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【#ゆめのおもひ・エッセイ】思い出すと思考がぐちゃぐちゃになるんだ

まつおさんの9月の企画に挑戦したいと思います。いつものエッセイより少し長くなりました。お時間がある方はお立ち寄りいただければ幸いです。


いつもまつおさんの素敵な詩を読むと、私は影響されて同じように書こうとするのですが、途中で思考が止まります。

今回エッセイということで、全く違ったものを書かせていただきます。 

ゆめのさんの絵のイメージとは違う、と嫌悪感を持たれそうですが、そこはごめんなさい、ということでよろしくお願いします。


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どこに行くのもついてきて、私より先に車に飛び乗っている。お出かけが大好きなあなただった。忘れようとしてもここを通るたびに思い出してしまう。


それはやっぱり笑える思い出にはならなくて、永遠にこうやって一緒にいたかった後悔。いつになったら笑える思い出が出てくるのかな。胸が苦しい。


こっちゃんがとても楽しみにしていた海辺のお散歩コース。松の木もあって少しは日陰もある。今でも休憩しに行って波の音であの日を思い出す。


病魔に侵されていることを知らない時からよく行ったよね。ゆっくりゆっくり歩いて、草や花の香りを嗅いでいるあなたの優しい顔。うまく写真に撮れなかった。 

いったいいつから病魔に好かれてしまってたんだろう。


一度だけ海に入ったけど、濡れるのが嫌なのか砂浜に座っていたね。笑いながらあなたをみていたらしばらくすると空の色が変化してくる。


夕方の空はあっという間に太陽が沈む。その後じわじわと真っ赤に染められた空は息を飲むほど美しかったよね。こっちゃんの目にはどう見えていたんだろう。 


すぐに赤い空は紫に変わりやがて、闇に変わってしまう。楽しみに毎日座っていても毎日真っ赤な夕焼けには会えなかった。


もうひとつ好きなお散歩コースは山の上の公園。海も町も見渡せる素敵な公園だったね。


四季折々の花が植えられていて、ベンチも用意されていたから、のんびりと美しい花や町の写真を撮った。その間にこっそりと私の側を離れて、少し傾斜になった所をゆっくりあるいて危なかしく花の匂いを嗅いでいた。


そんな自分のペースで歩ける場所が私もあなたも大好きだった。でもね、山の上の公園はあなたがお空に行ってからは遊びに行ってない。

やっぱり悲しくて行けないんだ。 


あなたを連れて行ってもいいカフェも行けないままだった。キャンプも予約していたよ。ドッグランがあるところ。広いドッグランでお友達に会ったり、大きな海や大きな川を見せてあげるはずだったのに、その前にお空に行ってしまった。


まだまだやりたいこといっぱいあったんだよね。かわいいお洋服を作っであげて旅行に行きたかった。ビッグサイズのカートを注文して、赤ちゃんと散歩する様に歩きたかったのに、届いた荷物は開けないままだった。


いつもいつも車に乗って出かけていたから病気になったのかな?お菓子やからあげとか食べさせて体重がレッドゾーンに入ってしまったから、病気になったのかな?

ほとんどが私の責任だよね。ごめんよ、ひどい飼い主だ。


こっちゃんがお空に行った日は大声で泣いた。あなたの名前を何度も呼んだ。でも返事もない、目も開かない、耳も手足もピクッともしなかった。 

今思い出しても涙が出る。パパを亡くして寂しい息子の妹としてやってきた。かわいい子だった。息子とよく遊んでくれた。ペットショップでブルーのバンダナをしていて一目惚れした。
あの時のことも忘れていない。

あの日から5年でお別れするとは想像だにしなかった。


「かわいい!」という言葉はわかっていて、疲れて寝ていても必ず起き上がって笑顔を振りまいていたのに、そんなこっちゃんももう目を開けてはくれなかった。


いつになれば私は深海から出れるのだろうか。少しエメラルドグリーような水の中。こんなところにあなたはいないのに。私の心は深海に落ちたまま。

あなたは透き通る青空の上から私を見てる?


パパがいなくなってしばらくは空をも見上げることがなかった。ずっとずっと下を向いていた。下を見ておかないとこっちゃんがどっか行きそうだった。


いつもいつも脳はフル回転で体はクタクタで、こっちゃんを抱いて現実を捨てて何度海に入ろうと思ったことか。やっぱり私は特別なことがなければモノクロの中で生きている。



こっちゃんがさんぽ、さんぽと言ってくれたら自然の色が見えてきた。あなたに感謝することばかり。これからは自分で美しい色をみなければいけない。


車で走っていたら、あなたが喜んだところで悲しくなる。ここに寄って欲しいと吠えていたことが思い出される。


立て続けに愛した者、大切な人を亡くした私の心が美しい色に反応して同じ色に染まっていくにはまだまだなのだろう。


深海に落ちてしまった私にはなかなか難しいんだ、顔を出すのが。ひとりではなかなか難しいんだ。がんばらなくちゃね。



向き合ってしまうと思考がごちゃごちゃになって胸が苦しくなるんだ。ごめんね。

あなたに会いたいのに頭の中がぐちゃぐちゃなんだ。




#ゆめのおもひ


あまり明るいお話でなくてすみません。みなさんに影響しませんように。


ここまでお付き合いいただきありがとうございました。。

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