見出し画像

ミューズリーとオートミールとカタクチイワシにすがる

ミューズリーは、オーツ麦などの穀物・ドライフルーツ・ナッツ・種子類をあわせたシリアルで、元は1900年頃にスイス人のお医者さんが療養食として考案したもの。1960年代には欧米で健康食として普及し、ここ数年は日本でも栄養価の高さが注目されている。ドイツ語では「ミュースリ」とsを濁さず発音するのだそう。ちなみに甘みをつけて加熱したものがグラノーラ。

どちらかといえば意識高い系の人が食していそうなミューズリー。私はといえば食へのこだわりは特になく、どちらかといえばズボラで意識低い系(言ってて虚しい)。そんな私とミューズリーの出会いは、友人との会話の中にあった。貧血の話をしていて、食物繊維や鉄分が豊富なことから勧められた。紹介されたドイツのカントリーファームというブランドの「ハイファイバーミューズリー」は、その時から私の朝食の定番となった。小麦・ライ麦・オーツ麦・フラックスシード(亜麻仁)・ドライフルーツ(パイナップル,パパイヤ,プルーン)・カシューナッツが入っていて、栄養良し、手軽さ良し、コスパ良しのゴールデン3拍子。前日に買った美味しいパン屋さんのパンを楽しみに早起きするのも楽しいけれど、今の自分にはミューズリーが心地良い朝ごはんとなっている。

ミューズリーの食べ方は至って簡単。前日にミューズリー40gを牛乳120〜150g(お好みの量)に浸して冷蔵庫へ。翌朝レンジで2分。ヨーグルト、ナッツ類、ドライフルーツ、ハチミツやジャムなどと一緒にいただく。冷たい気分なら、起きてすぐに温めておくと蒸らし効果でふっくらしつつ、食べる頃には程よく冷めた状態になっている。最初のうちは、温かいミューズリーの上に冷たいヨーグルトを乗せることに抵抗があった。それが冬には温かさが体に優しくてすぐに慣れた。教えてくれた友人はヨーグルトを温かいミューズリーに乗せるのがどうしても嫌で、前日にレンジで温めた後そのままレンジの中に朝まで放置すると言う。人それぞれ、食べ方は自由。その友人はナッツとアプリコットジャムを乗せて食べるのが好きだと幸せそうな笑顔で語っていた。ドライフルーツは何を乗せても美味しいけれど、私は美容効果があるといわれるクランベリーを常備している。美肌効果に冷え性・腸内環境の改善など女性に嬉しい効果が期待できるフルーツの一つ。

ミューズリーのメリットは、忙しい朝でも手軽に鉄分・食物繊維を始めとする栄養が摂れて、お腹は満たされ、体にもお財布にも優しいところ。味はといえば、以前夫から鳥の餌と言われたことがあるが、その形容を裏切らず実に質素なお味である。穀物の風味が好きな人には向いている味といえよう。そこにドライフルーツやナッツ、ハチミツやジャムが合流すれば旨みと栄養が増し増しになるというわけ。
鉄分をはじめとする栄養補給の他にもメリットがある。それは、腸の活性化。そもそも便通の悩みはなかった私だが、初めてミューズリーを朝食にしたその日から腸の活性化を実感した。ハイファイバーミューズリーというものしか食べたことがないから、他のミューズリーも同じ効果があるのかは断言できないけれど、便秘の人には声を大にしてお勧めしたい。
検索エンジンに「ミューズリー」と入力すれば、「ミューズリー 体に悪い」と検索候補が出てくる。これはミューズリーに限らず何のワードを入力しても表示されるお約束であり、何のことはない。質素だからといって甘味を足し過ぎると体に悪いに決まっているというお話である。糖分は程々に。
デメリットを挙げるとすれば、前日に牛乳に浸すのを忘れると翌朝食べられないことぐらいだろうか。中には温めずにそのまま牛乳をかけたり、食べる直前に牛乳をかけて温める人もいるのかもしれない。冒険心のない私は、前日の仕込みを忘れるとすんなり諦めて食べない。ミューズリーを食べない日もあって良いだろう、と別のものを食べる。飽きない工夫でもある。

ミューズリーと同様の理由「鉄分補給」で、数年前からしばしばオートミールも取り入れてきた。名前は耳にしたことがあったけれど、また別の友人に勧められるまで食べたことがなかった。鉄分が豊富と聞けば手軽さを条件に試したくなる。
オートミールは明治時代には馬の餌だったそうで、1920年代に日本で初めて人間用として製品化されるも米が主食である日本には広がらなかった。それがここ数年、やはり栄養価の高さから健康食として注目されている。食物繊維や鉄分・ビタミン・ミネラルが豊富で、血中のコレステロールが低くするとも言われている。ミューズリーの中にオートミールも含まれているということ。私の場合、オートミールは朝食ではなく昼or夜の白米と置き換える。鉄分が1食分の白米(150g)には0.2mg含まれているのに対し、1食分のオートミール(30g)にはなんと1.2mg、6倍も多く含まれているのだ。
私が常備しているオートミールは、日本で初めてオートミールを製品化した日食(日本食品製造合資会社)の「プレミアムピュア オートミール」。パッケージ裏側の参考レシピの写真には、なんとイクラが添えられているが試したことはない。

オートミールこそ手軽で、白米がない!冷凍ごはんがない!という危機的状況でも2分でごはんと化す。そう、米化(こめか)すれば立派に米の代役を勤め上げてくれる(子どもにはチャーハンを作って出したところバレずに完食)。牛乳で煮て朝食にするのが一般的な食べ方ではあるが、私はどうしても粥状のオートミールの舌触りが受け入れられなかった。
オートミールの米化は、2分もあれば完了する。オートミール30g+水50gをレンジで1分温めるだけ。少し塩をかけたり、ごま油を垂らしたり、気分次第の味付けが可能。米化してチャーハンやオムライス、雑炊など、バリエーションは無限大。米化して納豆とキムチを乗せるのが、私の一人さくっとお昼ごはんの定番。食欲がない場合には、ゆかりを混ぜるだけ。ごま油と合うのは韓国海苔。岩海苔を乗せるのも良い。一晩置かずにレンジで1分温めればその場で完成するオートミールの手軽さはミューズリーの上を行く。

薬の副作用から不正出血が4ヶ月続き、貧血で目を閉じても、横になっても、目が回っている朝があった。オートミールとミューズリーにすがるも、足りないのか…ならば次行ってみよう!と、貧血を軽くしたい一心で「鉄分を多く摂取できる食品一位:カタクチイワシ」を義務的に食べている今日この頃。チョコをちょこっと食べたい時に、カタクチイワシに置き換えている。置き換えダイエットならぬ、置き換え鉄分補給。チョコレートは更に格上のちょこっと食べオヤツとして、以前より美味しく感じられる様になった。自分が貧血と無縁の人間であれば、チョコの代わりにカタクチイワシを食べるという荒業は成し得なかっただろう。何故ならカタクチイワシは、気を抜いて食べようものならほっぺの内側や歯茎、上顎や舌が切れる危険なオヤツなのだから。何故、そんな危険な鉄分補給をするのかって?貧血なら鉄剤飲めばいいだろうって?
貧血治療の錠剤もシロップも胃に合わず、鉄剤注射しか道が残されていない私は、その鉄剤注射さえもすんなり打てないのだ。以前経験した貧血治療の鉄剤注射は、一日おきに10回。血管が見つかりにくく、毎回看護師さんを困惑させた。鉄剤注射でなく採血でも昔から手間を取らせる血管である。これまでの入院時には、血管が見つからず手首や手の甲から点滴を入れることがほどんどで、痛みもさることながら、看護師さんに対して毎度申し訳なくなる。あの手この手で血管を浮き出させようと尽力していただいた後に、血管に逃げられ失敗した時のその場の空気ときたら、、あぁ、もう味わいたくない。それを思えばカタクチイワシも耐えられ…るのだ。

実際にミューズリーとオートミールとカタクチイワシにすがってみた結果、貧血症状は緩和し、経過観察の診察時にも貧血は指摘されず、その後の健康診断でも貧血の数値は出なかった。大人になってからの健診で毎度貧血を指摘されてきた身としては、すがった甲斐があった!と声を大にして言いたい。また、ミューズリーやオートミールは、貧血・便秘・ダイエットでなくとも、現代人の体内環境を整えてくれるの食品に違いない。私は意識の高いナチュラル思考ではないので、体に良いものばかり食べて生きていくというようなこだわりはない。時にはマックのポテトが無性に食べたくなることもある。食べたいものを、食べられるうちに、食べ過ぎない範囲で食べる。これは当たり前のことのようでいて、食べられなくなった時に痛感することになる「幸福」である。忘れがちな日常、時々は自身の体内に思いを巡らせて身体に優しい食事をとることも健康維持に大いに繋がる予感がしている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?