謝しつつ、日々をくらしていきたいなぁ。
そんなことを思っています。

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